ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~中級冒険者試験~

中級冒険者試験

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「え?村に残ってく?」

「えぇ。まだ残党が残ってるかも知れないし、『犬姫』の調査に同行しようと思って。(エスメラルダ)」

「ワシらが造った荒鬼神ノ化身は不具合無さそうじゃし、これ以上着いて行く必要も無いじゃろ。(バド)」

「それと、ここの村長(むらおさ)に話したんじゃが、モンスターによって壊された防壁、家屋なんかを造り直そ思ってな。(ルド)」

「ついでにボーボー生えまくった木々も切り倒して元通りにしようと思っとる。
それ故ここに残るつもりじゃ。(ロイ)」

「私はその手助けの為に残ろうと思います。
それが完了したら再びスロア領に戻るつもりです。中級冒険者試験、頑張って下され。(クリストフ)」


朝になって目を覚ますと、既にドワーフ達やエスメラルダ、クリストフや『犬姫』らは精力的に活動していた。

ドワーフ達は村の男衆と共に木の伐採箇所と、家屋建設場所の確認。

エスメラルダは『犬姫』らと共に探索箇所と行動予定の確認。

クリストフは村の子供達の遊び相手になっていた。スロア領でも似た事を行っていたので、既に馴れた感じである。

ちなみにジョーとルーシー姉妹達も残っていくらしい。
理由は蝶形態のボルボレートが放った鱗刃の回収をするとの事。

鬼神の見込み通りボルボレートの鱗刃は丈夫な上に強固である為、仕込みナイフとして需要がありそうだと言う。







簡単に出立の準備を進めていた一行だが、困った問題が1つ発生してしまった。

それは村側が支払う報酬についてである。

今回、想定外のモンスターが現れてしまったがノアの尽力もあって被害は最小限に抑えられた。
それに対して村側は、野盗を捕まえたり、商人を呼んだり、モンスターも根刮ぎ討伐して貰った。

その上家屋や防壁も再建して貰うとなれば普通は相当な額となるだろう。

ノアは気にしないで良い、と言ったが村長が首を縦に振ってくれなかった。

仕方が無いので村をぐるっと回って何か無いか探した所、ボルボレートが放ちノアがぶった斬った木々の塊の一部が、村の防壁の一部を壊していた。


「あー、バドさん。
これは大変だ、修理又は再建するのに如何程掛かるでしょーか?(棒)」

「そーじゃなー、コレコレあーでこーで、ポンポンポンポンと言った所じゃろーな。(適当)」

「わーぉ、差し引き1000ガル位しか残らないじゃないですかー。(棒)」


ノアとバドによるバレバレの小芝居により、ノアへの報酬は破格の1000ガルという事でついに村長は折れてくれた。(納得はしてないだろうが。)







「…さてと、それでは僕達はこの辺で。」

「本当にもう出立するのですか?
まだ腕も治りきって無いのでは…」 

「それならご心配無く。
仲間の見立てでは、もう骨はくっついてて、街に着く頃にはもう完治してるらしいですから。」


実際の所まだ少し痛む故、村長の厚意に甘えたい気持ちもある。
が、少しでもノアに恩を返したそうにしている村長のギラついた目を見てると、何だがいたたまれなくなるので早々に発つ事にした。








テクテクテクテク…

「それにしても中級冒険者かぁ、試験ってどんな事するんだろう…
ハクアさんとユカリさんは、今から向かう街で受けたんですよね?
一体どんな試験だったのですか?」

「うーん…話しても良いけど、私が受けた試験内容がノア君に該当するかは分からないわよ?(ハクア)」

「そうだね…(ユカリ)」

「え?」


と、何やら意味ありげなハクアとユカリの返答が気になったノアは、詳しく聞いてみる事に。

要約すると試験の内容は


・筆記試験
・実技試験
・実地試験


この3つらしい。

筆記試験はごく一般的な常識問題を解答。
実技試験は教官と戦闘を行い、一定の戦果を上げる必要がある。
実地試験は【適正】ごとに内容が変化。


「ちなみに私は【テイム】だからドルフとガルフとの連携なんかを見られたわ。(ハクア)」

「私は【呪術】だから、対象をしっかり呪えたか、戦闘時は的確な行動を取れてるかどうかを見られたわ。(ユカリ)」

(呪うって…いや、怖いから聞くの止めよ…)


ハクア、ユカリの話からすると実地試験が鬼門だと言う。
【適正】ごとに内容が違う為、予習みたいな行動がとれないのだとか。

ちなみに一定のラインを越えられなかったからと言って1発不合格と言う訳では無く、ある程度挽回の余地はあるらしい。


「ノア君って【ソロ】でしょ?
【ソロ】の実地試験なんて想像出来ないのよね…(ハクア)」

「【剣士】なら剣術を、【弓】なら弓の正確性を見られるけど、ノア君全部1人でこなしてるでしょ?だからアドバイス的な事が出来ないのよね…(ユカリ)」

「うーむ…
じゃあなる様になるしかないのですね…」

(まぁ元々中級冒険者になるつもりは無かったから、落ちたら落ちたでその時また考えよう…)


と、気持ちを切り替えたノアは、試験の事は一旦脇に追いやる事にした。


「「あ、でもねぇ。
ノア君が街に行ったら色々と大変な事になるかも知れないよ?(ハクア、ユカリ)」」

「え?何ですか、その如何にもなフラグは…」


盛大な前フリを言われたノアは何処と無く不安になりながらも道なりに進むのであった。







~んでもって2時間後~


 「多分ここの事…だよね…?
中級冒険者の試験が受けられる街っていうのは…」

「そだよ。
取り敢えず、あそこの門に居る門兵の人に話し掛けると良いわよ。(ハクア)」

「あそこで身分証明なんかを済ませて街に来た理由を話せば通して貰えるわよ。(ユカリ)」


道なりに2時間程歩いた後、でかでかとした防壁が見えてきた。
門扉には『中級冒険者、【適正】試験街テスタ』とあった。

どうやらここで間違いない様だ。

ノアは門扉に近付き、門兵の所に向かう。


「すいませーん、中級冒険者試験を受けに来たのですが。」

「ようこそ、『テスタ』へ。
では冒険者カードを見せて貰えるかな?」

ゴソゴソ…

「はい、どうぞ。」

「どれど…れ!?」


と、ノアの冒険者カードを見て驚きの声を上げる門兵。


(まぁ冒険者になって3ヶ月の新人冒険者のハズなのに、レベル3(準上級冒険者相当)な事に驚いてるんだろうな…ん?)


などと考察するノアの<気配感知>に、ある反応があった。
2名の冒険者の反応が現れたかと思うと、防壁を登ってそのまま街の中に侵入した様だ。


「…あのー…何か今誰かが防壁を登って街の中に入ったみたいですが…」

「あ。」

「ん?″あ。″?」


門兵の言葉に違和感を覚えるノア。
普通、気付かぬ内に誰かが侵入した場合の反応としては「え?」が妥当だろう。

だがこの門兵は「あ。」と言った。

まるで「気付いちゃいましたか?」とでも言いたげな反応である。

すると門兵は身分証明を一時中断し、懐から笛を取り出し


ピーッ!

(あぁ、仲間に知らせたんだな…)


と思っていると


<39番、発見!失格!>

<くそぉっ!あと1ヶ所だったのにぃ!>


と言う、悲痛な叫び声が聞こえて来たのであった。


「え?」
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