ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

残るは【猛獣使い(ビーストマスター)】と【竜操騎士】

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「さて、【勇者】軍第8部隊エドガーの話が本当なら、残りは【猛獣使い(ビーストマスター)】と【竜操騎士】と言う適正持ちの2部隊を始末すれば良いハズだ。
さっさと向かおう。」

《はい。》ズボボボボッ!(地面に潜る音。)

「ですな。
そろそろ日も傾きますし、湿度も上昇中…
恐らくザッと降ってくるでしょうしな。(クリストフ)」


一息入れていたノアが立ち上がると、早速北へ向けて歩きだす。

ウォルタメ方面へと進軍していた【勇者】軍第9・10部隊の始末に向かう為である。

時刻の程は分からないが、山間となれば夕方でも薄暗くなり、空には厚い雲が立ち込めてきており、尚更辺りは暗くなってきていた。

クリストフはノアの後ろに付き、グリードは地面に潜る。

未だ【勇者】軍の選別作業真っ只中の集団を横目に村の出口へ向かう。




タッタッタ!

「待ってくれ!まさかとは思うが、こちら側に向かってきている残りの2部隊の所に向かうつもりか!?(スヴィエト)」

「そうですが?」

「もうすぐ日も暮れるし雨も降る。
夜行性のモンスターも出てくるだろうし、その中で【勇者】軍2部隊を叩きに行くんは自殺行為ぞ。(ディオ)」

「それが何か?」

「明日の早朝、明るくなってから奇襲を仕掛けりゃ…(ゾネス)」

「暗くなれば姿を。雨が降るなら足音や匂いを消せるし、モンスターが出てくるなら敵にぶつけて混乱に乗じる事も出来る。
チンタラ朝まで待ってたら相手にも時間を与えてしまう。
そちらにとって悪条件であっても俺らにとっては好条件だ。」

「我等の場合、その程度は障害にはならんのですよ。(クリストフ)」

「安心しろ。この村の時と同様、制圧したら一纏めにしといてやるよ。」ヒラヒラ。


ノアはそう言って手を振りつつ村を出ていくのであった。





~村から400メル程離れた山の頂上~


クルルル…バサッ!バサバサッ!


とある山の頂上、何かのモンスターが喉を鳴らしている音が辺りに響くが、姿が見えない。

続いて何やら翼をはためかす音が響くが姿は見えず、ただ木々が大きく揺らぎ、辺りに突風が吹き荒れた。


ユラリ…バサバサッ!


突風の発生源が上空に浮かび上がると、一瞬空間が揺らぎ、5メル程の翼竜の様な輪郭が現れる。

が、直ぐにその輪郭は消え、突風と共に北方へと飛翔していった。





「スヴィエトさん、確か残りの【勇者】軍って【猛獣使い(ビーストマスター)】と【竜操騎士】を頭とする2部隊ですよね?(シグ)」

「あぁ。【勇者】軍の中で総戦力がイマイチ掴めない得体の知れない部隊だ。
下手すれば【勇者】軍第5~8部隊を合算しても敵わないかも知れん。(スヴィエト)」

「だ、だったら何故彼等を行かせたんです?(ルミナ)」

「彼等はこの【勇者】軍第8部隊よりも前に第5・6・7部隊と相手している。
進軍スピードを鑑みても恐らく短時間で制圧したハズだ。(スヴィエト)」

「それに奴ぁまだ余力を残しとる。
白い何かも殆ど手を出しておらんし、謎の竜も居る。
下手すりゃ儂らの出る幕ぁ無いんじゃねがな?(ディオ)」

「あぁ…そもそも村を出る時に私達に声掛けしなかった事を考えると、私達を戦力として考えていなかった様だ。
シグ、本当にさっき鑑定した時に何も見えなかったのか?(スヴィエト)」

「ええ。適正所か年齢まで鑑定出来ませんでした。名前は『ノアール』と出ましたが、これも偽名でしょう。(シグ)」

「シグ、アンタ平時はギルド職員なんだから『ノアール』って冒険者を見聞きしたりしないの?(ウェイ)」

「『ノアール』と言う名前に心当たりはあるが、どれも特徴が当て嵌まらないよ…(シグ)」

「「「「はー、つっかえ…」」」」

「う、うるさいなぁ!(シグ)」


村に残っている者達は一様にノアの正体を考えていたが、皆目見当がつかない様子。

だが、彼等の話を聞いていた、パルディック・ロスト伯の私設傭兵団『ガルジオ』のリーダーゾネスと、騎士団団長は


((そういえば昔、ロスト(貴族)様が″私の人生の恩人はノア…ールと言う少年であった″とか何とか言ってたなぁ…))


と、思い返していた。





テクテクテクテク…

「なんかノア殿、見た目相応の言い回しになりましたな。
″俺″呼びもスムーズになりましたし。(クリストフ)」

「…でもこの姿の時だけにするつもりだよ。」

「え?何故です?
普段の姿(15才)でも″俺″呼びで良いのでは無いですか?(クリストフ)」

「…僕は前々から戦闘時に語気が強くなったり、少し手荒になってしまう傾向にあるんだ…
ほら、さっきも村でミダレさんを助けた時に少し手荒に扱ってしまったり、語気が強くなったりしてたでしょ?」

「えぇ、まぁ…(クリストフ)」

「そしたらミダレさん、暫く目を合わせたらそっぽ向く様になっちゃったから、せめて普段は気を付けよう、って思ってるんだ。」

ヌモモ…

《気にしすぎではないですか?
そこらを歩く同年代は普通に″俺″呼びですよ?》

「うーん…そうなんだろうけど、なーんか偉ぶってる感じに聞こえそうで嫌なんだよねぇ…」

「《ノア殿(様)はもうちょっと偉ぶって良いと思いますよ?》」

「…そっかなぁ…」テクテクテクテク…


薄暗い森の中を雑談しながら進む2人と1頭。

そこから直線距離で3キロメル程行った場所で


「…第8部隊からの連絡が無くなってから早3時間…この先の村で返り討ちにでも遭ってんなぁ?(【猛獣使い(ビーストマスター)】)」

「まぁ待て、今『インビジブルドラゴン』に偵察に行かせている。
それよりもお前が昨日『テイム』して放ったネズミ共(カッパラット)はどうした?
やっぱ殺られたか?(【竜操騎士】)」

「その様だ。
まぁ元々この辺じゃ害獣扱いされていたみたいだから駆除されたんだろ。
朝方ウォルタメ方面で一気に駆除されたのは良いんだが、そいつらの親玉であるカッパラッテヤッタラットまでリンクが切れた。
恐らく上級冒険者が居たんだな。(【猛獣使い(ビーストマスター)】)」


南下した仲間からの定期連絡を待っていた【勇者】軍第9・10部隊だが、ある時を境に連絡が来なくなった事で、南下した何処かの村で返り討ちに遭ったのだと考察し出す。

また、【猛獣使い(ビーストマスター)】が前日に『テイム』して放ったカッパラット(ウォルタメに訪れた群れ)が親玉のカッパラッテヤッタラット(ザラットが討伐)と共に屠られた事に違和感を感じていた。


『『バサッ!バサッ!』』ズズゥン…

「お、帰ってきたな?
『インビジブルドラゴン』、第8部隊の野郎共は何してやがった?(【竜操騎士】)」


上空から突風が吹き荒れたかと思うと、全体的に線の細いドラゴンが舞い降りてきた。

『インビジブルドラゴン』は、羽ばたく際の突風と5メル程と、竜種としては決して大きくない体躯を目の前にしてやっとその姿を視認する事が出来た。



『インビジブルドラゴン』…別名『幽霊竜』。
″幽霊″とあるが、ちゃんと実体があり茶褐色の表皮が特徴的である。
全体的に線が細く、戦闘力はあまり無い。
が、強力な<認識阻害>持ちで、意識的に見ようとしないと目が滑って目の前に現れるまで姿が分からない程である。
性格は臆病。



キュルルル、クルルル。
キュンキュル、ルルル。

「ふむふむ…(【竜操騎士】)」

「おい、何つってんだ?(【猛獣使い(ビーストマスター)】)」


可愛らしい鳴き声を上げつつ【竜操騎士】に説明する『インビジブルドラゴン』。
どうやら【竜操騎士】はドラゴンの話す言葉が分かる様だ。


「おいビスマス、隊の奴等に準備させろ。
第8部隊はこの先の村で制圧・捕縛され、ここに来るのも時間の問題。
そしてこの地に3つの″ヤバイの・白いの・途轍も無くヤバイの″が向かって来てるらしい。(【竜操騎士】)」

「何とも曖昧な表現だが…まぁ良い、了解した。(【猛獣使い(ビーストマスター)】ことビスマス)」
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