ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
1,029 / 1,124
ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

天空大陸・第3諸島が山の上にある理由

しおりを挟む
ザクザク…

〔ふむ、確かに香ばしく、歯応えがあって″甘じょっぱい″。
これをこの地で作ったとの事ですが、この地では″塩″が採れるのですか?(ハーピークイーン)〕

「小麦やナッツ類は隣の領で、木の実はこの辺りで採取しましたが、″塩″は懇意にしている方から融通して貰いました。
時期的に塩分が不足するとマズイですから少し多めに…
『ゴソゴソ』あったあった、コレです。」


そう言ってノアはアイテムボックスから、以前獣人国やスロア領で見せた塩の塊、龍宮城産の岩塩『蒼海塩』を取り出して見せた。


〔おお…何と美しい…まるで深い海の碧を濃縮した様な…(ハーピークイーン)〕

「良ければ手に取って確認して貰って良いですよ。」

〔ほ、本当か!(ハーピークイーン)〕


サファイアを思わせる青い岩塩『蒼海塩』を、目をキラキラと輝かせて見るハーピークイーンに、ノアは手渡しして確認してみる様に言う。

すると周りに居たハーピー族も食い入る様に見始め、マジマジと観察していた。


「…凄く興味を持ってるな…何故あんなに…」

〈簡単な話だわさ。
空の上には塩が無いのだわさ。とても貴重品なのだわさ。〉

「あ、そうなの?」

《我らが暮らす天空大陸・第3諸島があの山の上にあるのもそれが理由だ。
あの山は遥か昔海の底であったらしく、豊富な岩塩層を形成していたのだ。》


ノアの疑問にステラと四季龍インヴェルノが答えてくれた。

2人の説明曰く、種族が違えど生物として生きている以上塩は必須な様で、纏まった量の塩を求めてこの地(というか山の頂上付近)に天空大陸を配置したのだとか。

数千メル級の山々が聳える山頂付近には、太古の昔に形成された岩塩層があり、しばしば降りてきては採掘し、残土や岩等は四季龍インヴェルノによって埋め戻し、固着させていたと言う。

とは言え、資源が無限に湧いてくる訳も無く、年々減少の一途を辿っていたらしい。

天空大陸・第3諸島にはインヴェルノの様な亜龍やハーピー族、ケット・シーや似た種族のクー・シーが居る程度である為、人族の様に海水から塩を作り出す事等出来なかったという。


〈私が人里に降りて一定期間住み着いていたのも、独自の塩の流通経路を得られないかの調査の一貫だったのだわさ。〉

「…本当?」

《済まん、流してくれて良いぞ。》

(『だろうな。』)


ちっちゃいお手々で胸をドンと叩いてドヤっているステラであったが、ノアは一切信じていなかった。





〔少年よ、素晴らしい物を拝見させて頂いた。
一度これらの材料を島へと持ち帰り、協議した上で後日また来訪しても良いだろうか?(ハーピークイーン)〕

「というと?」

「やはりここの方々とは良き隣人関係を築きたいと思っている。
だが私だけの判断ではどうしようも無いので、各種族の意見を纏めた上で再び参ろうと思っている。(ハーピー)」

「なる程。
ちなみにステラさんやインヴェルノさん的にはどう思います?」

〈私は良いと思うのだわさ。
数日接してみて良い人達ばかりだったし。〉

《私も同意だ。
ちなみに私の場合、独自に判断材料があり、そちらの影響が大きいな。》

〔そうですか。
″女王様″と″顔役殿″にそう言って貰えると心強いです。(ハーピークイーン)〕





「ん?」


ハーピークイーンが気になる事を言っていたが、ここで突っ込むと長くなると思ったのでスルーするノアであった。





〔ほら、一度島へと戻りますよ。(ハーピークイーン)〕

〔いやだー!戻ったら罰が開始されちゃうからまだ居るーぅー!(ゴチ)〕

「本当にでっかい子供だな…
ほら、携行食を1本渡しておきます『ザクッ!』から大切にって、あーあ…」

モシャモシャ…

〔美味し美味し…
… はっ!しまった、つい反射的に…(ゴチ)〕


島に戻ったら始末書と2日間の飯抜きを課せられるハーピー族のゴチにせめてもの恵みをと思ったが、既に餌付けされていたゴチは反射的に頬張ってしまい、胃の中に収めてしまった。

そんなやっちまった感満載の表情で固まってしまったゴチと100人近くのハーピー族を従えたハーピークイーンは、島へと一斉に戻っていくのだった。





「はぁ…まるで嵐が訪れたかの様な時間だったな…」

〈一時はどうなる事かと思ったけど、無事に済んで良かったのだわさ。〉

《済まぬな、私が口を滑らしたばかりに…》

「そういえば発端はそれでしたね…
まぁ今となっては気にしてませんよ。
…っ、さて!街に戻って何か手伝いでもしますかね。」

〈いやいや、休んだ方が良いのだわさ。〉


嵐の様な時間が過ぎ、一息吐いたノアは街の方へと戻っていった。
隣人との件も大切だとは思うが、街を建設する事が急務である。

大氾濫が予想される期日まで、後1ヶ月程しか無いのだから。





ガコンッ!ガコンッ!ガコンッ!(家を建設中。)

ゴィンッ!ゴィンッ!(壁の作成。)

カンカンカンカンッ!(扉の製作。)


「おー、心なしか作業が捗ってる気がする…」

「『涼虫』によって比較的快適になったから働きやすくなった様だな。(カルル)」

《贈り物が役立ったのならそれに越した事はない。もう少し増やしたい場合は言ってくれ、また何匹か見繕って来よう。》


街建設現場に戻ったノアは作業に従事している者達の動きが幾分増した様に思っていた。

その周りでは、四季龍インヴェルノとハーピー族が持ってきた『涼虫』から冷気が放たれ、何もないよりか大分まともな環境となっていた。

この分なら早い段階で街の建設は成される事だろう。

だが課題はまだある。


「周辺を調査してみたが、鉱石の類い…
特に鉄が少ないな。
大氾濫に際しては予備の武器や防具を相当数常備しておきたい所だ。(技術職1)」

「むむむ、であれば【商人】に頼んで幾らか確保して貰った方が良いな。
ここは僻地故、早め早めに行動しないと1ヶ月等あっという間だからな…(カルル)」


と、街建設班とは別で資源の調査に向かっていた者達から報告が上がった。

再生資源は豊富であるが、鉱石等の資源に関しては少ないという。
幾ら手勢が居るからと言って武器が無ければ話にならない。

早い内に【商人】に取り付けて確保しようかと考えていたカルルだが、都合良く翌日商隊がやって来る事になる。

だがそこで一悶着起こるのだが、結果的にはこちらの利になる出来事が起こるのだった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...