ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

火の精霊なんだから火で喚ぶんだよ。

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「え?何て?」

「何っ!?坊も″火の精霊″を知らんとな!?
突飛な経験しとるからもう出会おぅとると思っとったわい!(ルド)」

「まぁええわ!
取り敢えず聖霊銀(ミスリル)を作る為にゃ″準備″がいるんじゃ!
坊、手伝えぃ!(バド)」 

「まぁ良いけど…」


ノアを呼んだドワーフ達はいきなり″火の精霊″をここに喚ぶのだと言った。

訳が分からず聞き返すと、「知らねぇの?」とばかりに目をひん剥いて驚いていた。

知らないと手伝えないのかと思ったがそんな事は無く、ドワーフ達の指示通りに動く事となった。





~聖霊銀(ミスリル)作りその1『作業場を綺麗に(浄化)しよう。』~



「坊、聞く所によると<浄化>を持っとるらしいな?(バド)」

「持ってるは持ってるよ。
純正の<浄化>とスキルとしての<浄化>があるけど…?」

「どちらでも構わん。
兎に角<浄化>して″精霊″が来やすい環境に整えにゃならんのでな。(ロイ)」

「それなら『『ズズズズ…』』離れてて。』

「「「「「「おぉぉ…!?」」」」」」


ドワーフ達が<浄化>を所望してきたのだが、<浄化>は魔力消費が激しい為、【固有スキル】としての<浄化>を行う事にした。

ノアは赤黒いオーラを立ち昇らせ、肩甲骨の辺りから追加の腕を2本生成。
それぞれの腕で荒鬼神ノ化身を抜き、眼前で″✕″を形作る。

街中の職人と教会関係者は、ノアの変貌に驚きつつも動向を見守っていると


『【鬼哭死重奏・穢祓ノ鐔鳴】。』

『『『『ギャリィイインッ!』』』』


「ほぉ。(バド)」
「ふむ。(ロイ)」
「むむ。(ルド)」

「わぁ…(ラインハード)」

「この音色…まさか<浄化>が乗っているのか…?(シンプソン)」
「心地良い音色ね。(ソシエール)」

(悪霊にとっては耳引き千切る位嫌な音に聞こえるらしいがな…(ヒュージャ))


【鬼哭死重奏・穢祓ノ鐔鳴】によって発せられた浄化作用が乗った音色は、工房内に響き渡り隅々に行き届いていく。

工房内には悪霊の類や、汚染された場所等は無いが、何処と無く篭っていた空気が取り払われた様な気がした。


「ふむ、何ぞ剣の気配が変わったと思ったらそんな力を宿したとはな。(ロイ)」

「ほほぅ、確かに浄化されとるのぅ。
これで次に移れるわいな。(ルド)」

『あ、まだあるんだね。』





~聖霊銀(ミスリル)作りその2『″火の精霊″を喚ぼう。』~


「さて、浄化されたこの場所に″火の精霊″を喚ぶ準備が整った訳じゃが…(ロイ)」

『″精霊″を喚ぶってどうするの?祈祷でもするの?』

「んな訳あるかい、″火の精霊″なんじゃから火を用いて喚び出すんじゃ。(ルド)」

「じゃが、ここは沼地のど真ん中にある街じゃ。生半可な火では″火の精霊″は来んじゃろ。(バド)」

『え?それじゃあどうするの?』

「「「″生半可じゃない火力″で喚び出すんじゃよ。」」」 


そう言って3人は再びノアが手にしている荒鬼神ノ化身を指差した。





ザッ!ザスッ!ザッ!ドスッ!(霊銀の山に荒鬼神ノ化身を突き刺す。)

『それじゃあ良い?魔力流すよ?』

「「「おぅ!やれぃ!」」」

『『『『ギィイイイイッ!』』』』(4本の荒鬼神ノ化身に魔力を流し、即座に白熱。)

「へへっ!熱っ!
これこれ!この火力じゃよ!この火力が良いんじゃ!(バド)」

「こんまま霊銀が融けるまで続けぃ!
大体4~5分で融ける故辛抱せぇよ!(ロイ)」

『了解。』


沼地故湿り気のある空気が漂っていた工房内が徐々にカラッとした空気に置き換わっていく。

その発生源には白熱した四刀を構える少年と、良い笑みを浮かべて霊銀の山を凝視するドワーフ3人の姿があった。

数分して融点に到達したのか、樽一杯分にもなる大小、形状様々な霊銀が徐々にホロリホロリと崩れて1つの大きな半固体に変化していく。


「おい坊!その剣は火力調整出来っか?(ロイ)」

『無理だね!0か100かのどっちかだよ!』

「すったらば、四刀から二刀に減らしてくれ!
ある程度の固さがねっど鍛えられん!(ルド)」

『ねぇ!これ普通に炉に入れて融かすんじゃ駄目なの?』

「″火の精霊″を喚ぶにゃ″純粋な魔力で生み出した熱″でねぇと駄目だ!(バド)」

「それに、霊銀を聖霊銀(ミスリル)にする為には不純物を極限にまで払わねばならん!
普通の炉で造るのは不可能だば!(ロイ)」

「汚れと穢れを払い祓う聖なるモノを造り出すにゃ、手間を惜しんだらあかんぞ!
ほれ、そろそろ鍛えっど!お前ら準備せぇ!(ルド)」

「「おぅよっ!」」





ガギン!ガァン!ガンッ!

「何か何処からか鈍い金属音が聞こえるっちゃ。(ミダレ)」

「確かノア様がドワーフさん達と聖霊銀(ミスリル)作りに参加されてるとか申しておりましたね。(ヴァンディット)」

「えっ!?聖霊銀(ミスリル)を作ってるんですか!?
通りでラインハードさんも居ないのですね、あぁ…知ってたら観に行ったのに…(ミリア)」


商人見習い(メルカドール)としてノアの旅に同行して日々目を養っているミリアとしては、高品質な素材は、種類を問わず見ておきたい所。


ガキュゥン!ギュィン!キュィン!

「でもたった今音が聞こえてきたからまだ間に合うんちゃう?(ミダレ)」

「そ、そうですね!急ぎましょう!(ミリア)」

「ふふ、そんなに慌てたら転んじゃい…あら…?(ヴァンディット)」

「ん?どしたっちゃ、ヴァンディットさん?(ミダレ)」


目を爛々に輝かせたミリアの後に付いていこうとしたヴァンディットがある事に気付く。

それはヴァンディット以外でも


「ねぇ、あれ…」
「わぁ…何あれ綺麗…」
「雪…?いや、そんな訳無いか…夏だし…」
「工房エリアの方だぞ…」
「え?火の粉?でもそらから降ってきてるし…」


と、街のあちこちから声が上がり、皆一様に空を見上げていた。

それにつられてミリアとミダレも空を見上げると、夏にも関わらず街の外の上空からダイヤモンドダストの様なキラキラとした光の粒が漂い、ゆっくりと降下していた。

その光の粒は意思をもって動いており、行き先は工房エリアの方であった。




ギィンッ!ガィン!『『キュォオンッ!』』

「「「え?」」」

『『キュォオンッ!』』『『キィインッ!』』『『キュィインッ!』』


先程から工房エリアの方から聞こえていた鈍い金属音が、まるで金管楽器の様な澄み切った音へと変化していた。


「行きましょう!多分ノアさんがそこに居るハズです!(ミリア)」
「綺麗な音っちゃね、行こ行こ。(ミダレ)」
「落ち着いて2人共、転んじゃいますよ~。(ヴァンディット)」


~聖霊銀(ミスリル)作りその3『″火の精霊″と共に聖霊銀(ミスリル)に仕上げよう。』~    
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