ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~掃討開始~

4日半後

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虫系モンスター…基本的に痛覚は無く、虫特有の神経節により身体の一部(頭部含む)が切り離されたとしても一定時間動き続け、死ぬまで襲い掛かってくる。

但しこれは″純粋な″虫系モンスターに限る。

例えば先日現れた『ドラゴネウラ』の様に、竜の性質も併せ持つモンスターはしっかり痛覚を持ち、神経節はあるものの″純粋な″虫系モンスターに比べればその持続時間は短い。

爆発的に発生する事が多く、大氾濫になった場合万単位で襲い掛かってくる。





~4日半後・早朝~


・巨大な繭:3日程前から異常に肥大化。
現在高さ300メル、幅200メルに成長。
大氾濫発生まで後20分。


・街(前哨基地)から山の麓方面約500メルの各所にバックラッシュルーム(反発性のあるキノコ)の壁が乱立。
現在類人猿クラン『エイペス』100人、『筋肉達磨』の3人が潜伏中。


・その隙間を埋める様に『一式装備』[弾丸戦車(タンク・ディバラ)]装備の部隊(リーダー:ダッカード)約150人待機。


・街(前哨基地)の周囲100メルの範囲に塹壕が張り巡らされ、通路上に『ブスブス』製の置き罠設置。
現在冒険者パーティ約20組が待機。


・防壁上に【弓】100人、ラインハード、王都国立大学院生の3人、『一式装備』[天空覇者(ゴベルナンティエ)]装備の部隊(リーダー:スティルダー)約100人待機。


・街(前哨基地)内の通りに兵士、教会関係者、ザラット待機。
住人約300人長屋待機。


・街(前哨基地)から600メル、バックラッシュルームの壁の外側にノア、アミスティア、レドリック、クリストフ、その他数人が待機中。





「さ、皆そろそろ街(前哨基地)に。」

「ミユキちゃん、ユウ君、4人をお願いね。(アミスティア)」

「「はい。(美幸と悠)」」

「魔石有り難く頂戴しておくよ。(レドリック)」

「今日まで尽力して頂き感謝ですぞ。(クリストフ)」


来る大氾濫まで後僅か。
街を中心に各所で大勢の人員が待機する中、辺りは妙な静けさが広がっていた。

肥大化しまくった巨大な繭が最後の鳴動をしてから40分が経過し、各自の持ち場に配置。

ノアやその両親、クリストフは最前線に立ち静かにその時を待っていた。

サキュバス4人も現場に同行し、アミスティアとレドリックに限界まで魔石を提供。
後20を切った所で帰還を指示。

メロディア・ジプシーバナーに乗った美幸とのっそりタヌキに跨がった悠等と共に街(前哨基地)に向かう所である。


「あ、あの、ノア君…(ミダレ)」

「んー?」

「…怪我…しないでね…?(ミダレ)」

「…毎度誰かしらに言われてる。頑張るよ。」


本当はもっと色々と話したい所ではあるが、巨大な繭が最後の鳴動を行ってからノアが殺気立ち始め上手く言葉が出なくなっていた。
なので上記の会話は何とか絞り出した結果のモノである。

それは他のサキュバス3人も同じな様で、辺りには重い空気が流れていた。

そんな空気を察してか


クシャ…「わ。(ミダレ)」
ガシガシ…「はぅ…(ラハラメ)」
ワシャ…「ん…(ミダラ)」
ナデナデ…「わわ…(アマエ)」

「…さ、行くんだ。」

「「「「はい…」」」」


4人の頭を無言で撫で、落ち着かせる事にした。





『『ドドドド…』』(街(前哨基地)へ帰還。)


「…さて…」

「さて、じゃないでしょ息子。
あの娘達にもうちょっと何かあるでしょ息子。(アミスティア)」

「え?」

「そうだぞ息子。
皆心配してるんだから抱き締めてあげるなり何なりあるだろ息子。(レドリック)」

「だーもう!息子息子うるさいなー!
したらしたでこの時間に何言われるか分かったもんじゃ無いじゃないか!」

「「正解!」」

「ほらー!」


((((((緊張感無ぇなぁこの一家…(後方待機組)))))))


大氾濫まで後僅か、最前線も最前線にも関わらず、一家団欒を楽しむかの様に振る舞う親子。


「何言ってるの。
春から冒険者始めた時は、5年そこらは帰ってこないと思ってたのだもの。
戦場とは言え、こうやってまた一緒に居れて、何気無い話が出来る事が何よりも嬉しい事なのよ?(アミスティア)」

「…母さん…」 

「そうだぞ。
旅立ちの日にも言ったが″何かを成そうなど考えなくて良い。お前が元気でいればそれだけで十分だ。″ってのは本当の事だ。
こんな状況でも一緒に居れるというのは喜ばしい事なんだ。(レドリック)」

「…父さん…」


((((((戦いを前に親と子の束の間の会話…エモいなぁ…(後方待機組)))))))


「そしたら一月で嫁候補、二月目には嫁候補2人目と両親に御挨拶、三月目には嫁候補3人目と頻発するラッキースケベの数々。
うふふ、こりゃ来年には孫の顔が拝めるわよきっと!(アミスティア)」

「ヤメテよ母さん!人をそんな尻軽男みたいに…!」

「ノア、俺が断言する!
お前の様に自制しまくってる奴ぁ″タガ″が外れた瞬間間違いなく″爛れる″!
11ヶ月後を楽しみにしてるからな!(レドリック)」

「ヤメテよ父さん!具体的な期間で言わないでよ!逆算したらコレ(大氾濫)終わりじゃんっ!」


((((((緊張感無ぇなぁこの一家…(後方待機組)))))))


エモい空気は何処へやら。
結局両親に良い様に転がされ、ノアが泣きを見る展開になるのだった。

そんなやり取りに、場の空気が少し和んだのも束の間



『『『『ズ…ズズ…』』』』(巨大な繭が鳴動。)

『『『ボコボコ…ボコ…』』』(繭の各所が隆起。)


「っ!?予想よりも早い!
さっきの鳴動からまだ50分ですぞ!(クリストフ)」

「あぁ、確かに早いが重要なのはそこじゃない。これが″大氾濫発生″の鳴動なのかどうかだが…(レドリック)」


凄まじい程に肥大化した繭が再び大きく鳴動。
予想ではこれが大氾濫発生に際するモノとなるが、あくまで予想である為、この時点でまだ確信は持てていない。

するとレドリックは徐に上空を見上げ



『『『『『巨大な繭内部に多数のモンスターの反応!数は不明!総員戦闘準備!
大氾濫が間も無く開始されるものと思われます!』』』』』



遥か上空、鋭く、だが透き通った声がこの地全域に響き渡る。

これは高高度に位置する天空大陸・第3諸島『ハルモニア』の四季龍インヴェルノが巨大な繭の内部反応を感知し、上空にて待機していたハーピー族の5人に伝達。

そこからこの地の全域に報せとして響かせているのである。


「聞こえただろう『エイペス』![弾丸戦車(タンク・ディバラ)]!
戦闘開始だ!気合い入れろ!(レドリック)」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


ハーピー族からの報せを聞いたレドリックが咆哮の様な声を上げ方々に発破を掛ける。
各所にもしっかり報せが響いたのだろう、各所から様々な音が聞こえてくる。

 
『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』(繭の一部が裂け、″黒い津波″が溢れ出す。) 


「っ!?黒い…土石流…?(ゴーラ)」
「何…あれは…大型モンスターか!?(バルク)」
「まるで滝の様だ…地揺れが凄いぞ…(ダッカード)」


巨大な繭の一部が裂けたかと思うと、まるで鉄砲水の様に″黒い津波″が出現。
距離としては2ケメル以上離れているから誰もその正体が分からずにいたが、それら全てが″人間サイズの虫モンスターの群れ″であった。
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