ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

獣人国と滅びの森を行ったり来たり

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~獣人国・北門~


「はい、次の方どう…えっ!?エリンギッ!?
…あ、クリストフ殿でしたか、ビックリさせないで下さいよ…」


獣人国北門の門兵として入出国時の確認作業に従事していた兵士は、列に並んでヌンと立っていた手足の生えたエリンギに、思わずたじろいでしまった。

だが門の脇に貼ってあった貼り紙を見て直ぐにそれが″つかえるキノコの冒険者クリストフ″である事を思い出した。

ちなみに貼り紙にはクリストフの見た目と『モンスター✕ 食材△ 冒険者○』と言う注釈が入っていた。

″食材△″と言うのは、クリストフと仲良くなると、友好の証としてその人に見合ったキノコをくれるのでそう書かれている。(飲兵衛の者には酒のアテになると言うパリパリキノコが人気。)


「はっはっは、私の図体はデカいですからな。
驚くのも仕方の無い事でしょう。(クリストフ)」

「「そういう事じゃ無いと思うなぁ…(デミ、ローザ)」」


″つかえるキノコ″のクリストフの後ろには、スロア領の領主であるデミと、その執事である【戦闘執事(バトラー)】のローザが並んでいた。

彼等は獣人国側から式典に招待されていたが、領内で暮らす獣人達の世話や、岩塩掘削等の手配、報告、商人との会合等で忙しくしていたが、デミのパーティである『新鋭の翼』メンバー達や領民から後は自分達が請け負うからさっさと行ってこいと言われ、式典3日前である本日になって獣人国に訪れたのである。

一応領主である為、執事のローザと″つかえるキノコ″のクリストフが護衛として着いてきたのである。


「スロア領領主…?」ジロリ…

「…っ!(デミ)」ビクッ。


実は父親であったコモン・スロアに代わりデミが領主となってから獣人国に来たのはこれが初めてとなる。

獣人国国王とは裏で既に顔合わせはしていたものの、それを知らない兵士からどんな顔をされるか気が気でなかったのだ。

知らなかった事とはいえ、コモンがやらかした事は既に伝わっているハズだ。
事の大きさを考えれば後ろ指を指され、罵倒される覚悟すらあった。




「式典参加の招待状を確認致しました。
どうぞ獣人国ヴァーリアスフェアレスへようこそ。」


デミの心中とは裏腹に、あっさりと入国することが出来たのだった。





「は~~~~~…良かったぁ…(デミ)」

「どうしたんです?そんな糞長溜め息をお吐きになって、気持ち悪い。(ローザ)」

「酷っ!?
あのねぇ、俺はそれなりに覚悟してここを訪れたの!父の仕出かした事を鑑みれば分かるだろう?(デミ)」


辛辣な言葉を投げ掛けるローザだが、これはデミとローザ間では当たり前の問答である。


「その汚名を返上すべく尽力なされているじゃないですか。
領主らしく胸を張っていきましょう。(ローザ)」

「そうですぞ、領主は威厳と風格、心を強く持ち、余裕も持たねばなりませんぞ。
そうですなぁ、例えば…
あ、あの者達の様に振る舞ってみては如何でしょう?(クリストフ)」

「ん?(デミ)」


と、クリストフが指差す方向を見てみると





「おい、そこな冒険者よ。
我等は『真の勇者』と言うクランを結成している。
我等と共に【勇者】に代わって世の救済の為に立ち上がろうではないか!」

「お前らあれだろ?
元々の【勇者】に洗脳魔法掛けてた連中の子息だろ?」
「悪ぃが、そんな奴らの片棒は担ぎたくないんだ、じゃあな。」

「な、何だと!我等が声を掛けてやったというのに無礼な奴らめ!」





「あそこまでとは言いませぬが、あれ位心を強く持たれる方が宜しい…どうなされました御二方?(クリストフ)」

「あれは…もうごめんですね…(ローザ)」

「やめろぉ…俺の黒歴史を掘り返さないでくれぇ…(デミ)」


元のデミを知らないつかえるキノコのクリストフは、何故デミとローザが身悶えしているか分からなかった。





~その頃のノア~


キェエエエエエエッ!

ヒュカッ!ヒュカカッ!

『うぉおっ!?何つー切れ味だ!?
岩や大木を殆ど抵抗無く切り裂いてるぞ!?』

(『あれが″ゴールデンレイドリーパー″か…
″黄金に光る鎌を持った死神″…なる程、まんまだな。』)


滅びの森では新たなるモンスター″ゴールデンレイドリーパー″が出現し、ノアは討伐に当たっていた。



ゴールデンレイドリーパー…10メル程の巨大な骸骨。
腰から下が無く、常に空中を浮遊している。
ボロボロのマントを纏い、2本の腕に刃渡り5メルもある黄金に光る鎌を携え、空中から鎌による連続攻撃を仕掛けてくる。

ちなみに黄金に光る鎌は、刃溢れした鎌の上から魔力でコーティングされており、破壊不可能。



キェエエエエエエッ!ヒュオンッ!

バチィインッ!キェエエッ!?

『ふんっ!』グリッ!


奇声を上げて″ゴールデンレイドリーパー″が鎌を振り下ろしてきたが、ノアはそれを白羽取りして受け止める。

受け止めた状態で圧倒的な力で刃先を捻ると、″ゴールデンレイドリーパー″の巨体が大きく傾き、鎌も刃の側面が上になる。


ドンッ!

タタンッ!タンッ!


その瞬間に駆け出したノアは、鎌の側面を高速で走り抜けて″ゴールデンレイドリーパー″に迫る。


キェエエエエエエッ!ヒュオンッ!

ヒュッ!ゴシャッ!


奇声を上げつつ別の鎌を横薙ぎに払い、迫るノアを斬り飛ばそうとしたが、ノアは前宙でそれを回避。
その勢いを利用して″ゴールデンレイドリーパー″の手首に強烈な踵落としを叩き込んで破壊した。


ガシッ!ボッ!

キェエエ『ゾリンッ!』アアア…ザラザラ…


手首を破壊した事で″ゴールデンレイドリーパー″の持っていた巨大な鎌を掴んだノアは、高速で首目掛けて振り抜く。

その頃には黄金の光は消失し、元のボロボロで、刃溢れした刀身になっていたが、そんな事ノアには関係無かった。

巨大な骸骨の太くて堅牢な頚椎は、まるで新品の鎌で刈られたかの様に綺麗な断面を露にして断ち斬られ、″ゴールデンレイドリーパー″の体はザラザラと音を立てて崩れ去った。


ストッ。

ガシャンッ!ガランガランッ!バサッ…


″ゴールデンレイドリーパー″の体は砕けて粉末状になり、武器として扱っていた刃溢れした長大な鎌2本、ボロマントと共にドロップ品となった。


『…ドロップ品としてはしょっぱい気がするな…』

ズル…

「そんな事無いよ?
私は専門外だけど、これ程大量の骨粉があれば呪具とか装飾品なんかが大量に作れると思うな。(ラインハード)」

「私も専門外ですが、【錬金術】ギルドが結構納品希望を募っていたので、私から話を通しておきましょう。(ヴァンディット)」

『あぁ、頼むよ。』


と、ノアの影から姿を現したヴァンディットとラインハードと共にドロップ品について和気あいあいと話しているノアの後方では


シャキィン…

「あらあらノアちゃん良い動きしてるじゃない。やだわぁ、血が騒いできちゃった。
まだ加減が難しい所もあるみたいだけど、まぁ実戦で身に付けていけば良いでしょ。(アミスティア)」


我が子の成長に満面の笑みを浮かべつつ、腰に差していたロングソードを抜くアミスティアは、ゆっくりとノアの下へ向けて歩を進め出した。


(あぁ…アミの闘争心に火が着いちまった…(レドリック))
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