ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

褒美と使い道

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~王城・ローグの私室~ 


「え?″褒美″?」

「あぁ、君を呼んだのは他でも無い。
この国に来てから今日に至るまでに君が成した事に対する″褒美″を与えたいと思っておるのだ。(ローグ)」


王城・ローグの私室に連れて来られたノアは、ローグ・ラグナーの他に自身の両親と鬼神、クリストフやツェド、ナサケと知らない人が居る光景に少し首を傾げていたが、一先ずローグ王の下へ向かった。

そうして切り出された話が″褒美″についてであった。


「本来であれば、我が国が誇る名匠によって作り出された魔剣や魔防具と合わせて報酬金を支払う事になるのだが、【鬼神】殿が所有する魔剣・防具の類いを越える物は造り出せんだろう。(ローグ)」


ノアの持つ荒鬼神ノ化身は、人族では加工が非常に難しいと言われる″阿羅亀(アラキ)″を加工した″阿羅亀噛(アラキガミ)″を、更にドワーフの技術と″餓龍王″グリードのプラズマレーザーによって鍛えた一品で、獣人国内にはそれを越える魔剣の作製は無理だと言われている。

更にノアが身に付けている防具(ギガンテ・デュマ)は、海洋最強種であるエルダークラーケンの素材を使用しており、『衝撃吸収』効果を付与され、ラインハードが開発した『魔装鉄甲』に転用されたりもしている殆どオーパーツ的な代物である。

そもそもエルダークラーケンの素材が市場に一切出回っていない為、【防具】職人ですら使用されている素材名を理解出来ないだろう。

※ちなみに【高度鑑定】のアギュネスですら、防具を見ても″■■■■・■■■″としか表示されません。


「よって【鬼神】…いや、ノア殿への″褒美″は報酬と言う形で支払おうと思うのだが、如何だろうか?(ローグ)」

「は、はぁ…その辺りはお任せします…」

「おやノア君、えらくすんなりと了承したね?
王都の時は大分渋っていたのに。(ナサケ)」

「いや、だってこういうのって受け取っておかないとダメなんでしょ?
僕は政治とか分からないけど…」

「まぁ色々と思惑があるのは確かだ。
素直に受け取っとく方が良いだろうな。(レドリック)」


王都では渋りに渋って受け取ったが、結果的にはヒュマノ聖王国から子供獣人を救出する際に参加した者達への報酬に回したので、今後も巡り巡ってそういった方面に使用するだろう、との判断でもあった。

だが問題なのは″その額″であった。
ローグは具体的な報酬額を次々に紙に記していった。


「えー、先ずは海洋種と国交を結べた事に関する褒美。(ローグ)」サラサラ…

「はい。」

「次に″森の番人″討伐の褒美。
これは君の両親がその昔に討伐した時の額を元に算出している。(ローグ)」サラサラ…

「え!?こ、こんなに…?」

「その次、ヒュマノ聖王国から子供獣人を救出してくれた、その陣頭指揮を取ってくれた褒美。
並びにヒュマノ聖王国との″戦争回避″に貢献してくれた褒美だ。(ローグ)」サララ…

「い、いやいや…この額は流石に…」


思い返せば、獣人国に訪れた当初はヒュマノ聖王国との全面戦争も囁かれていた事を今更に思い出す。


「隣領のスロア領との岩塩採掘の利権、並びに海洋種との仲立を行ってくれた褒美。
殆ど無傷での防衛達成の褒美。これには私の方から色を付けさせて戴く…(ローグ)」サラサラズカカカッ!

「ひ、ひぇええ!?
ゼ、0が、0が9個も並んで…!?
ローグさん計算間違えてますよ…?」

「間違えてない。(ローグ)」キッパリ。


普段戦闘では一切悲鳴を上げないノアだが、ローグが算出し、紙に記される報酬額に、0が足されていく光景に情けない悲鳴を上げていた。

その後、提示された額を恐れて何とか減額させようとローグに要求したり、9割9分を両親に押し付けようとしたが、お釣りとして9割9分9厘返すと口を揃えて言われ、膝から崩れ落ちる事となった。

結局ローグによって問答無用で冒険者ギルドへ入金の指示を出されてしまうノアなのであった。





「さて、そろそろ儂は退出させて貰おうかの。
10年前に死んだ事にされた者が王城を彷徨いておったらあらぬ噂が立ってしまうじゃろうしな。(ツェド)」

「む?気にしなくても大丈夫だぞツェド殿。
そもそもここを出てどうすると言うのだ?(ローグ)」

「奪われたとは言え、儂の国から【魔王】が出現してしまった事に対するせめてもの責務じゃ。
先に旅立った【暗殺】集団と共に【魔王】を追おうかと考えとるよ。(ツェド)」


ノアの報酬金騒ぎを横目に見ていたツェドが徐に席から立ち上がり、ローグの私室から退出しようとする。

どうやらツェドは早々に旅立ち、南獄大陸へと向かったバラス、アルキラー等の【暗殺】達を追い掛けようとしていたらしい。

ちなみに、旧ヒュマノ聖王国に長年囚われていた元奴隷の獣人達は、傭兵稼業を生業としていた者が数多かった為、徒党を組んで方々に散る予定らしく、各々が第2の人生を歩み出そうとしていた事がツェドに【魔王】追跡を決心させた要因だと言う。

元奴隷達からは「静かに余生を過ごしてくれ」と言われたが


「儂は悪い意味で顔を知られとる。
そんな爺を受け入れてくれる所等ありゃあせん。
元々スパルディア(ヒュマノ聖王国の前身)は流れ者じゃ。流れ者は流れ者らしく散るだけよ。(ツェド)」


との事だった。

するとツェドの話を聞いていたノアが″とある提案″をし出した。


「…今の話を聞く限り、″受け入れてくれる所″があればその考えは改まるんですか?」

「ぬ?(ツェド)」





~数日後のスロア領~


「えー、本日からここスロア領で君達に勉強を教えてくれる″セグンダ″さんです。
皆さん元気にご挨拶しましょうね。(デミ)」

「「「「「「「「「「よろしくおねがいします!!(子供の獣人達)」」」」」」」」」」


ツェドこと″セグンダ″は現在、デミ・スロアが治めるスロア領に子供獣人達の″教育係″として来ていた。

子供獣人とはいえ、4000人も居ると領民と獣人国からの人員だけでは手が回らない。
試しにノアの方からデミに打診した所、すんなりと承諾された。

勿論デミにはツェドの事は伝えた上で、である。


″奪われたとは言え、ツェドさんの国で生まれた子供達に教育を施してあげる。
という生き方も良いんじゃないですか?″


(…全く、あの若さで粋な計らいをしてくれたもんじゃ…
まぁ子供達の事は心残りじゃったから、残された人生をこれに費やすというのも良いかも知れんな。(″セグンダ″))


ツェドこと″セグンダ″は、数日前に王城の私室でノアから言われた事を思い出して軽く微笑んでいた。

そんなツェドこと″セグンダ″の後ろで


(全く、10日振りに元気な姿を見せたと思ったら、とんでもない額の″寄付″と″人員(前王)の打診″をしてくるんだもんなぁ…
頭が着いていかない内に受諾したが大丈夫かな…
領民も何人か気付いているみたいだし…(デミ))ダラダラ…


人員の確保や寄付は正直言って嬉しい。
だが人員がヒュマノの前王で、寄付の出所が獣人国からノアへの褒美である事が少し心配でならない様子。

だが獣人国とノアからも了承されているので、デミは特に気にしなくて良いのである。


「ねぇ、おじいちゃんはなにをおしえてくれるせんせいなの?」

「ん?何でもじゃよ。(セグンダ)」

「「「「「「「「「「「「「なんでも?(子供獣人達)」」」」」」」」」」」」」」

「あぁ何でもじゃ。
儂はこう見えて昔″先生の真似事″をしていた事があるから割と物知りなのじゃ。
興味のある事、知りたい事、少しでも頭の中で引っ掛かった事、なぁんでも聞いてくれてえぇ。
君達には知る権利があるし、儂は教える義務がある。
いつでも頼ってくれて良えぞ。(セグンダ)」


ツェドこと″セグンダ″は堂々とした立ち姿で子供獣人達へ向けての自己紹介を終えるのだった。
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