ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

時折フワッと悪臭が漂ってくる

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領主代理シルヴィオ…バルディック・ロスト伯爵に金魚のフンが如く付き纏っていたゴーマン男爵の元配下。

ゴーマン男爵の命でカステロの街の領主代理を任されて早2年となる。
現場(冒険者やギルド)に対しての扱いや態度に問題があり、度々苦情が上がっていたものの、領主としての手腕(経営)は確かなものであった為、ゴーマンによって揉み消されていた。

ゴーマン男爵追放後、責任の所在がバルディック・ロストに移ったものの、街の経営自体は上手くいっている為おいそれと辞めさせられず、もどかしい状態が続いていた。

なので余程の事を起こさない限りは解任する事は無理だろう、と伯爵もギルドも分かってはいる。





~カステロ・地下排水路エリア~


バシャッ、バシャシャッ!

「ちょっとぉ!通路までお湯浸しじゃないの!
これ絶対どっか詰まってるって!(冒険者1)」

「何か獣人族の団体が来てて抜け毛が大量に出たんだと…
あーあ、脛まで浸かってら…(冒険者2)」

「えーっと、俺達が受けた依頼は『第4区画の害虫駆除』だが…
おいおい…渡された地図と地形が合わないぞ…
何でここで1段下がってるんだよ、胸まで排水に浸かるじゃねぇか…(冒険者3)」


カステロの地下に広がる排水路では現在とある冒険者パーティが『害虫駆除依頼』を請け負い、現場入りしている所であった。

だが冒険者ギルドから渡された地図と実際の地形が合わず混乱している模様。

これは街の中に保養施設を新設し、急ピッチで地下排水路を配置した後、地図を作成せずにシルヴィオ領主代理が直ぐに運用開始の指示をした為であった。


「き、<聞き耳>発動!(冒険者1)」


<ゴボゴボゴボ…>←大量の排水音。
<ヂヂヂヂッ!>←キッタネズミの声。
<ガサガサガサガサ…>←ガサガサのガサガサ音。


「い、いやぁああっ!
この先に″居る″!″居る″けどここを潜ってこの先に進みたくないわ!(冒険者1)」

「お、おい落ち着け!(冒険者2)」
「何が聞こえたんだ!落ち着けって!(冒険者3)」


地図に無い地形を探る為、<聞き耳>を立てた冒険者1が道の奥から聞こえるおぞましい音を聞いて発狂し掛かる。

その後冒険者2と冒険者3が<聞き耳>の内容を聞いて同じく発狂し掛かったので、依頼の取り下げを行う事を決定した。

ちなみにこの『害虫駆除依頼』の報酬は3000ガルで、例えキッチリ駆除を完了し、パーティで分配したとして、汚れた体と武器防具を整え事で得られる成果は『-200ガル』である。





~カステロ正門脇の沿道~


ヒィイイ…
ヤメヨ!コノイライヤメヨ!


ジューッ!(石焼き各種キノコ焼きの音。)

「この短時間で3組目ですな。
余程あの排水路で行われる『害虫駆除依頼』とやらがキツい様ですな。
あ、ノア殿、そこの『肉肉しい茸』が焼けておりますぞ。(クリストフ)」

「あむ、ハフ…『ムグムグ…』
うーん、『肉肉しい茸』初めて食べたけど本当に肉だねこりゃ。
…中入ってないから<聞き耳>だけの情報だけだけど、結構酷い状態みたいだよ。」


その辺に転がっていた大岩を薄く斬り、石板とした後クリストフが『可燃茸』を敷き詰めて火を起こし、各種キノコを焼いて遅めの食事としていた。

そんな中街の外周にある排水路からは時折冒険者パーティが逃げ飛び出していた。

門兵から聞いてみると最近増加している『害虫駆除依頼』だと言うが


チュルン。(『ベーコン舞茸』を口に運ぶ音。)

「酷いなんてモンじゃないさ。
施設の新設に合わせて排水路の形状を変えたってのに、地図を作る間も無かったから一種のダンジョンと化している。(門兵2)」

「一応モンスター慣れしていない新人冒険者用の害虫駆除としているが、1メルサイズの『キッタネズミ』と『ガサガサ』がわんさかと居るんだ、新人にはキツいってモンよ。(門兵1)」


情報提供者の門兵達にもお裾分けしつつ説明して貰う。


ムグムグ…

「他の冒険者に依頼しないのですか?」

「領主代理が設定した報酬額は″1時間一律3000ガル″なんだ…新人冒険者以上が請けようと思うかい?(門兵2)」

「うわぁ…」


報酬の低さにギルド側が領主代理へ増額を促すも、やっとこさ上げられても″500ガル″であった事から金に苦心している新人冒険者位しか受けない現状は暫く続く事だろう。


「それでですな、以前私共が仲介する清掃業者を斡旋しようとしたのですが、報酬を値引きに値引き、10の位まで渋った所で適当な理由を付けて止める事にしましたよ。(商人1)」


クリストフが出す変わったキノコの数々を見て買い付けを行いに来た商人も交え、会話は続く。


「それはそこそこ問題になっているのに、ロスト伯は領主代理を解任させないのですね?」

「先日【鬼神】殿に多数の傭兵をけし掛け、目の上のタンコブであったゴーマン男爵が投獄された事があったでしょう?
この直ぐ後に些細な問題で領主を解任したとなれば、騒ぎ立ててくる貴族連中がおりますので、おいそれと迂闊な行動が取れないのですよ。(商人1)」

「…という事は、今僕がここで足止め食らってるのは、ツケが巡り巡って自分に帰って来てる、って事なのかな…」


ノアは先程領主代理シルヴィオから言われた『貴様の様に厄介事ばかり持ち込む輩』と言う言葉に少なからずダメージを受けていた。

ノア自身、冒険者生活を開始して4ヶ月にも関わらず、自分がやたらと厄介事に巻き込まれている事は理解している。

仲間や鬼神からも首を突っ込み過ぎていると言われていて、気を付けているつもりだが、結果的に厄介事に首を突っ込んでしまう。

それが祟って数日前には自身のトラウマを再び呼び覚ます事にも繋がった訳だ。


(『バーカ、考えすぎだ、結果的にそうなったのを後から誰かしらがこじつけてるだけだ。
厄介事が起こるっつー事は、原因が既にそこにはあるんだ。』)

(鬼神…)


ノアが今回の件を自分の行いのツケ、としていたのを、中に居る鬼神が否定しつつ元気付ける。




(『まぁどうせ今回も何かが起こるだろうが、経験上キーとなるのは″領主代理″と″そこの地下排水路″だろう。
主は今回ずっと街の外に居りゃ良いし、嬢ちゃん達が帰ってくるまでは″傍観者″として徹してりゃ良い。
何せ″領主代理の言葉を守ってただけ″だからな。』)

(…おいおい…縁起でも無い事言うなよ…)


否定もするがしっかり肯定もしている様であった。

まぁ彼は主人公だから何も起こらない訳無いよね…
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