ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
871 / 1,124
取り敢えず南へ編

探りを入れる一同

しおりを挟む
~ウォルタメ・昼頃~ 


「儂らは一晩この村に残ってくど。(バド)」
「農具の手入れやら金物が不足しとるらしいから、傷んだり、古い物を鋳込んで幾つか作成しよぅ思ってな。(ルド)」
「たまに手を動かしとかんと腕が鈍っちまうからな。(ロイ)」

「了解しました。
『アンテイカー』と言う村でお待ちしておりますぞ。(クリストフ)」


昼頃になり、ノア達一行は旅支度をして村の入口に向かう。
ドワーフ達は元々、ノア達とは1~2日遅れて後を追う形で旅をする予定であった為、今回もその流れに沿った形である。

今回ドワーフ達が村に残る理由は、農具の手入れだとか。
前日に村人達がカッパラットの群れを追い払う為に各々農具を振ったが、発達した脚の筋肉に阻まれ、欠けや割れ等の破損が起きてしまったらしい。

既に店を広げたドワーフ達の下には、破損した農具を持ち込む者が多々おり、行列が出来ていた。

ドワーフが腕を振るった農具…
もしかしたらそこらの冒険者の得物より優れた代物になるかもしれない。

ちなみに村にはドワーフ達の他にパルディック・ロスト伯爵の私設傭兵部隊と騎士団が少しの間残ると言う。

私設傭兵部隊は村周辺の見回り、騎士団の者達はカッパラットによって受けた農作物被害の算出・疫病の調査だとか。





「『アンテイカー』までは割と一本道さ。
村をまーっすぐ下っていくと森に入る。
そのまま暫く進むと、山と山の間に広がる草原をひたすら進めば自ずと村が見えてくるさ。(アレイ)」

「ふむふむ、了解しました。」


アレイから『アンテイカー』までの道のりを説明して貰い、頭に叩き込む。
といってもそんな難しい説明では無かったので大丈夫だろう。


「それじゃあ皆さんお元気で。」

「それはこっちが言う台詞だよ。(アレイ)」
「確かにな。(ザラット)」


村を出る際アレイとザラット、他の村人達が見送ってくれた。
アレイや村人達は気付いていないが、アレイとザラットの後ろにはユーを抱えたエミも立ち、ノアへ笑顔を向けていた。

ここで家族4人が初めて揃った形となったのであった。

そんな一同に、ノア達一行は手を振って応えたのであった。





~村を出て20分後・森の中~


『『『『『『テクテクテクテク…』』』』』』

「まだ昼だと言うのに森の中は暗いですねぇ。(ヴァンディット)」

「お陰で日が遮られて涼しいから良いよね。」

「この暗さ…幽霊でも出そうですね~。(ラインハード)」

「そうだね~。」

「「…あれぇ?」」

「え?」



~その2分後~



「ね、ねぇノア君、木ぃの所に誰か居らん?
も、もしかしてお化けちゃうん?
お化けやったら怖いなぁ…(ミダレ)」

「うん…?いやいや、あれは朽ちた木だよ。
よくあるでしょ?葉っぱや木の枝、岩肌なんかが人の表情に見えるヤツ。
…というかミダレさん、さっき″お化けはそこまで怖くない″って…」

「う…(ミダレ)」

「でもまぁ…」

ギュッ。グイッ。(ミダレの手を握って引き寄せる。)

「ほぇ…?(ミダレ)」

「怖くなったら俺の傍に来い。
なーに、お化けの1人や2人俺が蹴散らしてやるからよ。」

「は、はひ…(ミダレ)」ゾクリ…

(あ、まだ″俺″呼びが抜けきって無いし、また手荒にミダレさんを扱ってしまった…
いけないいけない、気を付けないとな…)

(『主これを無自覚にやってんだもんなぁ…』)



~更にその2分後~



「ねぇねぇ、知ってますかノアさん。
実はこの辺りではよく、子供を抱き抱える父親の幽霊が目撃されるとか…(ミリア)」←作り話

「うーん…父親じゃなくて母親の幽霊ならウォルタメに居たんだけどね。それとは別のかな?」

「ぇ…
…ノ、ノアさん、私も手繋いで貰って良いですか…?(ミリア)」



~更に更にその2分後~



「ノア殿、真っ白な衣服を着た髪の長い女性が道端に立っていたら怖いと思いませぬか?(クリストフ)」

「真っ白ボディで人間サイズのエリンギに比べたらインパクトに欠けるかなぁ…」


事ある毎にノアにお化け・幽霊絡みの話を振る一同だが、ノアの反応はいつも通りであった。


「あれれ?さっきの反応からしてノア君幽霊が苦手そうなのに…(ラインハード)」ヒソヒソ…
「何かいつも通りですね。(ヴァンディット)」ヒソヒソ…
「あ、あかん…ウチ、強引にされるの好きかも知れんっちゃ…(ミダレ)」ヒソヒソ…
「ね、ねぇねぇ…村で幽霊なんて居なかったですよね…?ね?(ミリア)」ヒソヒソ…
「もしや我々の勘違いだったのかも知れませんなぁ。(クリストフ)」ヒソヒソ…

「おーい、そこで固まって何してるのー?
置いてっちゃうよー。」


何か思ってたのと違った様子の一同は、取り敢えず″勘違い″という事で一時保留とする事にした。





~何だかんだ2時間後・近くに川が流れる草原地帯~


『フリーハ・グマ出没注意』
『フリーハ・グマには優しく抱き付きましょう。』
『ギュッ!✕、キュッ。○』

「″フリーハ・グマ″?
聞いた事無い名前の熊だなぁ…」


暫く進んでいると、幾つもの立て看板が見えてきた。
そのどれもが立ち上がって威嚇のポーズをする熊の絵が描かれていた。


ガオー。

「ん?何処からか雄叫びが聞こえてきましたな。(クリストフ)」

「奥からだ。
もしかしたらこの立て看板に描かれている″フリーハ・グマ″に襲われてるのかも知れないぞ。」


一行の進行方向から熊のモノと思しき雄叫びが聞こえてきた。
もしや誰かが襲われているのでは、と感じたノアは先を急ぐのであった。





ガオー。

「……。」

「「「「「……。」」」」」


一行の視線の先には、荷馬車とその持ち主であろう商人が威嚇のポーズのまま佇んだ熊に抱き付いていた。


モフ。グルル…


すると今度は熊の方から商人を優しく抱き返し、満足したのか商人から離れた。


「あ、そちらの方々、この″フリーハ・グマ″は温厚なので優しく抱き付けば通して貰えますよ。」

「は、はぁ…」



フリーハ・グマ…道の真ん中に佇んでハグを求めてくる熊。
温厚でありキレイ好きな為、脂でベタベタしている事も無く、毛はモフモフである。

相手の抱き付き具合に応じて抱き返す力加減が変わる為、モフモフしているからといって強く抱き締めると全身の骨を砕かれてしまうので注意。

このフリーハ・グマが生息している地域の者達が他の地域に移り住むと、「何で熊が襲ってくるの!?」と疑問に思うと言う。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...