ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

ちょっと獣人国まで

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「スタミナは全ステータスの中で最も優先して上げておきたい要素よ。
回避力に逃走力、攻撃の起点ともなるし防御の要にもなる。
スタミナに余力があれば危機的状況でも多少無茶な行動が取れるでしょう?」

「速さに慣らしておくのも、回避や防御に繋がるから攻撃力云々を上げるよりかそっちの下地を作っておく方が効率が良い。
ノアにもそういう風に訓練したからな。」

「へぇ~。」

「それにね、攻撃や防御に関わるスキルはごまんとあるけど、スタミナを補助するスキルって案外少ないの。
200個以上スキルを持ってるノアでも、スタミナに関わるスキルは10個も持ってないと思うわ。」

「200て…
え、じゃあノア君がフリアダビアで縦横無尽に街の中を駆け回ってたのって、あれは地力だったんですか!?」

「そうだね。
ノアは幼い頃に″色々″あったから特にその辺はしっかり鍛えたんだ。
恐らく【ソロ】の恩恵も相まってノアのスタミナは上級冒険者並みか、それ以上はあるんじゃないかなぁ。
なぁ、アミ?」

「そうねぇ。
冒険者として旅立つ1週間前にやった『24時間鬼ごっこ』を2回はこなしてたからそれ位はあるかしらね。」

「あ、あれを2回も…」


実は3週目の『襲撃』の際、担当は熊獣人のマドリックが行う予定であったが、ノアから森の番人討伐の手伝いで獣人国へと向かっていた為、その週は穴が空いた。

仕方無くレドリック主催の『24時間鬼ごっこ』が開催され、ミユキは山中を追い回される事に。

だがミユキの健闘空しく1時間も経たず捕えられ気絶させられてしまったのだった。





カチャ。

「さてミユキちゃん。
約束の1ヶ月が経って、私達の目から見て中級冒険者位の実力が付いたと判断するわ。
それでこれからどうする?
もう1ヶ月訓練するか、当初の目的通りドワーフの国へ向かうか、どうする?」


元々ミユキがノアの両親の家に厄介となり、訓練の日々を送っていたのは、フリアダビアにてミユキと同じくこちらの世界に喚ばれたと言う恋人がドワーフに居るかもしれないと言う情報を得た事が発端である。

【召喚勇者】とは言え、大した力も持ち合わせていないので、ドワーフ国に居ると言う恋人に会えたとして弱いままでは生きていけないと判断し、1ヶ月間と言う短い期間ノアの両親に鍛えて貰う事となったのだ。

とはいえ、流石にノアの様に強くなるのは不可能ではあるが、そこそこ強くなった為、今こうしてアミスティアはどうするかの判断を仰いでいるのだ。


「…行きます。
いつまでも頼りっぱなしって訳にもいきませんしね。」

「そうか、分かった。」

「なら準備しないとね。」


恐らく2人は何と無く察していたのだろう。
行く、と言う選択について特に止める事はしなかった。





「あ、それと1度ヒュマノに戻ろうと思います。
貴族連中はどうでも良いですけど、国王のおじいちゃんには顔を出しておかないと…」

「そのヒュマノだが、色んな国が介入してきているから今は近付かない方が良いと思うぞ。」

ポイっ。

「えっ!?えっ!?わわっ!」バサッ!


ヒュマノに寄る予定だったミユキに朝読んでいた朝刊を投げるレドリック。
少し慌てた様子で受け取ったミユキは、記事に目をやって固まった。


「ど、『奴隷の子供達が行方不明』!?
『大嵐で国が半壊』!?『奴隷に占拠』!?
『国としての機能停止』!?
こ、この1ヶ月で何が…!?」

「大方我慢の限界に達した獣人国から有志を募って極秘裏に子供達を連れ出したんだろう。
国王はキレる強者だが貴族以下の連中はザルばかりだからなぁ、あそこ。」

「まぁ良いじゃない。
肩の荷が幾つか落ちたんだし。」

「は、はい…」


ここ1ヶ月の間村の外の情報が一切入ってこなかった事が幸いし、確かにアミスティアの言う通り肩の荷が降りた心持ちになった。


「…でもおじいちゃんには一応会って来ようと思います。
この世界に来た時に何かと便宜を図ってくれたのでせめてお礼「行くのは構わないが、覚悟はあるんだろうね?」…え?」


アミスティアが低く冷めた声音で聞き返す。


「聞いてなかったのかしら?
レドが″色んな国が介入している″と言ったのよ?
短期間とはいえミユキちゃんはヒュマノ聖王国の一関係者。
少しでも情報を持っているかもしれないあなたが今あの国に訪れたら間違いなく拘束されて徹底的に調べられるわ。」

「君は書類上フリアダビア戦の戦傷で生死不明扱いとなってるらしい。
何ならフリアダビアから直接この村に来たからその後の消息も不明ときた。
つまり君はヒュマノに行きさえしなければ割と自適な旅が送れるんだ。
それでもヒュマノに向かうつもりかな?」

「う、うぅ…」


アミスティアとレドリックから正論を言われ、言葉が出てこないミユキ。


「「まぁ…」」


だが2人からは意外な言葉が飛び出してきた。


「「行くだけ行ってみる?」」

「え?」


ヒュマノ行きを否定されるモノだと思っていたミユキは思考が停止。
その後の話の展開に着いて行けずにいた。


「その代わり髪型なんかを少し弄らせて貰うわね。」

「え?え?」

「行くなら大通りを避けて山を突っ切って行こう。武器は2つ先の山中に巣食っている野盗団の所から回収していこうか。」

「え?えええ?」

「良いわねぇ。
んじゃ、思い立ったが吉日。
お財布持ったら早速行きましょう。」ガシッ。

「え!?い、今から行くんですか!?
ま、待って下さい、鎧を着て…」

「あぁ、あの鎧(ヒュマノ聖王国製)なら悪目立ちするから近所の鍛治場に持ってって鋳溶かしたからもう無いわよ?」

「うぇええっ!?
わ、私あの鎧以外の服持っていませんよ!?」

「あぁ、そのままで良いぞ。寧ろその方が″都合″が良い。」

「″都合″って何なんですか!?
えっ!?本当に今から行くんですか!?
2人共普段着のままですが…!?」

「「大丈夫、大丈夫。」」


何が大丈夫なのか分からないが、本当に2人は普段着のままで玄関まで向かっていく。




ガチャッ!

「おーっす!レド、アミ、ミユキ。
数日間済まなかったな、今獣人国から戻ってきたぞー!」


家の扉を開けて中に入ってきたのは、ノアからの依頼で獣人国に行っていた熊獣人のマドリックであった。

その手には幾つかの包みを持っており、どうやら土産物の様であった。


「あらお帰りマドリック。」

「悪いんだが、ちょっと俺ら用事があって家を開けるんだ。
村の事少しの間お願いして良いかな?」

「何だ唐突に。まぁ別に良いが…
で?今から何処に行くんだ?」

「「ちょっと獣人国まで。」」

「え?」

「…です…」

「え?」
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