ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

即落ち1話

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~3時間後・名も無き大地・中央付近の池周辺~


にゃあ~…(捕まっちゃったのだわさ…)

「可愛らしい猫ちゃんね、何て種類なのかしら。毛並みが真っ白で綺麗だわ。(アミスティア)」

「痩せてる訳じゃないのに体重がかなり軽いし、体がヒンヤリしてる。そういう種なのかもね。」


調査範囲を拡大したノアは、アミスティアと共に比較的安全圏から奥まった場所にある草原地帯の池付近を散策していた。

すると水辺に真っ白な子猫が水を飲んでいるのを発見、その頭上に巨大な蚊『槍威蚊(ヤリイカ)』が滞空し、子猫を狙っているのが見えた。

咄嗟にノアが高速で矢を放った事で事無きを得、この子猫を保護したのだった。

保護した子猫は非常に軽く、体温がとても低い。
てっきり痩せ細っていて栄養不足であるのではと思われたが、肉付きは普通の子猫と同程度であった。


にゃぁ…(一先ずこの人間達は私の事を普通の猫だと思っているみたいだから、このまま猫としてやり過ごすのだわさ…)

「猫ちゃん、少しの間肩の上でじっとしててね~?(アミスティア)」

にゃ。

はしっ、しゅる。(アミスティアの肩に手を置き、尻尾を首に少し絡める。)


「…まるで私達の言葉が分かるみたいな仕草ね…(アミスティア)」
「うん、とてもお利口さんだ。」

にゃ、にゃにゃ…(あ、あぶないあぶない…)





ガガンッ!ゴォンッ!

「それは『ヘラクレスグーパンオオカブト』!
持ち前の強固な甲殻と、獣人以上の筋力を搭載した超攻撃タイプの二足歩行型昆虫よ!(アミスティア)」


「説明ありがとう!
『ゴィンッ!』思ったより硬いねコイツ!
ゼェイッ!『ドガンッ!』」


現在ノアは、二足歩行で歩く巨大なカブトムシ『ヘラクレスグーパンオオカブト』と真っ正面から立ち向かっていた所である。

虫ではあるものの、腕や脚は人間のモノと遜色無く、その上に甲殻による装甲を纏っている様なものなので、言われなければ重装鎧を着込んだ強者と思ってしまう事だろう。

何と言っても頭部の大小2本の角が異様で、角と言うより太刀と刀の様な見た目をしていた。

そんな『ヘラクレスグーパンオオカブト』に対して様子見をしていたノアは、甲殻の硬さに驚き、気合いと<渾身>を乗せた拳を叩き込んだ所、200キロは有に越えるであろう巨体が大きく吹き飛ばされていった。




『『『ンザッ!』』』(腹這いで着地。)

「む!?あの姿はまるでカブトムシの様…
あ、この形態が普通か…」


吹き飛んだ『ヘラクレスグーパンオオカブト』は腹部を下にして六足歩行の体勢となった。

太刀と刀の様な角を敵に対して突き出した姿勢となる、謂わば『ヘラクレスグーパンオオカブト』の本気モードでもあった。


『『バガァッ!』』(強靭な脚力により地面が大きく抉られる。)

「来い!」『『ズァアッ!』』(赤黒い腕を生成。)

『『ガヂンッ!』』ズガガガガガガガガガガッ!


6本もの強靭な脚力によって生み出された爆発的な速度で迫る『ヘラクレスグーパンオオカブト』に対し、赤黒い腕を2本生成して迎え撃つノア。

太刀の様な角と刀の様な角をそれぞれ生成した腕で掴んで受け止め、10メル程押し込まれたものの、ノアはそこで動きを止めるのだった。


ギギギギ…(『ヘラクレスグーパンオオカブト』の鳴き声。)

『『ミシミシミシミシッ!』』『『バギンッ!』』

ギギガ『『ドズッ!』』ガ…ガ…(事切れる『ヘラクレスグーパンオオカブト』。)


2本の大角の根元から軋む音が響く。
力の制御下にあるノアの握力が『ヘラクレスグーパンオオカブト』の防御力を凌駕しているのだ。

自身最大の武器が破壊されるのを悟った『ヘラクレスグーパンオオカブト』が短く悲鳴を上げた直後、破壊された自身の大角に貫かれて絶命したのだった。





「ふぅ…」

「お見事よノアちゃん。
『ヘラクレスグーパンオオカブト』は綺麗に倒せればその甲殻をそっくりそのまま全身一式装備が作れるし、2本の大角からは武器が作れるわ。(アミスティア)」

「え?そうだったの?
…どうしよう、大角へし折っちゃったけど…」

「この程度なら大丈夫よ、寧ろ綺麗すぎる位。
さ、死骸を回収して皆の所に戻りましょ。(アミスティア)」

「うん、分かった。」


本当であれば広大な大地の最奥、麓の辺りまで調査に向かおうと思っていたが、子猫との遭遇、度重なる棲息モンスターとの戦闘により時間を取られ、本日の調査は終了となった。


〈あらあら、君は若いのにとても強いのねぇ。
思わず目を見張っちゃったのだわさ。〉

「いやー、それ程で…」





「「ん?(ノアとアミスティア)」」


まるで近所に住むおばちゃんの様な声音でノアに賛辞を贈る子猫。
思わずノアとアミスティアの2人が固まってしまった。


に、にゃあ~…『ゴロリン。』(アミスティアの肩の上で転がる子猫。)

「「なーんだ、聞き間違いか。」」


子猫が肩の上で愛くるしい動きをすると、2人の表情は和やかなモノに


┓┓┗┓=( ̄   ̄;)(明らかにこの猫ちゃん喋ったわよね?(アミスティア))

┛┛┗==(゜ロ゜)(ものっそい流暢に喋ってたよ。(ノア))


ならなかった。

家族内でのみ通用するハンドサインを多用し、無言で会話をする2人。
当たり前だが、この件をスルーする事は出来なかった。


「…ノアちゃん、さっきそこに池あったわよね?
遅くなったけど、昼にしましょうか。(アミスティア)」

「池?…あ。」

にゃ?


アミスティアからの突然の話題振りに一瞬困惑するノアだが、直ぐにその意図を察知して池の方へと向かうのだった。





『『『パチパチパチ…』』』(焚き火の音。)
『『『ジュゥウウウ…』』』(焼ける魚の音。)

にゃわわわわ…(目がキラッキラの子猫。)


「調査兼昼食。(アミスティア)」

「大事な調査の一環だね。
3尾あるけど、残りの1尾どうしよっか?」

「子猫ちゃん…にはまだ早いかしら。
小骨多そうだし…(アミスティア)」


にゃわ!ピョン。(久し振りの)
にゃわわ!ピョン。(焼き魚!)


「欲しそうにしてるよ?」

「そうねぇ…でも流石に猫ちゃんの言葉分からないし…(アミスティア)」


〈大丈夫大丈夫!
私何度か人里に降りて魚食べてるから、小骨なんかへっちゃらなのだわさ!〉ピョン。


「いやゲロっちゃうの早いな…
ちゃんとあげるから慌てなくて良いですよ。」


こうして焼き魚の魅力に負けた子猫ちゃんは、ノアとアミスティアに自身の事を話すのであった。
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