ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

【貪欲(グリーディ)】

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「「「「「…虫?」」」」」


村の奥から大量の大型の虫(+蜘蛛や蛇等の生物)が押し寄せて来る光景に、困惑する一同。


「…っつー事はやっぱ番人は関係無い様じゃな。(ルド)」
「じゃがこの辺にあのサイズの虫が湧く言う話は聞かんかったど?(バド)」
「つーかそもそもアレは虫なのかどうかも怪しいぞ?ワシは生まれてこの方二足歩行のカブトムシなぞ見た事無ぇ。(ロイ)」

「考察は後にしましょ。
ほら、彼はもう向かってってるわよ、私達も続きましょ。(エスメラルダ)」ダッ!

「「「はっはっは、フリアダビアを思い出すのぅ。(ドワーフ)」」」ダッ!


一足先に飛び出したノアに続く様にエスメラルダは弓を、ドワーフ3人は斧を担いで走り出した。






カサカサカサッ!ブシュルルッ!

ズザッ!ボッ!

ボアッ!?


先頭を行くノアが先ず始めに会敵したのは、体長2メルを越える10本足で高速で移動する蜘蛛であった。
その蜘蛛は、予兆無しにノアに向けて投網状の糸を腹部の先端から発射。

ノアはこれを右斜め前方に大きく踏み込む事によって回避。
すれ違い様に荒鬼神ノ化身を逆袈裟に振るって先端を吹き飛ばした。


『『『『『ブゥウウウンッ!』』』』』

チンッ!

ドドッ!ドドドドッ!ドドドドッ!

ドドッ『ギィッ!』!ド『『ギャギッ!』』ドドドッ『ギッ!』!ドド『ギィッ!』ドドッ!

ボトッ!ボトボトッ!


次に出会したのが、腹部から大量の針が突き出した人間サイズの蜂5匹であった。

ノアは直ぐ様納刀し、弓を取り出し<洗練された手業>を発動して高速で矢を射る。

頭部と腹部の2ヶ所に射ち込まれ、蜂は力無く落下していく。
が、まだ生きてはいるので後続に任せる事にした。


ガチガチガチガチ…

『『『『カサカサカサカサ…』』』』

(…次は4本腕のカマキリに、二足歩行のカブトムシか…数も多いしここは1つ…)


前方から鎌を頭上に掲げてカサカサと迫るカマキリ10体と、その中央には図太い脚を持った二足歩行のカブトムシが迫ってきていた。


ゾリッ!


数が多いので、こちらが単騎で攻め込むと取り溢す事になるだろう。
と考えたノアは、近くに生えていた大木に向かって<抜刀術>を発動し、荒鬼神ノ化身を振るって断ち切る。


ザスッ!ズァアアアッ!

ゴシャッ!!!


即座に荒鬼神ノ化身を鞘に戻しつつ<鎧袖一贖>を発動し、たった今断ち切った大木に向かって<渾身>を乗せた後ろ回し蹴りを放って吹き飛ばす。


ゴシャ『ッギッ!』ァア『『ンギャッ!』』アアア『ッ!』アッ!


風に吹かれた小枝の様に宙を舞う大木は、地面を跳ね飛びながら突き進み、迫り来るカマキリを4体程押し潰しながらカブトムシの方へと向かう。


ゴンッ!ゴガッ!

ドッ!グァアッ!


カマキリ数体を轢き殺した大木の速度は落ちる事無く突き進むが、二足歩行のカブトムシは大きな角を地面に付け、掬い上げる様に大木を後方へ放るのであった。




ガチガ『ザクッ!』ギッ!?


角を振り上げたポーズのカブトムシの喉元に荒鬼神ノ化身が突き刺さる。


(柔い体を守る為に甲殻が強固になってんのに、二足歩行でそこ晒したら意味ないだろ…
しかも障害物を避けるでも無く、馬鹿正直に処理するとは…やっぱりただの虫だな…)

バシュッ!

バシュッ!ゴギッ!ブチッ!


カブトムシの喉元に荒鬼神ノ化身をぶん投げたノアは剣の下まで転移。
突き刺した荒鬼神ノ化身に捻りを加えて体内を破壊しつつ首を断ち斬った。

ちなみに荒鬼神の時は両方の剣に″転移の輪″を装着していたが、荒鬼神ノ化身となって4本になった事で現在は直剣2本に装着している。


『『『『『『キシャァアアアッ!』』』』』』


カブトムシの下まで転移した事で、生き残ったカマキリ6体に囲まれる形となったノアに向け、鎌を振り上げたカマキリが殺到する。




『『スラッ!』』

ゾッ!ゾゾゾゾッ!ゾッ!ズババババッ!ザッザシュッ!ズババババッ!ザンッ!ザザッ!ズッ!ズバ!


カマキリの武器である鎌を悉く刀で断ち斬っていき、その場には腕を失くしたカマキリが残されていた。







「す、凄いぞあの子…1人で敵の群れを押し留めてるぞ…(住人1)」
「さっきドワーフの冒険者が言っていた事は本当だったんだな…(住人2)」
「神よ、彼がこの村に来てくれた事に感謝致します…(村長)」



「う、うわぁ…何あれ、虫の大群をモノともしてないじゃん…(ハクア)」

「『超沈鮟皇』を一撃で倒してたから強いのは知ってたけど、あそこまで強いとは…(ユカリ)」

「うん…
でも、いつもこういう時にただ守られてるだけ、っていうのは心苦しいんだよね…(クロラ)」








ギィ『ザシュッ!』ッ!

(50体目、っと…
ん?剣の刻印が光ってる…あ、こっちの剣もだ…)


6枚羽の蛾のモンスターを斬り落とした所で、ふと荒鬼神ノ化身を見てみると、2本の刀身に刻まれた刻印が光っていた。

ここでノアは、刀身に溜まった魔力を用いて【召喚獣】を出せれる事を思い出す。


(丁度良いから試してみるか…
先ずは【召喚獣:一刀】からだな…)チャキ…


徐にノアは、魔力の溜まった荒鬼神ノ化身1本を眼前に掲げて【召喚獣】の名を呼ぶ。


「僕の喚び掛けに応じて姿を現せ!!【貪欲(グリーディ)】!」

〔キュルルルルルッ♪〕

「うわぁ、本当に小さなグリードみたいだ。」


貪欲(グリーディ)の名を喚ぶと、刻印から光が漏れ出して小さなグリードが出現し、ノアの周囲を漂い出した。

体長は荒鬼神ノ化身の刀身位で、胴回りは人差し指と親指で丸を形作った程しかない。


「可わ…
じゃなかった、確か放っといたら戻っちゃうんだったな。」


ここで【貪欲(グリーディ)】の事を″可愛い″と言おうものならグリードが拗ねてしまうだろうと考えたノアは、慌てて頭を切り替えるノア。

だが当然の様に下で聞いていたグリードは、後で少し拗ねる模様。


「よし、【貪欲(グリーディ)】僕の指差す方向に居るモンスターの頭を狙うんだ。
そこを君のプラズマレーザーで射抜いてくれ。」

〔キュルルッ♪〕

『『『『『ヴォンッ!』』』』』

「うおっ。」


ノアの指示に応じた【貪欲(グリーディ)】が一鳴きすると、周囲に豆粒大の光球が発生。


〔キュッ♪〕『『『『『シュバッ!』』』』』

『『『『『ジュッ!』』』』』


可愛いらしい声を上げた直後、光球から光の筋が伸び、ノアが指差した方向に居た大型の虫共の頭蓋に穴を空けたのだった。


ドサッ!ドサドサドサッ!ドドッ!


穴が空いた虫共は、声を発する事無く地面に崩れ落ち、ピクリとも動かなくなった。

ちなみに貫通力もかなりある様で、虫共の後続に居た別の虫をも突破し、そちらも同じく崩れ落ちていった。


「うわぁ、凄いなこりゃ…」

〔キュルルッ♪〕スゥウウ…


役目を終えた【貪欲(グリーディ)】はノアに一鳴きした後、体が薄くなり霧散していった。
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