ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

″声″

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「し、少年…(ポーラ)」

『ん?』

「何か存在感無いわね。(ポーラ)」

『え、それ酷くない?』 


ミダレを抱き起こしたノアにクロラとポーラが何やら怪訝そうな表情をしてが近付いてきたが、ポーラはズバッと切り込んできた。

いつもノアから感じられる気配や圧、存在感等が感じられなかったのである。


「あ、でも悪い意味でポーラちゃんは言った訳じゃ無くて、派手な赤黒い紋様以外は普通の男の子みたいな印象になったな~、って意味だと思うよ?(クロラ)」

「そ。(ポーラ)」

『ならもうちょっと言い様があるでしょ…』


と、そんな事を話していると、ラーベ、ラベルタの2人が更に怪訝そうな表情をして恐る恐るノアに近付いてきた。


「…ノア様ですよね…?(ラーベ)」
「姿形はノア様なのですが、如何せんいつも発しておられる威圧感が無いので正直半信半疑です…(ラベルタ)」

『2人までそんな事言って…』


鬼神の下位存在である鬼人族のルーシー姉妹ですら、鬼神が発する威圧感を捉える事が出来ず、困惑している様子であった。


『…にしても…
僕の前で漸く自然な表情をしてくれましたねラーベさん。『ポンポン。』』

「『ポンポン』ほぇ…?
ホワッ!?キャアアアアアアア『ドンッ!』アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!(ラーベ)」

「お姉ちゃん!?待ってお姉ちゃんどこ行くの!?(ラベルタ)」


いつもノアの前だと妙に緊張した面持ちのラーベだったが、ここに来て比較的柔和な表情をしていた為、思わずノアはラーベの頭をポンポンしてしまった。

一瞬何が起こったか分からなかったラーベだが、直ぐに我に返ってノアを突飛ばし(飛んでない)顔を真っ赤にして悲鳴を上げて駆けて行ってしまった。


「う、ウチの息子が、一部の美丈夫にしか許されないと言う″頭ポンポン″を幼気な女性に繰り出すとはな…(悪ノリレドリック)」

「処す?処す?(薄ら笑いのアミスティア)」

「ノア君?ウチの従業員に手を出してくれたね…?(意味深なジョー)」

「性獣。(ジト目ポーラ)」

『ちょ、む、無意識と言うヤツで…』

「弁明になってないよノア君?(にっこりクロラ)」


と、皆からジト目で見られていたノアの頭の中に、誰かの声と共にある情報が流れ込んできた。



″【ソロ】の力の根源と言える″鬼神″を掌握し、完全に制御下に置きました。
力の統合が成された事により、幾つかの固有スキルの削除と追加が行われます。
削除される固有スキルは【鎧袖一贖】【一鬼呵成】の2つ。
新たに追加される固有スキルは、″【鬼哭崇崇(キコクシュウシュウ)】″、″【鬼燭炎炎(キソクエンエン)】″の2つとなります。″


(え?何?何…?
と言うか、【鎧袖一贖】はまだしも【一鬼呵成】はちょっと…(貴重な回復手段が…))

(『俺を完全に制御下に置いたんだから、格段に自然治癒力が上昇しているハズだから心配すんなって。』)


″今までは″個″の強化に勤しみ、そしてその到達点に至りました。
しかし世界は広く厳しいものです。″


(何か語り出したけど…?)

(『シッ、黙って聞いてなさい。』)


″強大な力を持つ者が1人居たからと言って、戦況が一変する事など有り得ません。″


(そう…かな…?)

(『普通はそうなの、普通は。』)


″しかも【ソロ】と言う適正上、″協力・共闘″行動を取る事は避けねばならず、平時ならずとも戦火の最前線に立つ事が主なハズ。″


(そうだね。)

(『そうだな。』)


″新たに追加された2つの固有スキル、″【鬼哭崇崇(キコクシュウシュウ)】″、″【鬼燭炎炎(キソクエンエン)】″は、そんなあなたを大いに助けてくれる有用なスキルとなっています。″


(へー。)

(『へー。』)


そして誰とも知れぬ声は、ノアの新しい固有スキルについて説明を開始したのであった。





「…ねぇ、ノア君動かなくなっちゃったよ?(クロラ)」

「皆であーだこーだ言い過ぎて傷付いちゃったのかしら。
ダメじゃないクロラ、″性獣″なんて言ったら。(ポーラ)」

「言ってないよポーラちゃん!(クロラ)」


表では身動き1つしないノアに対してクロラとポーラが訝しんでいると


「安心なさい、2人共。
ノアちゃんは恐らく…(アミスティア)」

ズズズ…

「恐らく、″声″を聞いてるのだと思います。(ラインハード)」

「「″声″?(クロラとポーラ)」」


ヴァンディットの足下の影からひょっこりとラインハードが頭を出した。

以前ラインハード自身もダンジョン『宝物庫』にて、ノアの手によって辛い輪廻から解放された後にダンジョン側から″声″を掛けられたらしい。(タイトル『"何者"かの声』)

アミスティアやレドリックは補足として、この世界に生きるモノの内、己の持つ殻や困難等の障害を突破した者、適正によっては天啓等を授かった者には一様に″声″を聞くのだと言う。

人によっては女性だったり、男性だったり、子供だったり、老人の声だったりするらしい。





数分後、身動き1つ取らなかったノアは、何事も無かったかの様にケロッとしていた。
だが″声″に聞き入っていて呆然としていた為か、不安そうな表情で心配していたクロラとポーラに頭を下げるのであった。


『…ごめん。
急に頭の中に″声″が響いてきたから聞き入っちゃってたよ…』

「みたいね。少年の両親が説明してくれたわ。
ねぇ一体どんな声が聞こえたの?(ポーラ)」

『大した内容じゃ無いよ。
完全に制御下に置いた事で幾つかの固有スキルが削除・追加された、って話とその説明かな。』

「え?スキルが削除って、結構な事じゃないの?(クロラ)」

『まぁその分有用なスキルが取得出来たからどっこいどっこいって所かな。
…っと、そうだミダレさん!』

「ほぇ?あ、はい。(ミダレ)」


不意にノアに呼ばれたミダレは思わず変な声を上げる。


『僕の力の制御の為に来てくれてありがとうございます。
ずっとオーラに当てられてて辛かったでしょ?
これからはそう言った事も無いので安心して下さいね。』

「え?あ、あはは…大した事じゃにゃーよ。
あっちにはこんな事位しか『ポンポン。』…ほぇ?」

『会ってまだ少ししか経ってませんけど、ミダレさんには迷惑掛けっぱなしでしたからね。
何かお礼がしたいので何でも言って下さいね?』

ボワッ!

「ほわぁぁあああ…(ミダレ)」


不意にノアから頭を撫でられて顔を真っ赤にするミダレ。
ここに来るまでの道中での告白が頭を過る。


『あ、あれ?
顔真っ赤ですけどまだオーラが漏れてましたか…?』

「あ、ふゃ、これはその、ちゃうんよ!
も、もぅ、男の子が簡単に″何でも″何て言うたらアカンよ…?(ミダレ)」

(((((何かチャラくなったなー…(一同))))))


ノアの度重なる頭ポンポンに、力は制御出来る様になったが自制が緩くなったな、と思う一同であった。   
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