ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

オギャア

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『『『カツーン、カツーン…』』』


洞窟(旧隧道)に入って大体100メル程。

中は漆黒で<夜目>を発動しても非常に暗く、素堀りである為足下頭上共に注意が必要である。

だが、<反響定位(エコーロケーション)>を発動して地形を把握したノアが先導している為、順調に探索が進んでいた。


「えっと、君が発動した<反響定位(エコーロケーション)>とか言ったか…?
性能を聞いてみても…?(ヒュージャ)」

「良いですよ、音の反射を利用して対象との距離や地形を探るスキルですよ。
特にこういった狭い場所なら効果抜群です。
<夜目>を持っていなくてもサクサク進めますしね。」

「…確かに、<夜目>を使っていても薄暗い洞窟内を軽快に進んでいるな…
さぞ取得が大変「いや、そうでもないですよ。」…え?(ヒュージャ)」

「″壁に向かってひたすら声を出し続ける″と何れ取得出来ますよ。
まぁ中々に誤解される絵面になりますがね。」

「…確かにそこだけ切り取ったら病んでると思われるな…
しかし聞いといて何だが、良いのか?スキルの取得方法をそんなにペラペラと喋ってしまって…(ヒュージャ)」

「え?何でです?」


探索中無言もアレなので、<反響定位(エコーロケーション)>の説明をしつつスキル取得方法についての話に移行。


「世の中にはスキル伝授や取得方法の教育なんかを生業としている者も居る位なんだぞ?
君が使ってた<浄化>が最たる例で、正規の方法で取得しようとしたら500万ガル掛かるんだぞ?(ヒュージャ)」

「ぶふっ!えっ!?そんなに掛かるんですか!?」

「<浄化>スキルは応用に幅があるし、運用によっては一財産稼げるからな。
だが莫大な魔力を消費するのと、かなりの信心を要する為<浄化>スキルの取得率は異様に低い。
その取得率の低さ故に裏では金儲けに利用しているのでは?なんて考察する者も居る。(ヒュージャ)」

「ふ、ふーん…」

(そう考えると何でそんな貴重なスキルをエミさんは伝授してくれたんだろう…)

(『ほんとにな。』)

「いやいや、″ふーん″て…
俺としては何で君がそんな貴重な<浄化>を持っているのか凄く気になるのだが…(ヒュージャ)」

「え?」


ここでは無い何処かの国では、全うに神を信奉している者ですら<浄化>を授かるに至らない者が多数居る中、冒険者で<浄化>を取得しているのはノア位であろう。

当の本人はそこまで信仰心を持っていないものの、個人的に神々との繋がりを持っていた為、<浄化>を授かる事が可能であった。


「あぁそれはです『ズリ…』ね…っ!
話はここまでにしましょう、奥から何か来ます。」

「その様ですな。
何やら這う音が聞こえましたからね。(クリストフ)」


話を続けていると漆黒の洞窟の奥から何かが這いずる音が微かに聞こえてきた。

すると身構えるヒュージャが


「何っ?この暗闇で何か来られては敵わんぞ!?
すまないが明かりを灯させて貰うぞ、″聖光(ライト)″。」


見えない環境ではどうしようもないと、ヒュージャは指先に″聖光(ライト)″という小さな明かりを灯す。




パッ。

あ″む″「ぬおっ!?」っ。ズシンッ!

「ノア殿!?(クリストフ)」

「ぅおっ!?何だコイツ!?(ヒュージャ)」


洞窟内が僅かに明るくなったかと思うと、ノアの目の前に黒ずんだ瞳と血の様な色の肌を持った巨大な赤ん坊の顔が出現。

その赤ん坊は恐ろしく素早い動きでノアを丸呑みしようと襲い掛かってきた。

寸での所でノアは肘を張って支えにして口を閉じるのを防いだ。


あ″む″あ″m″あ″む″あ″む″…(凄まじい力で咀嚼して呑み込もうとする。)

グググ…「口調の割に力がとんでもない!
絶対に近付くんじゃない…ぞっ!」

ギュオッ!ドゴッ!(高速で腰を捻り、勢いを乗せた上段蹴りを赤ん坊の上顎に叩き込む。)

チキッ、ギィイッ!ザシュゥッ!(回転力をそのままに、腰の荒鬼神ノ化身を抜き放ち、赤ん坊の上顎を削り斬る。)

『『ぅ″びゃ″ぁ″あ″あ″あ″a″あ″っ!』』

「ぐ!?(ヒュージャ)」ゾワッ!
「ぬぉっ!?(クリストフ)」ギシッ!


狭い洞窟内に背筋が凍る様な赤ん坊の悲鳴が反響。ヒュージャとクリストフは『恐怖』を感じて身を強張らせる。


「<浄化>ぁっ!」

『『『パシュゥウウウッ!』』』

あ″あ″あ″あ″あ、ァァァ…『ザァアア…』バイバイ…


悲鳴と共に『恐怖』を乗せてきた赤ん坊に向かって<浄化>を発動した直後、莫大な魔力の消耗と共に純白の光が発生して赤ん坊と一行を包む。

ヒュージャとクリストフに掛かりかけていた『恐怖』は霧散し、体が自由に動かせる様に。

血色の赤ん坊が光に呑まれると、恐ろしい悲鳴は可愛らしい子供の声へと。
姿・体色も通常の赤ん坊のモノへと変化し、そのまま光の粒となって消えていった。

定かではないが、消え去る寸前にノアに手を振っていた様に見えた気がした。


「うっ…」ヨロ…

「大丈夫かノア殿!?(ヒュージャ)」

「また魔力がごっそり抜けてった…
ぅう、頭痛い…」

『『キュポン!』』(マナポーションの栓を開ける。)

「ノア殿、マナポーションを!(クリストフ)」

「うーん…ありがと…」


急激な魔力消耗によって脱力感と頭痛がノアを襲う。
一先ず魔力の回復を優先させる為、少し休憩を取る事にした。



悪化兵衛(アッカンベエ)…『あかんべぇ』と言う赤ん坊の霊が悪霊化した姿。
直径3メル、血色の肌が特徴。頭部のみで行動する。
本人に攻撃の意思は無く、現世に留まる為に魔力を補給しようと″何でも″口に入れて呑み込もうとする。

対処法と言えるか怪しい所ではあるが、微動だにしなければ割と直ぐに吐き出しはするが、無傷である保証は無い。



あかんべぇ…見た目は普通の赤ん坊と変わり無く、大きさも普通の赤ん坊と同様。
霊体である為薄ら透けている。

好奇心旺盛で寂しがり屋な為、少し遊んであげると2時間の間<幸運(小)>を授けてくれる。



『『グビグビグビッ!』』

「ぷはぁっ!
…どうやら<浄化>は規模の大小に関わらず″保有している魔力の9割消費″するみたいだ…
昼間の時と同じ位魔力が消費されたからな…」

「…<浄化>1回でマナポーション6本ですか…連発は難しいですね…(ヒュージャ)」

「魔力が回復してもデバフ(脱力感と頭痛)は暫し続く様ですからなるべくここぞって場面で使わねばなりませぬな。(クリストフ)」   


休憩がてら使い所が難しい<浄化>について話し合う一行だが、洞窟の奥からは再び″何か″が近付いてきていた。


ヒタ…
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