ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

【勇者】は″なる″のではなく″造る″もの。

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ゲッシュバルド…【勇者】アークの父。
農家であったが、息子のアークが【勇者】と判明して以降【勇者】の名に肖りたい貴族連中が押し掛け、街と共に肥大化。

自己肯定感が過剰に高い割に世間を知らない為、金儲けが不得意。

貴族との付き合いによって頭の中は常に金儲けの事しか考えておらず、【魔王】の出現も金儲けに利用しようとしていた。



ゲッシュバルドは【勇者】と言う″駒″を持っていながら、更なる金儲けの為南に広がるパルディック領を掻っ攫えないかと常日頃から企んでいた。

パルディック領とはその名の通り、パルディック・ロスト伯爵が治める領地で、一大食料生産拠点となっていた。
これらを手中に収めれば莫大な資金を手に入れる事は確実。

だがゲッシュバルドの稚拙な思考では、どうやったって良い考え等浮かぶハズも無かった。

そんな時に舞い込んできた″【魔王】出現″。
ゲッシュバルドはツキが回ってきたと思った事だろう。

この時期は【勇者】アークの洗脳騒動で【聖女】ミミシラを信奉する信者の求心力にまで大きく影響していた頃で、回り回って自身の懐へとやって来る資金が激減していたタイミングであったのも、ゲッシュバルドがいつも以上に正常な判断が出来なくなった要因でもあった。

結果、ゲッシュバルドが打ち立てたのが″【勇者】軍の立ち上げ″であった。

その為には、まず第一に【勇者】の存在が必要不可欠。獣人国に滞在していた【勇者】、並びにパーティ全員を強制的に自国へと連行したのであった。

ゲッシュバルドは、【勇者】を祭り上げ【魔王】討伐を掲げれば、″世界が如何なる暴挙であろうと甘んじて受け入れる″と本気で思っており、″【勇者】軍がパルディック領を通り、引渡しの要求すれば容易に明け渡す″モノだと考えていた。

その後、手中に収める(占領する)為の人員確保の目的で

『天(神)″は我等を御守り下さる!
目の前にある物は壊せ!邪魔する者在らば殺せ!全てに対して″天(神)″は何もかもを許して下さる、我等の味方だ!』

という、謂わば″何やろうが罪に問われない″と取れる法を告げ、野盗をも【勇者】軍に引き入れたのであった。

幾ら世間を知らないとはいえ、少し考えればおかしいと分かる事なのだが、ゲッシュバルドにはそんな事を考える頭は無かった。

結果的に周辺諸国から批判を食らい、手元を離れ、元から制御が利かない【勇者】軍は好き勝手暴れ、多大な被害を出す事になった。

しかも広告塔として無理矢理召集した【勇者】含めた【勇者】パーティ全員に、旧ヒュマノ聖王国製の『隷属の首輪』を装着した事で、″野盗にすら従う操り人形″となった為、″本当の意味で″取り返しの付かない事態に陥ってしまったのであった。

ちなみにゲッシュバルドが狙っていたパルディック領の一大食料生産拠点だが、たまたまこの地を訪れていたノア一行によって【勇者】軍第5~10部隊は蹴散らされ、未然に防がれた事をゲッシュバルド本人は、未だ知らないのであった。



と、ここまでゲッシュバルドが立てた計画について説明してきたが、実は彼はもう1つ″ある計画″を立てていた。

勿論これも″最終的には″金儲けが目的なのだが、彼としては『【勇者】と言う手駒があって得た現在の地位を確固たるモノにする』という考えの下立てた計画である。

だが、彼はそれによって″最悪なモノ″を造り上げてしまったのであった。





「それにしても【勇者】とは何とも名ばかりな存在よなぁ…
貴族連中の掛けた洗脳如きで易々と操られおって儂の懐を脅かしおった。
″儂の子種が無ければ″この世に生を受ける事すら出来なかったと言うのに、その恩すら忘れたか。(ゲッシュバルド)」

(…コイツ…何言ってやがる…(ベルドラッド))

「儂の様に高い教養も無ければ、権力も無い。
やはり【勇者】…いや、息子は親の事を第一に考えるべき存在で無くてはならんよなぁ?(ゲッシュバルド)」

(高い教養があったらこんな事仕出かす訳無いだろうが…(ベルドラッド))


自身の息子を蔑みつつ何やら語り出したゲッシュバルドに、ベルドラッドは後ろで話し半分に耳を傾けていた。


「そう言えば″息子″は元気であろうか…(ゲッシュバルド)」

「…さっきも言ったがアンタの息子アークは、アンタの打ち出した愚策によって今酷い状態にある。
生きてはいるが、今は確かドワ

「ん?貴様、″それは誰の事″を言っておるのだ?(ゲッシュバルド)」

「…は?
言っただろ?アンタの息子、アークの事だ。(ベルドラッド)」

「アーク…?
儂の懐を脅かした輩は儂の息子では無い。
それは″1人目のアーク″であって″2人目のアーク″では無いか?(ゲッシュバルド)」


どうも先程から2人の会話が噛み合っていない。
まるでベルドラッドの話す【勇者】アークとゲッシュバルドの話す【勇者】アークが全くの別人であるかの様に…


(…″2人目″…?
ここに来る前、事前にゲッシュバルドの出自等の情報を調べたが、アーク以外の息子等居るハズは無いぞ…?(ベルドラッド))


王都の暗部は非常に優秀で、本人ですら忘れているであろう些細な出来事ですら詳細に調べ上げる事が可能。

対して、元々農家の出で、今までのうのうと自堕落に生きてきたゲッシュバルドが″2人目″をこさえた場合、隠し通す事等毛頭不可能である。


「儂の息子【勇者】アークは優秀であるぞ。
儂の様に頭の回転も良く、視野も広く才覚がある。
一を聞いて十を知る。優秀な商人でも付ければ莫大な財を生むに違いない。(ゲッシュバルド)」

(…街が吹き飛んだショックで遂に″ボケ″が始まったか…?
隠し子の可能性も捨て切れんが、一切情報が無いのは流石に…(ベルドラッド))


虚空を見詰めて声高らかに宣うゲッシュバルドに、ベルドラッドは″ボケ″を疑い始めた。

ゲッシュバルドはもうすぐ70に差し掛かる老齢で、度重なるストレスによって″ボケ″が始まっても何ら不思議では無いからだ。

だがベルドラッドは、ゲッシュバルドが次に放った言葉に嫌な予感を感じる事になる。


「何せ…
そうなる様に″造った″のだからなぁ。(ゲッシュバルド)」

「…は?…何を…言っているのだ…?(ベルドラッド)」ザワッ…




ちょっと短いですがこの辺で。
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