ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~

ジャイアントキリング

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~タイトル:『援軍』より抜粋~


『鎧王富嶽蟲(ガイオウフガクムシ)』…体長80メル全身を鎧の様な甲殻で覆っている。
東方の小国、更には霊峰『富嶽』にのみ生息する超大型の甲殻蟲。

性格は凶暴でありながら鈍重、魔法攻撃の類いは皆無である為、然程脅威にはならない。

とはいえ、非常に全身が強固であり巨体である為、歩くだけで破壊行動に繋がるので早期の討伐が求められる。

″ちなみに、一定数撃破すると最上位存在への『挑戦権』を獲得出来る。″



~タイトル:『討伐報告』より抜粋~


〝鎧王富嶽蟲の単騎討伐を確認。
超特殊勝利条件:『霊峰討破』を達成致しました。
これにより″最上位種『骸鏖峰嶽蟲(ガイオウフガクムシ)』の召喚権を獲得″。〟





『『『バヂバヂッ!バヂバヂッ!』』』(雷撃最大チャージ)

『『ギュンッ!』』『ギュンッ!』『ギュンッ!』(召喚陣複数展開)



『『……ビキッ!』』(竜征趙から破砕音)

『『『『『『『『フッ…』』』』』』』』(雷撃&召喚陣全消失)

オ″オ″オ″オ″…オ…?



竜征趙へと肉薄したノアが『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』の召喚権を行使。

直後、雷撃の発射態勢&召喚陣の複数展開を行っていた竜征趙の胸の辺りから光が消失。
それに合わせて雷撃と召喚陣が立ち所に消滅した。

自分の意思では無い事からか、竜征趙は咆哮から困惑の鳴き声へと変化させ、周囲に目を泳がせていた。


『『……バリンッ!』』(胸の辺りから半透明の欠片が次々に落下)

オ…オオ…


竜征趙が音のする方に目をやる。
そこは巨大な魔石が搭載されていた胸の辺りで、高密度の魔力からなる光の輝きは疾うに失せ、そこにはポッカリと空いた空洞だけが残されていた。


『『『バギンッ!』』』

オガァッ!オアアアアアアッ!

『『『ビキビキビキビキビキビキッ!』』』

『『『バガァッ!』』』(氷の牢獄崩壊)


四季龍インヴェルノが竜征趙に対して放った『絶対零度(アブソリュートゼロ)』が崩壊を開始。

これはノアが『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』の召喚権を行使した事で、周囲の魔力を吸収し尽くし、氷の牢獄がただの氷の塊と化した為地面に向かって落下に至ったのである。

形態を変化させてから飛行に関する一切を莫大な魔力で補っていた竜征趙も同じく落下を開始。

翅を持ち合わせてはいても巨大な魔石という原動力が消滅した今、氷の中から這い出す事すら叶わず悲鳴を上げるしかなかった。


『『『ズズズ…』』』(虚空から刀剣出現)

ブォンブォンッ!バシィッ!(ノアの手に長大な大太刀)

オガァアアッ!ゥギヤォアアッ!

【好き勝手暴れてくれたなぁ!さっさと、地に墜ちろっ!】


『『『ゾリンッ!』』』(斬首)


ゴッ……

『『『『『ゴォオオオオォ…』』』』』


身体を捩り、氷の牢獄から何とか這い出そうとする竜征趙を尻目に身の丈の数倍はある大太刀を出現させたノアは手元でくるりと回して遠心力を乗せ、勢いそのまま首を撥ね飛ばした。

首とさよならした竜征趙は、氷の牢獄に半分埋没した胴体と共に地表に向かって落下していった。





ガルルッ!

『『ギュォン!』』(低出力の雷撃)


首を撥ね飛ばされた竜征趙だが、自前の生命力は高く、未だ死んではいなかった。

竜征趙は、自身の体内に僅かに残っていた魔力を口腔に集め、ノアに向けて放とうとしていた。


『『『ギュォオオオ…』』』


1度ならず2度も奴を地に落とした。

我が殺られるハズは無い、我こそが頂点なのだ、とばかりに大口を開けて照準をノアに向け


『『『ガブジュッ!』』』ッピ!

『『グシャッ!』』『ブジュッ!』

グルォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


地表で大口を開けて待ち構えていたグリードが竜征趙の頭部に食らい付き、グシャグシャと咀嚼し、高らかに咆哮を上げる。


『『『ギュォオオオ…』』』(チャージ)

『『『ズバァアアアアアアアッ!』』』(最大出力プラズマレーザー )


『『『ジュァアアアアアアアアアッ!』』』(竜征趙の胴体消滅)


ゴァアアアアアアアアアアアアアッ!


そのままプラズマレーザーの発射体勢に入ったグリードは、溜まりまくった鬱憤を晴らすかの様に力を溜めに溜め、天空に光の柱を建てた。

グリードが放った最大出力プラズマレーザーの威力は凄まじく、<炎属性無効化>であるにも関わらず、威力のみで竜征趙の体組織を完全に吹き飛ばしてしまった。

この日天に向かって屹立した光の柱は、遠く王都の方まで目撃されたという。





『バシュッ!』(転移)

【…っと…凄い出力だ。
相当溜まってたんだな、グリード…】

(『まぁそのお陰で完全に奴を葬れたんだ、後でしっかり褒めてやろうぜ。』)

《そ、そこの者!気配がまるっきり違うがノア殿で間違いないのか!?》

【ん?】
(『ん?』)


短距離転移したノアは上空で滞空していた四季龍インヴェルノの太股辺りに着地。
グリードの戦果を讃えていたが、四季龍インヴェルノが恐る恐るといった様子で太股に立つノアへと問い質す。

四季龍インヴェルノは、ハーピー族から〔ノアが来る〕としか聞かされていない上、『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現』によって龍人の様な見た目となり、龍と『鬼神』の気配を漂わせる人陰をとてもノアだとは判断出来なかったのである。


『『シュン…』』(大太刀消滅)

「ほら、ごの通り…」

《お、おお…確かに。》


手にしていた大太刀を消し、顔を晒して漸くインヴェルノにノアであると認識。


《一体何がどうなってそんな…》

「それよりもインヴェルノさんは早くここから退避を。
″ここからが本番″です!」

《む、そういえば先程奴に何かを行ってから急激な魔力の減少がみられたが、一体何を…
…おっ!?こ、これは何だ!?》


ノアの姿について聞こうとした四季龍インヴェルノだが、空を見上げるノアがそれを制す。

つられてインヴェルノも上空を見上げてみると、そこには驚くべき光景が広がっていた。







~街から4ケメル以上離れた小高い丘~


「急激な魔力減少を感知、正体不明のモンスター地上に向かって落下!(西の【諜報】)」

「まさか、殺ったのか!?(獣人国の【諜報】)」

「ここからじゃ分からんが状況的に見て、先の竜人が何か策を高じたのだろう、あの規模の魔力消失は普通じゃない。(東の【諜報】)」


街から遠く離れたとある小高い丘の上では、100人以上の黒装束の集団が集まっていた。

装束の造りを見れば、細かい所で差異が見られる事から、各々が別の所属である事が分かる。

この集団は、各国に所属している【諜報】の者達で、見知った所では獣人国や王都、アルバラストやフリアダビアからもこの地にやって来ていた。

普通【諜報】と言えば各々陰を潜め、他国と干渉しない様に諜報活動を行うものだが、何故彼等が一堂に会してこの場に集まっているかというと、それはヴァリエンテ領の隣領で発生する大氾濫である。

ヴァリエンテ領の隣領で10年置きに発生する大氾濫は各国にとって既知の出来事であり、その都度動向を陰ながら見守っている。

大氾濫を凌ぎ、その地で街を興せば豊富で潤沢な資源によって大成出来ると前々から見込まれていたが、大氾濫を凌げば次の大氾濫の為に備えるばかりで遅々として進んでいなかった。

だが今回、フリアダビア奪還の功労者である【鬼神】が参戦する事、過去最大規模の戦力を動員し、その上最初から前哨基地となる街を興した上での大氾濫である為、早々に決着し自国に明るい情報を抱えて帰還出来るだろう、と誰もが思っていた。

だが蓋を開けてみれば過去最大規模の大氾濫に加え、敵味方含めて正体不明の存在が多数出現して現場は大混乱。

情報の錯綜が多数発生した為、整合性を図る目的で各国の【諜報】間で情報の交換を行うという普通では考えられない事態となっていたのである。


「鳥人(獣人の一種)とは違う羽を持つ人族、蟲でん竜でんない正体不明のモンスター、ヴァリエンテ領に居ないハズの亜龍種、突然現れた竜人族…
全く、国に何て報告すりゃええんじゃい…(ドワーフ国の【諜報】)」



『『『『『『ズバァアアアアアアアアアッ!』』』』』』(天空に延びる最大出力プラズマレーザー)



「「「「「「おおお…」」」」」」

「正体不明のモンスターが落下した地点に超高出力の魔力反応!
反応からして対象のモンスターの消失を確認!(王都の【諜報】『調』)」

「今のは…ノ…
【鬼神】の契約獣のブレス…どうやら勝敗は決したらしいな。(ジョー扮する王都の【諜報】ナサケ)」


この場に居る全員にもグリードによる最大出力プラズマレーザーの発射を確認。

この時点では未確定であったが、後にこの時点で竜征趙の討伐は成された事を知る。

ノアと面識しか無い商人のジョーは、裏の姿である王都の【諜報】ナサケとしてこの場に仲間と共に動向を見守っていた。

可能であったなら『調』達は、ノアと肩を並べて大氾濫に対処していた事だろうが、本職はあくまで【諜報】である為何とも歯痒い心境であった事だろう。

とはいえ、約4日間に及ぶ過去最大規模の大氾濫は終息を迎えた。

この場に集まった【諜報】達は誰しもがそう思っていた。





『『『『『『コォオオオオオオオ…』』』』』』(街の方の空が目映く光る)



「ん?」
「何だこの光は…」
「朝…にはまだ大分早いが…」
「そもそも太陽の昇る方角が…」

「月…じゃない!
あ、″あれ″を…あ、あれ、あれあれ!」


「「「「「「な、何だありゃ…」」」」」」


グリードのプラズマレーザーとはまた違った光で夜空が明るく照らされる。

時刻は大体深夜2時頃、間違っても朝日等はあり得ず、いくら雲が晴れていようとも月明かりに目を背ける程の光量はあり得ない。

するととある国の【諜報】が街の方の空を見上げた所、今までの物とは比較にならない程巨大で広域な″召喚陣″が浮かんでいたのであった。





『『『『ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン…』』』』(直径300メル・3層からなる多重召喚陣が展開)



《こ、これは何だ…!?
ノア殿!一体奴に何をやったのだ!?》

【アイツ(竜征趙)の厄介たる要因は体内に搭載されていた魔石だ!
その莫大な魔力を用いて夥しい量のモンスターを召喚したり、周辺の環境に励起して高火力の攻撃魔法を放ったり、脅威的な再生力や生命力を獲得していた。
だからどうにかしてその魔石を排除する必要があった。】

《その結果が″アレ″という事か?
一体何を喚び出したのだ…!》

【あのくそデカダンゴムシ鎧王富獄蟲の最上位存在、『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』。
たまたま撃破した際に挑戦権を獲得しちゃったから有効活用させて貰った!】

《相手の戦闘力も分からないのに喚び出したのか!?何たる…》

【奴をあのままのさばらせるよりか幾分マシだ! 
とはいえ、奴を無力化出来、挟み撃ちの構図にならなくて良かったと思っているのが本音だがな。】


これは本当に本音で、『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』の召喚で竜征趙の魔石が枯渇するかどうかなんて実際に試すまで一切分からなかったのだ。

下手すれば体内の魔石を枯渇させる事が出来ず、竜征趙と『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』がタッグを組んで相手する世界線があったかも知れないのだ。


【ただ、奴(竜征趙)の魔石を枯渇させる程の相手だ、鬼が出るか蛇が出るか…】

(『鬼はここに居るから蛇が来て欲しいモンだな。』)

(誰が上手い事言えと。)


中の『鬼神』がジョークを言ってノアを和ませる。
逆を言えば『鬼神』も何が出てくるか分からないのでハラハラしていると言える。





『『『『ゴォオオオオオオオオ…』』』』(召喚陣から巨大な甲殻蟲が出現)

『『『『『『ガシャガシャガシャガシャガシャッ!』』』』』』(無数に蠢く多足)

『『『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…』』』』』(召喚陣から出続ける胴体)



【……お望み通り出て来たぞ、″蛇″が。】

(『″蛇″というより″百足(ムカデ)″じゃねぇか。』)


鳴動する巨大な召喚陣からは、骸(ムクロ)と化した鎧王富獄蟲の頭部を持ち、百足(ムカデ)の様に長大な胴体を持った多足の存在が姿を現した。



『『『ドズゥン…』』』(山肌に到達)



《……。》
【……。】
(『……。』)


ただその長大な存在の胴体は非常に長く、未だ召喚陣から出て続けているものの、頭部は最奥の山肌に到達し、とぐろを巻き始めていた。

鎧王富獄蟲がダンゴムシであったなら、この長大な胴体を持つ存在『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』は百足(ムカデ)と比喩した方が適切かも知れない。


【……こっちの方がヤバイか…?】   
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