ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~中級冒険者試験~

ある意味ノアにとって人生最大の危機

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私はゴザル、『中級冒険者・【適正】試験街テスタ』で働く職員でござる。

元々はフリアダビアを故郷とする元上級冒険者であったが、故郷をモンスターの大群に襲われ今はこの地が第2の故郷となっているでござる。

今日はなんとこの街にフリアダビア奪還の功労者である【鬼神】のノアがやって来た。
お礼を言いたい気持ちもあるが、如何程の強者なのかとても興味があった。

故に古くからの親友であるゴワスと実戦試験の場で共に戦ったが、勝負にならなかったでござる。

あれ程の武力を持っているのならフリアダビアで功績を残したのも頷ける。

私は先に退場となってその後の事はイマイチ分からんのだが、ゴワスが何かしらやらかしたらしい。

恐らく最近この街に訪れた貴族連中が何か変な物を寄越したのであろう。

が、それは追々の調査で判明する事だ。
今は家路に着くとしよう。

だが早々に退場となったからかまだどこか体が猛っているでござる…

如何にしてこの猛り、発散させようか…


「ぬっ!?ここは【娼婦】区画!?
い、イカンイカン!今日は確か【娼婦】の者が試験ちゅ「おーじさん、ウチと良い事しーひん?」ぬっ!?(ゴザル)」


声を掛けられ後ろを振り返ると、そこには拙者より一回り位歳下の女子(おなご)が薄い肌着姿、潤んだ、というか蕩けた瞳で拙者を見詰めていた。

この者から発せられる芳香は甘ったるく、何故か頭が良く働かない。
恐らくサキュバス故に由来する何かであろう。

薄いレースの下から覗く引き締まった肉体、くびれを経てのキュッと締まった肢体、だが肉付きも良く、何とも情欲をそそ…じゃない!


「う、うむ、済まなかった。
考え事をしていたらついこの区画に来てしまった…
それではこれにて失「ウチじゃ…こーふんせぇへん…かや?(ミダレ)」

「う!?いや!そう言う訳では無い!
寧ろさっきから君を見ていると思考が上手く働かん。このまま流されれば拙者は獣の様に変貌してしまうやも知れんでござる…(ゴザル)」

「いーんよ。
ここはそーいう場所やき。
寧ろおじさん優しすぎ、獣んなってくれた方が嬉しいよん。(ミダレ)」

「ぬぐぐ…(ゴザル)」

(こ、この者の話し方は妙に″クる″でござるな…)


と、かなり揺らいでいる様子のゴザルに、ミダレは畳み掛ける。


「あっちらにとってコレは食事みたいなもんやき、おじさんはあっちに″注ぎ込んで″くれるだけで良いんよ。」


ミダレは自身の下腹部の辺りを指でなぞり


「本当は下からがいっちゃん(一番)好きなんじゃけど、おじさん優しそうだからこっちからは″注いで″くれんじゃろうな…」ツツツ…


次はみぞおちの下辺りを指でなぞり


「勿論上からでもええよ。
おじさんなら優しく″注いで″くれそうっちゃ。
その代わり2回は欲しい…かな…」


そして最後に胸の辺りを擦って


「掛けられるのも嫌いじゃないよ?
おじさん色に染め上げられてるみたいで嬉しーくなるっちゃ。
でもそん代わり10回は″シて欲しい″っちゃね。」

ガバッ!

「せ、せせせ、拙者なら全てを体現させて

『ピピーッ』
 
「職員のゴザル、現行犯…じゃなかった、1名入りまーす。(職員)」

「良かったですね、ミダレさん。」

「はっ!?はぅあっ!?
マ、マイ!(職員の名前)それにノ、ノア殿っ!?(ゴザル)」


色々と昂ったゴザルがミダレの肩を掴んだ所で、職員が笛を吹いて交渉成立扱いとなった。

一部始終を見られていた事に気付いたゴザルは、絶望の表情を浮かべていたのは言うまでも無かった。





タタタ…

「ノア君ありがとうなぁ。
君の言う通りにしたらお陰様でお客さんが取れたよ。(ミダレ)」

「ね。その言葉遣い直さなくて良かったでしょ?ミダレさんの長所でもあるんだから生かさなきゃ。」

「うん、ありがとう。
…お礼に、今度抜「じゃ、僕はこれで。」

「あぁん、いけずぅ…(ミダレ)」


何やら良からぬ事を言いそうだったので、ノアはその場からそそくさと立ち去る。

その後ろではミダレがブンブンと手を振り、更にその後ろでは肩を落としたゴザルが店へと入って行ったのだった。







ゾワッ!

「っ!!?」


ミダレと別れて僅か3歩で、背中に強い視線を感じるノア。
視線といっても殺気の類では無く、純粋にジッと見詰めてくる視線がノアの背に向けられている。

一体誰の…?

と思うかも知れないが、ノアは既にこの視線の正体に気付いている。
というかノアとしてはこのタイミングで会いたくない者達の視線であった。


ギ、ギギギ…


錆び付いた機械人形の様に軋む首を回して振り返ると、反対方向の通りに2人分の真っ黒いシルエットが直立していた。

そのシルエットを見るに、明らかにポーラとクロラの2人である。


「ひぇ…」


逆光で2人の表情が分からなかったので、恐る恐る<夜目>を発動して確認してみると、こちらから見えている事を分かってる前提なのか、2人共ニコニコ顔で手招きしていた。


トボトボ…


手招きされてるのだから、向かう事にするノアだが、足取りはとてつもなく重い。
ノアとしては手助けしていたつもりだが、思い返してみると、誤解される光景満載だった事だろう。

ここは嘘偽り無く正直に話し、誤解を解く事に専念しよう。と心に決めるノアであった。







『『コッコッコッ…』』

「「……。(ポーラとクロラ)」」

トボトボトボ…

(は、話を切り出せない…
2人と一緒に居るのに今だかつてここまで静かだった事があっただろうか…
てかこういった時に、いの一番に攻めてくるポーラが静かなのが逆に滅茶苦茶怖い…)


2人と合流する際も、こうして歩いている時も、2人は一向に口を開かない。
ノアはそんな2人に、寧ろ口を開けないまま、2人の後を着いていく事しか出来なかった。





暫し歩き、人通りが大分少ない路地に入った所で2人は歩みを止めた。


「ここなら良いかしらね。(ポーラ)」

「ねぇノア君…?(クロラ)」

「は、はい!何で御座いましょう!」


<気配感知>内に2人とノアしか居ない場所で突然呼び掛けられ、つい声が上ずってしまった。


「ふふ、さっきの事なら最初から見てたし、<読唇術>で大体内容把握してたから気にしてないよ。(クロラ)」

「スキンシップ多めだった所は少し目に付いたけど、いつも通り困ってた人を助けてあげてただけだものね、少年?(ポーラ)」

「う、うん…」

(あ、最初から見てたんだ…なら良か…いや、良くない!
それにしたってポーラが妙に優しすぎる…こ、これは絶対後で何か起こる…)


と、ノアは安堵と戦々恐々を行ったり来たりしていたが、ふとクロラの発言を思い返して動きを止める。


″<読唇術>で大体内容把握してたから″


(…まさか…)フル…


いやな予感を感じ、ノアの体が僅かに震える。


「ねぇノア…君…?(クロラ)」

「な、何…?(まさか…)」フル…


ノアの考えている事が合っていれば、説明が非常にややこしい事になる。


「昼間ゴワスさんと戦ってる時に話してた″寿命″の事…聞いても…良い、かな…?(クロラ)」


そう聞かれたノアは、額にジットリと汗を浮かべていた。
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