ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

【商人】ベイゼルと御者ミリア。

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 ~冒険者ギルド前~

 ひょこっ。

「ベイゼルさん?」

「ぅん…?
 おおっ!これはこれはノア殿!
 まさか再び出会えるとは思ってもみませんでしたぞ!
 あ、ほら、″ミリア″、ご挨拶を。(ベイゼル)」

「お久し振りですノアさん。
 先日はありがとうございました!(ミリア)」

「いえいえ。」


 冒険者ギルド前に出る路地を曲がると、今まさにギルドに入ろうとしていた5人組を発見。

 1人は【商人】のベイゼル。
 以前数日の間(王都編 タイトル:『王都の隊員さん方ですか?』・再びアルバラスト編 タイトル:『商人のベイゼル』にて登場)に2度も野盗に襲われ、2回共ノアが救った人物である。

 2人目は″ミリア″。
【商人】ベイゼルが所有していた荷馬車の御者をしていた少年で、歳の程は分からないが見た感じ12才位だろう。
 華奢で中性的な見た目なので女の子に見える子である。

 3、4、5人目は剣と弓を携え、皮鎧を身に付けた3人組の冒険者パーティで、恐らく護衛だと思われる。


「皆さん。既に彼の事は知ってると思うが、2度も【商人】としての命を救ってくれた【鬼神】のノア殿だ。(ベイゼル)」

「御前試合で見た子ね…」
「凄ぇ…本物だ。」
「わーい、握手握手♪」


 ノリの良い冒険者から握手を求められつつ話を聞くと、やはり3人組の冒険者パーティは以前の野盗襲撃以降に雇った護衛らしい。


「あの…ここへは…」

「実は先程ここを発とうとしていたのですが、ギルドの方から連絡を頂いて、この子を『商人見習い(メルカドール)』として雇うと言う新進気鋭のクランが見付かったとの事で引き返してきたのですよ。(ベイゼル)」


 本来であれば御者として今後も各地を一緒に転々とするつもりであったが、野盗との遭遇率が何故か高く、不安視していた時にギルドから勧められたのだと言う。


「何でも出来立てホヤホヤのクランらしく、クラン名がまだ登録されていなかったのですが、「心配ご無用」と太鼓判を押していましたよ。(ベイゼル)」

「ほぅ…」


 ノア自身、どの【商人】が来るのかは聞かされていなかった為、「もしかして僕のクランかも」とは敢えて言わなかった。

 が″出来立てホヤホヤ″と言う部分でまず間違いは無いだろう、とは思うノアであった。

 その後、後を追いかけてきたヴァンディットとラインハードとも合流。
 2人にベイゼルとミリアと言う少年の事を紹介し、共に冒険者ギルドへと入っていった。





 ~冒険者ギルド内~


「ご足労頂きありがとうござ…おや、これは丁度良いですね。
 もしや既に何かお話しされたりなさったのでしょうか?(受付嬢)」

「「へ?(ベイゼルとミリア)」」


 建物内に入ると、受付嬢が出迎えてくれた。
 ノアとベイゼルを見るや笑顔を向けて来たが、当のベイゼル等一行は意味が分かっていなかった。


「今回ベイゼル様のお弟子さんでいらっしゃるミリアさんが加わる予定のクランは、先程設立されました『きじん』。
 隣にいらっしゃいます、中級冒険者ノア様のクランになります。(受付嬢)」

「あ、やっぱりそうでしたか。
 よろしくね、ミリア君。」

「「っえ″ぇえ″え″え″え″え″え″っ!!?(ベイゼルとミリア)」」


 何と無く察していたノアは特に驚く様子も無く、身を屈めてミリアに会釈したが、対するベイゼルとミリアはまるで猫の様に驚いて飛び上がっていた。

 何なら護衛の冒険者3人組は、驚きのあまりその場で固まっていた。





「…っと、当分の間ミリア君には後ろに居るヴァンディットさんとラインハードさんが受けた依頼の報告等に同行。
 慣れてきたら単独でお願いしたい。」

「はい。(ミリア)」

「商人として目を養う目的で街を散策する時は言ってくれればそちらを優先して貰って良いし、治安が悪ければ同行しよう。」

「そ、その時はお願いします。(ミリア)」


本来であれば、面会して話を聞いてクランの方に加入するかどうかを精査する場だったのだが、既に加入する前提で話を進めている。

以前に出会っていたので、少なからず気心が知れているのも大きかった。

ミリアはノアから言われた事を真面目に聞き、何度も反芻して覚え込む。
そんな様子をベイゼルは少し離れた場所で温かい眼差しで見守っていた。

すると護衛の1人がベイゼルに耳打ちし


<…そういえばベイゼルさん、″あの事″伝えておいた方が良いのでは…?>

<…あ、そうだな。
ノア殿なら差程気しないと思うが、念の為言っておかんとな。>

(ん?何かあるのかな…?)

(『フラグか?』)


と、ヒソヒソと何やら思わせ振りな事を話し合っていた。
普通なら後の騒動に繋がる口振りだがはてさて。


「あ、あの、それならこれから少し街を回りたいのですが良いですか…?(ミリア)」

「ん?あぁ良いけど、ここに居る間に見て回らなかったの?」

「…あ、来た時から人が一杯で、防衛戦とかで全然表に出れなかったから…(ミリア)」

「あの時ってそんな感じだったんだね…」←防衛戦の時前線張ってた人


ベイゼルの発言も気になるが、直ぐに言いに来ない辺りそこまで重要な事でも無いのだろう。

なので、出会って早々積極的に行動を取ろうとするミリアのお願い事を聞く事にした。

するとカウンターに居た受付嬢が


「あ、ノア様。
早速ですがクランの団章が出来上がりましたのでお受取り下さーい。」

「え?早いですね。『『『ジャラ。』』』
おー、何かカッコいいなぁ。」


クラン『きじん』の団章を受け取るノア。
大きさは金貨よりも2回り大きいコイン型のペンダントで、団章のデザインは2本の刀剣を背中にクロスして差し、両の手にもう2本を携えた少年の後ろ姿が彫られている。

幾ら何でも作成が早すぎないか?と思ったが、事前にローグ王から打診があったので先行して作成していたらしい。

受け取った団章をヴァンディットとラインハードに手渡し、各々首に下げていく。


チャラ…

「はい、ミリア君も。」

「あ、はい。ありが『スル…ファサ…』


ノアは手ずからミリアの首に掛け、肩に届きそうな髪に掛からない様、髪を掻き上げて下げてあげた。


「これで君は僕の(クランの)モノだね。」

ドキッ…「っあ…はい…(ミリア)」

「?」


微笑み掛けながらそう言われたミリアは、何故か顔を赤らめ、ノアは首を傾げていた。


(『たらし。』)

(何の事?)


短いですが、この辺で。

まぁ、分かりますよね…?
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