ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

視えないモノ

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~宿場にて~


「はぁ…(ミダレ)」クシクシ…


村人達が畑の方に向かい、閑散とした宿場内のカウンターでは、ミダレが自身の髪をいじりながらテーブルに突っ伏して何やら物思いに耽っていた。


″「え、でもノア君の邪魔にな『グイッ!』「来いって。」…はひ…」″


「うーん…(ミダレ)」

ニギニギ…(ノアに引っ張られた手の感触を確かめる音)


″「身を屈めて俺の後ろにピッタリと付いてろ。
絶対に守ってやるからよ。」″


「…ん…(ミダレ)」

サスリ…(ノアに引き寄せられた際の首の感触を確かめる音)

「…あっち(私)よりも年下やのに…ノア君の背中、大きかったなぁ…(ミダレ)」

スリスリ…(テーブルをノアの背中に見立てて体を当てている音)

「…まだドキドキしてる…あっち、やっぱりノア君の事好「大丈夫ですかミダレさん!?」ほわっひょい!?(ミダレ)」


先程の事を思い返し、今も尚ノアの事を考えていると胸が高鳴るミダレは、小声で想いの丈を吐露していた所、唐突に声を掛けられて思わず奇声を上げて猫の様に飛び上がってしまった。


「大丈夫ですか?先程から手首や首の具合を確かめていましたが、もしや何処か痛めていたり…(ヴァンデイット)」

「だ、大丈夫ですか…?(ミリア)」

「もしかしてノア君に強く引っ張られちゃったとか?(ラインハード)」

「はて?ノア殿の事について何やら呟いておら「わ、わー!大丈夫!何でもないっちゃよ!(ミダレ)」


女性陣からは体調不良を疑われたが、クリストフには吐露していた所を聞かれていた様で、慌てて取り繕うミダレ。

と、そこに


ガチャ。

「あ、ただいま。」

「あ、お帰りなさいませノア様。(ヴァンデイット)」
「お帰りなさいノアさん。(ミリア)」
「お疲れ様ー。相変わらず仕事が早いね、ノア君は。(ラインハード)」

「お、ノア殿丁度良い所に。
ミダレ嬢が何やら話「お、お帰り!ノア君!(ミダレ)」


丁度良いのか悪いのか、ノアが宿場に戻ってきた。
各々挨拶を交わす中、ミダレは誰よりも声量があったという。


「…と皆、戻って早々で悪いけど、またちょっと畑の方に向かわなきゃならなくなった。」

「む?また何か厄介事ですかな?(クリストフ)」

「厄介事と言えば厄介事だけど、いつも通りと言えばいつも通りかな?」

「「「「うん?」」」」


ノアの言っている事が分からないと言った様子の一同。


「まぁ簡単に言っちゃうと、″勝負″を申し込まれたんだ。ただいつもと違って相手から″要望″があったけどね。」

「え?″要望″って?(ラインハード)」

「″死の恐怖を味わわせてくれ″だってさ。」

「「え?(ミダレとミリア)」」
「″死の恐怖″って…え?(ラインハード)」
「それってどういう…?(ヴァンデイット)」

「…まぁ、″死線″を越える事でしか得られない攻撃スキルや感知系スキルなんかもあるけども…
ザラットさんの場合は違うと思う。
もしかしたら″死″に近付く事で″視えないモノを見ようと″しているのかも知れないな…」

「?それはどういう事ですかな?(クリストフ)」

「″死線を越える″ってのは良い事ばかりじゃない、って事だよ。
それじゃ、僕は出掛けるとするよ。」

「お、ちょっとお待ちを。(クリストフ)」
「「私も行きます。(ミリアとラインハード)」」
「あっちも。(ミダレ)」
「私も。(ヴァンデイット)」


何やら意味ありげな事を話すノアは、足早に宿場を出ていく。
それに続く様に一同もノアの後を着いていくのだった。


(そう言えばいつの間にかエミさんとユー君がいなくなっていたけど、何処行っちゃったんだろう…)





~畑区画のとある広場~


「はぁ!?手合わせを受けただってぇ!?
嘘言ってんじゃないだろうねザラット!?(アレイ)」

「嘘は言ってない…
自分でも驚く程すんなりと了承してくれたよ。(ザラット)」

「…良いかい?さっきも言ったがあの坊やはこの村にとっては恩人さ。
怪我をさせたらタダじゃおかないよ?(アレイ)」


とある広場にザラットとアレイ、″死にたがりのザラット″が″また″勝負をするという事を聞き付けた村人達が集まっていた。

宿場のおばちゃんアレイは、ノアがザラットと勝負をする事に不安を感じているが


「…安心しろアレイ…
俺の″直感″がどう足掻いても彼には勝てないと言っている…
彼なら俺の要望に応え、また″家族に会わせてくれる″ハズだ…(ザラット)」


ザラットはこちらにやって来るノアを眺めつつそう呟いていた。





スタスタ…

「なぁ…旅の少年よ、ザラットの事を悪く思わんでくれ…?」
「ザラットさんは昔色々あった影響でこんなんなっちまったが、根は良いヤツなんだ。」
「アレイさんは″一時の安らぎを得る為だけに強い相手を求めてる″って言ってるが…その…」

「安心して下さい、僕はザラットさんの事を悪く思ってはいませんよ。
それに勝負を求められる事が頻繁にあるので慣れっこですし、皆何かしらの理由があって申し込んでくるもんです。
まぁその内の100人位は純粋に戦ってみたかっただけでしたけどね。」


広場に向かうノアに村人達が宥める様に色々と言ってくるも、ノアは特に気にした様子を見せずに歩を進める。
その対応に村人達は思わず足を止めてしまうのだった。


「頻繁にって…」
「100人って…え?」





ザリッ。

「来たか…いや、来てくれたか。(ザラット)」

「要望を聞いて何やら訳ありの様でしたのでね。
それで?″死の恐怖を味わわせてくれ″とはどういう意図がおありですか?
何か身に付けたいスキルがあるとか…?」

「スキル等の類いを欲している訳では無い。
あくまで″個人的な要望″に過ぎない。(ザラット)」

「…もしかして″視えないモノを見ようと″していませんか?」

「…何か知っているのか…?(ザラット)」


事前に予想していたノアだが、どうやらその予想は的中していたらしい。


「こう見えて僕は幼い頃に何度か死にかけているのでね。
これからの季節なんかは特に″見る機会が多い″。
僕からすれば″見たくはない″のですが、ザラットさんは″誰を″見たいのです?」

「…それは今は言えない。
要望に応えてくれたら教えてあげよう。(ザラット)」キンッ!


勝負を始めよう、とでも言いたげに腰からロングソードを抜くザラット。
それに対してノアは驚きの行動に出るのであった。   
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