ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
760 / 1,124
獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

最強の矛と最強の盾

しおりを挟む
「「「「「「「「「「「「「ああぁ…」」」」」」」」」」」」」

″『あぁっ!何と言う事でしょう!
【鬼神】が満を持して召喚されたと思われるあっつ熱の召喚獣が事も無げに討ち倒されてしまいました!(ヤン)』″

″『しかもエルダークラーケンの動きが先程よりも別物です!
明らかに<人化>形態をモノにした動きを見せています!(フェイ)』″ 

″『え!?【鬼神】君が武器を腰に戻しました!
切り札を瞬殺されて戦意喪失してしまったのでしょうかっ!(リン)』″


龍神邪火が消滅し、観衆から悲鳴に似た声が上がる。
ネプトゥリオの3人も同様を隠せず、更にノアが武器を仕舞った事で敗けを認めるのでは、と考えていた。


(〔『…武器を仕舞った…?
まさか今ので戦意喪失してここで終いにするつもりか…?』〕)


ノアの動向を見たエルダークラーケンも、戦意が喪失されたのではと勘繰っていた。


ズズズズズズ…ズ…フシュ…

(〔『…猛り噴出していたオーラが…止まった…
やはり終いの様だな…』〕)


何せノアから立ち昇っていた赤黒いオーラが止まり、気配すら殆ど感じられなくなってしまったからだ。

オーラが止まった事で、折れて保護していた痛々しい腕も露になった。





~とある建物の屋上~

「にゃ!にゃ!にゃ!?
ノア様の気配が無いなってるにゃ!(ベレーザ)」

「…多分戦意喪失したんだと思う…
奥の手を潰されたんだし幾らノア様でも…(ヴァモス)」


闘技場の戦いを観戦していたベレーザとヴァモスは、ノアの武装解除とオーラの停止を見て意気消沈してしまった。

だが


『『ポンポン。』』

「にゃ…?(ベレーザ)」
「…え?(ヴァモス)」

「…ノア君なら大丈夫。寧ろこれから…」





~大通り~


「いや、【鬼神】は良くやったよ。」
「普通に考えてあんなデカいのと渡り合えるだけ凄ぇもんだぜ。」
「てか【鬼神】腕折れてたろ?」
「いやー…痛々しいよー…」
「…俺の勘だと…こっからもう一波乱ある気がするんだよなぁ…(???)」


エルダークラーケン含め、観戦していた観衆達からも試合終了を匂わせる雰囲気が漂い始めていた。

当人を除いて。





″<敵討(カタキウチ)>の発動条件を満たしましたので、これを発動します。″

″<亡失>の発動条件を満たしましたので、これを発動します。″

″<闘志>の発動条件を満たしましたので、これを発動します。″

″<奮起>の発動条件を満たしましたので、これを発動します。″

″<躍起>の発動条件を満たしましたので、これを発動します。″

″力の制御下に入りました。
身体強化、回復能力、その他ステータスが大幅に上昇。
その上で各種スキルの補正が掛かりました。″ 


ノアの脳内には幾つもの″声″が聞こえ、それと同時に力が満ち満ちていくのを感じていた。


〔『…ここまで、の様だな。
弱体化しているとは言え、儂とここまで渡り合えたのだ、それだけで『待った。』…ぬ?』〕


ノアを誉め讃えていたエルダークラーケンの言葉を遮り、少し感じの変わったノアの声が届く。


ミキミキ…シュゥウウ…

『…漸く諸々の準備が整った所だ。
これからが本番なんだ、締めるにはまだ早いぜ?』

(〔『…折れた腕が…元に…?』〕)


肌表面に薄らと赤黒い炎の紋様が現れ、折れた腕が凄い速度で元通りとなっていく。

その光景に、一瞬エルダークラーケンは何が起こったのか分からずにいた。

その直後


『『『ゴシャッ!』』』

〔『むぶっ…!?』〕ガクンッ!


何かがエルダークラーケンの顎に衝突し、外殻の一部を破壊。
エルダークラーケンの巨頭が大きく揺らいだのである。


「「「「「「おおおおおっ!?」」」」」」

″『ん?どうしたのでしょう!
急にエルダークラーケンの体勢がぐらつい…えっ!?(ヤン)』″

″『あっ!?
ちょ!モニター!あれ映してあれ!
エルダークラーケンの顎の辺り!(フェイ)』″

″『ノ、ノ、ノノノ、ノア君っ!?
何でそんな所に居るのぉっ!?(ヤン)』″


闘技場周囲に展開されているモニターが一斉にエルダークラーケンの顎辺りにズームしていく。

そこには手首から先を顎の外殻にめり込ませたノアが張り付いていた。





〔『なっ!?貫…はぁっ!?』〕

『言っただろ!これからが本番だとな!
取り敢えずは龍神邪火の弔合戦だ!』

ベギャッ!ギュルッ!『『ズゴンッ!』』

〔『うぶぉあっ!』〕


顎の外殻から腕を引っこ抜いたノアは、その勢いと腰の捻りを加えた高速の後ろ回し蹴りを繰り出して人間で言う鼻の下辺りを強打した。

その際、ノアのカカトはまたもや外殻を貫いていた。


〔『ぬぅっ…!』〕ズザッ!

スラッ…バヒュンッ!『バシュッ!』

シュバッ!『ッラァ!』『『ガヂョッ!』』


ノアの猛攻に一旦後退したエルダークラーケンであったが、腰から荒鬼神ノ化身を抜き放って直ぐに間合いを詰めてくる。

そしてエルダークラーケンの眉間に再び拳を振るうと、再び外殻を貫いた。
既にノアにとって外殻は防御としては意味を為していない様である。


ギュルルルッ!ガシュッ!『…ィイイイッ!』

『『『『『バガァアアッ!!』』』』』

〔『グオォオオッ!!!』〕


転移の為に用いていた荒鬼神ノ化身を持ち代えて逆手持ちとし、人間で言う鎖骨の辺りに突き刺す。

直後荒鬼神ノ化身に魔力を流すと白熱し出し、外殻と身体との間で爆発が発生した。

堪らず本日一番の叫び声を上げるエルダークラーケンであった。


″『え?え?あ、ええっ!?
どういう事でしょう!先程まで私達でも感じ取れたオーラが消失し、てっきり戦意喪失したものだと思っていた【鬼神】が物凄い攻勢を仕掛け出しました!(ヤン)』″

″『…ってか平然とやってるけどその殻、さっきまで歯が立たなかったハズじゃ…
それを今素手で打ち抜いてて…
あれ?私おかしくなったかしら…?(フェイ)』″


と、実況ですら混乱している様子。


ズガッ!

〔『ぬはっ!
何があったか知らんが、どうやらそれが【鬼神】の本気の様だな!
ならばこちらも応じるとしよう『ギリリッ!』『エルプシオン・ヴォルカニカ』っ!』〕

ゴォッ!


漸く体勢を整えたエルダークラーケンは、宙に居るノアへと上から3番目の威力を誇る『エルプシオン・ヴォルカニカ(火山噴火)』を繰り出した。


『『ギュッ…』』


対してノアは、流石に空中では踏ん張りが利かない為、腕を交差させて防御体勢を取り


『『『『『ドゴォオッ!』』』』』

ダガンッ!ガンッ!


打ち付けた拳から衝撃波が発生する程の威力で叩き付けられたノアは、闘技場を2度程跳ねた後


バシンッ!

『はぁ…流石海洋最強種エルダークラーケンのパンチ…強化状態であるにも関わらず腕がおじゃんだ…が、『ミキミキ…』これで元通り。』


<壁走り>を発動してモニターに着地するノア。
腕はエルダークラーケンの拳を受けて変な曲がり方をしていたが力の制御下にある為、直ぐに完治した。


ミシシ…バガァンッ!


足元のモニターを破壊する程の速力で以てノアはエルダークラーケンの下へと飛び出していった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...