ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
600 / 1,124
獣人国編~御前試合の代表決め~

そんな所まで似なくて良い

しおりを挟む
(ふふ、ノア様は優しいな…
僕では2人には勝てない、と何と無く察してああ言ってくれたんだろうな…
でもお陰で少し落ち着いた。
そうだ、自分が今出来る事をすれば良い!
僕の全力をここで…って、あれ?ゴフゥさんが手を突き出して…(ヴァモス))


自身の周囲に微細な氷を纏わせて『氷衣纏雷状態』となったヴァモスは、対面に立つゴフゥの動向に注視した。



『氷衣纏雷(ヒョウイテンライ)状態』…雷と氷の二属性を扱う事の出来る【魔法拳士】ヴァモス専用の状態強化スキル。

普通の纏雷状態は、自身の移動速度上昇に加え、触れれば雷属性のダメージを相手に与える強化と攻撃を兼ねるモノであるが、ヴァモスの氷衣纏雷は、自身の周囲に氷を纏わせている為、防御も兼ねている上、相手に氷を纏わせて動きを鈍らせる事も出来る。

また氷が付着する事で雷属性の威力の底上げにも繋がっている。



「″5発″、君から先に打ち込んで来ると良い。
防御はするが、こちらから攻撃を仕掛ける事はしない。(ゴフゥ)」

『!?』


″『おぉっと!何と言う挑発的な台詞だぁっ!
これは余裕の表れなのかぁっ!』″


「言っておくがこれは挑発でも、余裕の表れ等でも無い。(ゴフゥ)」

「一応俺達は上級冒険者だ。幾ら君がここまで勝ち進んできた猛者だからと言っていきなり全力で戦う訳にもいかないからな。
さぁ、来ると良い。(ゴファン)」くいっくいっ。

『…!』バチィッ!


ゴファンから手招きされた瞬間、ヴァモスは足元をスパークさせてその場から姿を消した。


バチィッ!ビシャァアッ!

「「「「「オオオオッ!(観客)」」」」」


直後にゴフゥの側面に姿を現すと、稲妻の様に青白く光る強烈な蹴りを顔面に打ち込む。
周囲には落雷にも似た轟音が響く。




ジジジ… 

『!?』

「なる程、凄まじい速度だ。
だがその速度を上手く乗せ切れていない。(ゴフゥ)」

「見た所、まだその状態に馴れていない様だな。(ゴファン)」

『くっ!』バチィッ!


たった一撃で自身の弱点を看破されたヴァモスだが、攻める手を止める事はしない。


「ゴフゥ、属性ダメージはどうだ?(ゴファン)」

「問題無い、持ち前の<耐性スキル>でどうとでもなる。(ゴフゥ)」

「了解。『バヂヂッ!』『ビシャアッ!』…っ、確かにこれ位なら大丈夫だな。(ゴファン)」


ゴファンの両脇腹にヴァモスの拳と蹴りが炸裂するも、少し顔をしかめるだけで、雷と氷属性のダメージに関しては問題無さそうであった。


(くっ、この人達、今までの対戦者と違って堅過ぎる!
まるで岩の固まりに打ち込んでいるみたいだ…(ヴァモス))


獣人族の中でも3本の指に入る程の防御力を誇る犀獣人は、生まれもって強靭な表皮をしている為、物理・属性防御力に秀でている。

対してヴァモスは準決勝まで勝ち進んできたとは言え、まだまだ実戦経験に乏しく、『氷衣纏雷状態』を完全に会得した訳でも無い。

まだまだ速度に乗れていないし、止まる際も踏ん張りが利いていない所がまだある。

出来ればゴフゥが提示した″5発″の内にある程度痛手を与えておきたい所であるが


ビシャァアッ!『くっ…』

ギシッ…

「ふむ、速いは速いが、攻撃に転じる際に僅かながら隙が出来ているぞ?(ゴファン)」


ゴファンの脳天に踵落としを繰り出したヴァモスだが、ゴファンの逞しい腕に阻まれて不発に終わってしまった。


「残り1発で俺達は本格的に攻撃を開始するぞ?
何か良い手は無い『ガキッ!』…お?(ゴファン)」

ゴギンッ!

「ぬがっ!?(ゴファン)」


ヴァモスの踵落としを防いだゴファンの首に空いた足を絡めて固定した直後、その脳天に強烈な肘打ちを叩き込む事に成功するヴァモス。

流石のゴファンも耐性があるとは言え、頭に強烈な打撃と雷属性のダメージを入れられれば堪ったモノではない。


「く~っ、効いた~…『ガキッ!』
だが、打ち込んだら直ぐに離脱した方が良いぞヴァモス君。(ゴファン)」


軽く悶えたゴファンは、首に絡まったヴァモスの足を掴むと、ニヤリと笑みを浮かべる。

そう、約束の″5発″が今終了したのである。


ブンッ!

『ぐっ!?』

「おっと、余所見はいけないな、ヴァモス君。(ゴフゥ)」

ズンッ!

『かふっ! 』


ガッチリ絡ませていた足を強制的に外されぶん投げられたヴァモスの下にゴフゥが迫り、腹に強烈な拳を受ける。


ドガッ!バチィッ!

「お。(ゴフゥ)」

バチィッ!ゴギンッ!

『ガハッ!?』


ヴァモスは地面に強く打ち付けられるも、即座にゴフゥの背後に移動。
だがそこに強烈な裏拳が飛んで来て諸に顔面に食らってしまうヴァモス。


『ぐぅっ!』ガッ!ガシッ!

「お、おおっ!(ゴフゥ)」


ヴァモスはそのままゴフゥの腕に絡み付き、折りに掛かる。

だが


(び、びくともしない…)

「君はどうやらスピードとテクニカルタイプだが、パワータイプでは無い。
これは悪手だよ。(ゴフゥ)」

ブンッ!ドゴァッ!

『がっ!』

バチッ!チチチッ!


見てくれ通りのパワータイプであるゴフゥとゴファンには力任せでの攻撃は歯が立たなかった。
ゴフゥは腕にしがみ付いたヴァモスを、まるで手の汚れを払うかの様に振り払うと、体が跳ね上がる程地面に叩き付けられてしまった。

直後、高速で移動して大きく距離を取るのであった。





″『さぁ!果敢に攻めるヴァモス君を悉く迎撃すふ超犀野人2の2人ぃ!
このまま一方的な展開となってしまうのかぁっ!』″


「うーん…上級冒険者2人を相手にするのはやっぱヴァモスにはまだ厳しいよなぁ…」

「うにゃあ…
いつもボロボロになって帰ってくるからこっちは気が気じゃ無いにゃあ…(ベレーザ)」

「ん?いつも?」

「そうにゃ。
開幕取り敢えず突っ込んでいって敢えて相手の攻撃を食らって、そこから糸口を見付けて行くのがヴァモスのいつものスタイルにゃ…(ベレーザ)」

「ええぇ…」


″『だがこの流れはいつも通り!
一通りボコられた後、後半で巻き返すのがヴァモス君の戦闘スタイル!
今回もその流れに乗る事が出来るのかぁっ!』″


「ね。
全く、誰に似たんだか…(ベレーザ)」

「……。(気まずそうにするノア)」





(くっ…やっぱりゴフゥさんとゴファンさんは今までの対戦者とは違い堅く、速く、そして強い…
いつもなら氷衣纏雷のスピードで翻弄して死角からの強襲で大体片が付く。
だが2人にはそういった小手先だけのモノは通用しない…
痛手を与えようにも僕にはそれを可能にする力も技術も無い…)


地面に膝を付いて息を整えるヴァモスは、今までの状況を整理しつつ勝ち筋を探していた。


(だが瞬間的な速度は僕の方が上。
ならばその速度を極限まで高め、2人を翻弄し、鉄壁の防御を打ち砕くまでだ!
【獣化】発動!)ザッ!

メキメキ…ゴキンッ!


直後、ヴァモスは地面を這う様な体勢を取ると、次第にヴァモスの体の各所が隆起し始め、本当の狼の様な姿へと変貌していった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...