ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
990 / 1,124
ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

作戦開始

しおりを挟む
~翌昼・街の噴水広場~


「…と言う事で、私の身体的理由と人員を確保出来なかった事によって此度の大氾濫に於いて先程説明した″強行策″に出る事となった訳だ。
反論は勿論あるだろうが、限られた時間の中で取れる最良の手段だと思っている。(ルルイエ)」

「「「「「「………(集まった市民達)」」」」」」


明くる日、ヴァリエンテ領の噴水広場には街で暮らす市民や様々な職に携わる職人約700人程が
集まっていた。

理由はこの街の領主であるヴァリエンテ・ルルイエから重大な発表があるとの事であった。

噴水広場に着くと、兵士・息子のカルル等と共に、杖を突いたルルイエ、妻のヴァリエンテ・ミミルナ、娘のヴァリエンテ・ミミカが神妙な面持ちで待っていた。

そこから少し離れた位置には、同じく神妙な面持ちで佇むレドリックとアミスティア、ノアの姿があり、これだけで和やかな話では無いと物語っていた。

少ししてルルイエが重い口を開き、ヴァリエンテ領の現状と、予想される大氾濫の規模、カルルからはルルイエの体の状態について説明が為された。

その際、ルルイエが予てより構想していた大氾濫発生地とヴァリエンテ領との間に建造予定の″前哨基地又は街″の話も同時に行い、志願兵の募集はそれも兼ねていた事が話された。

だが志願兵が全く集まらなかった為、″強行策″を執る事が話された。

その内容を聞いた街の者達は、″絶句″。
逆に言えばそうしなければならない程今回の大氾濫は厳しいモノであるという事であった。

話の途中で、街の者達からは『旧い仲である王都や周辺諸国からの救援』等が提案されたが、王都は【魔王】関連、周辺諸国は【勇者】軍から受けた被害の為それ所では無いと、街の者達も″分かりきっていた″ものの、提案せざるを得ない程ルルイエの話は″強行策″であったのだ。

一部の者達から『ルルイエ様を唆したな』と、批判の矛先がノア達に向けられる事があったが、ノア達は微動だにせずに佇んでいた。

その後こうなる事が分かっていたかの様にルルイエがノア達の正体を明かす。



クラン『極大射程』【神出弓士】レドリック
クラン『死屍累々』【殲滅剣士】アミスティア
クラン『きじん』【ソロ】で【鬼神】のノア



レドリックとアミスティアは実際に10年程前の氾濫の際には参加しており、正体を明かした後に気付く者が多く居り、何と言っても大きかったのは【鬼神】のノアであった。

ヴァリエンテ領でも【鬼神】の話は轟いており、街の者達は『フリアダビアの救世主』や『【勇者】軍500人潰し』等と口々に囁き、先程まで3人に当てられた批判の声は一気に鎮静化していった。

が、それでも批判を上げてくる者が居た。
『その為に俺達の血税を使うのか!』や『その者達が迷惑を掛けたらどう落とし前を付けるのだ!』と言う声には、″志願兵の代わりとなる者達(現状総額6億ガル)″の費用はノアが出し、″迷惑を掛けた者″についてはレドリックとアミスティア自らが″始末″してやると″淡々と″告げ、今度こそ批判の声は上がらなくなっていた。


「批判、反論各々持ち合わせて居るだろう、ここまでの話を聞いても尚意にそぐわず、納得のいかない者達も居るだろう。
だが彼等は劣勢必至が予想され、数々の者達が辞退して行く中で私の願いを叶える為に賛同して貰った者達だ。
彼等を愚弄する事は許さぬ、即刻街を出ていって貰って構わん。(ルルイエ)」

「「「「「「……っ!」」」」」」


語気強めに言い放つルルイエに、集まった者達は閉口し、項垂れる様に顔を伏せる。
だが次第に、各所からルルイエの話に頷き、飲み込んでいく者が増え、顔を上げて賛同の意を示す。

自分達が見ようとしていなかっただけで自国も周りと同様逼迫した状況である事に変わり無く、生温い事を言ってられないと感じたのだろう。

こうして一部騒動になり掛けた″強行策″の報告は、何とか街の者達全員の了承を得る事が出来たのであった。

この事により話は大きく動き出す事になる。
その起点となるのは、ジョー達によるものであった。





~6時間後・獣人国の冒険者ギルドにて~


カランコロンカラン♪(ギルドの扉が開く音。)

「いらっしゃ…
あら、ジョーさんではありませんか、一体どうなされましたか?(受付嬢)」


場面は変わってここは獣人国の冒険者ギルド。
日は既に落ちており、ギルド内に冒険者は疎らであった。

そんな冒険者ギルドにジョーが来訪。
開口一番に


「いやー、今日はムシムシするねぇ。
『イワシの塩漬けと酸味の強いエールで一杯やりたい』よ。
〔急ぎの用事で来た。対応願おう。〕(ジョー)」

「あ、『分かりますー!
私としては冒険者さんの自慢話肴に500ガルワイン片手に一杯やりたい所です。
でもそんな所ギルドに見られる訳にはいかないのですけど。』
〔了解しました。特定の冒険者さんへの極秘依頼、大金が絡む話、国家関係のどれでしょうか?〕(受付嬢)」

「『500ガルワインは手頃だが趣ノアる深い味わい故私も愛飲しているよ。
人気なのか手に入り難くて別の酒で代用しているがね。
そういえばアルフの酒場は今日はやってたかな?
6ダース程ある酒の依頼をしていたので良ければ寄ろうと思っている』のだよ。
〔大金が絡む話で、ノア君の代理でやって来た。彼の口座からアルフレッド・レイドに6億を流してやってくれ。〕(ジョー)」

「あら、『6ダースも…
それは大変で御座いますね、確認を取ってきましょう。』
〔6億ですね、畏まりました。〕(受付嬢)」

「『急ぎでね。』〔早馬を飛ばしてくれ。〕(ジョー)」


会話の中にそこはかとなく情報を混ぜてギルドの受付嬢と意味深な話をするジョー。

するとそこに


「やぁジョーさん、この間オススメしてくれた『濁り酒、中々良かったよ。何かお礼させて貰えないか?』
〔言葉を濁しての会話なんてどうしたんだい?何か手伝える事はあるか?〕(男性職員ラスク)」

「やぁラスク、嬉しい事を言ってくれるね、それじゃあ『最近エイヒレなる物が出回っているだろう?あれを入手したいのだが頼めるか?
夜風に当たりながら一杯やってみたいと思っていてね。』
〔海洋種に連絡を取り、″地上でも活動可能″な者が居ないか聞いてくれないか?〕(ジョー)」

「『善処するよ。』〔任せてくれ。〕(男性職員ラスク)」


たまたま近くに居た男性職員に話し掛けられたジョーは、受付嬢の時と同様意味深な会話を繰り広げていた。


「さて、彼女達の方は順調かな。(ジョー)」
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...