ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
1,108 / 1,124
天空大陸~終わりの始まり

吐血

しおりを挟む
~完全に日が落ちた後~


ほわぁあぁあ…大あくび

(うーん…良く寝た…あれ?僕何して…?
何で長屋に居るんだっけ…?)

(『天空大陸から戻ってきて、娘っ子に絡んだ後そのまま寝ちまったんだよ。』)


すっかり外は暗くなり、窓から見える範囲の家々に灯りが点る頃、酔いから覚めたノアがムクリと起き上がる。

イマイチ記憶が定かでない様で、自分が何故長屋に居るのか分かっていなかった。


(娘っ子…?…っほぁっ!?)


「スー…スー…スー…(ミダレ)」


寝惚け眼を擦りつつ自身の真隣を確認してみると、そこには可愛らしい寝息を立てて眠るミダレの姿があった。


(…あの、『鬼神』さん…?
さっき言ってた"色々"って…)

(『安心しな、主が考えてる様などピンクな行為はしてねぇよ。
酔って甘絡みしてそのまま潰れただけだ。』)

(ど、どピンクて…)


中に居た『鬼神』によって現況が把握出来たノア君。


ゴポッ…(胃からせり上がってくる感覚)

「うっ…!」

(『戻すなよ?戻すなら外でだからな?』)

(分かってらい。)


寝起き直後、胃の中がせり上がってくる感覚とそれによって息が詰まる様な感覚が襲ってきた為、ノアは慌てて表に出る。

寝る前に酔っていたので、普通に考えれば胃液であるが、そうでない事は本人が1番良く分かっていた。
    




「ゲホッ!」

『『ビチャチャッ!』』(吐血)


自分が寝ていた長屋の陰、人の目が行き届かない暗闇で口に溜まっていた鮮血を吐き出した。

口内は鉄の味で満たされ、不快感が全身を襲う。


「…ふぅ…もう誤魔化せないなぁ…」


今までも吐血する事があったが、それは戦闘中であったから、と自分に言い聞かせて誤魔化してきたが、戦いが終わった後も不意に訪れる吐瀉の感覚にノアは額に汗を浮かべていた。


「…また寿命縮んだのかなぁ…」


春先に冒険者生活を開始してまだ半年程。

感覚としては微々たるもの過ぎて意識するまで全く気付かなかったが、倦怠感や鈍痛、何とも言えないデバフの様な物が体の中に蓄積されていく。

そんな感覚が現れ出していた。

この感覚には覚えがある。

幼少の頃に大病インクラーベルを患った際、この感覚が全身を襲い、最終的に生きる気力さえ湧かなかった。

そんな嫌な思い出が詰まった感覚の初期段階に非常によく似ていたのだった。


「「また?」」

ビクッ!


人の目が行き届かない場所を選んだハズだったが、自身が吐いた呟きを誰かに聞かれていた。

思わず体をビクつかせて反射的に振り返ると


「…あ…父さん、母さん…」


壁に手を付いて吐血している息子を心配し、眉を下げる両親の姿がそこにあったのだった。





~ノアが酔い潰れて寝てしまった直後~


( ̄q ̄)スヤスヤ…


「…大丈夫ミダレちゃん?(ラハラメ)」

「…ノア君、酔いはするけど直ぐに潰れる体質で良かったっちゃ…(ミダレ)」

「それでも潰れるまでの間、好き放題撫で回されてたけどねー。(アマエ)」
「何かミダレちゃん、肌艶良くなってない?(ミダラ)」


所変わってここはフロンテイラの長屋のとある一室。

ステラからのお土産である酒まんじゅうによって酔いが回り、グスタフを強制的に追い返した後、ミダレを好き放題撫で回しそのまま眠ってしまった。

だがノアからの拘束が緩む事無く、抱き枕同然となったミダレは、サキュバス3人組によって救出された。


「ありゃりゃ、ミダレちゃん肌にノアさんの手形付いてる。(笑)(ミダラ)」

ツツツ…(指を這わせる)

「ひゃんっ!?(ミダレ)」

「あ!ごめんもしかして痛かった!?(ミダラ)」

「ぅぅん、ちょっと敏感になってただけっちゃ…(ミダレ)」

「確かにガッツリ掴んで離さなかったもんねー。(アマエ)」

「どうする?少し冷やしとく?(ラハラメ)」


手の痕が薄らと残る程に抱き締められていたミダレは、髪は乱れ、心拍数が上がり体が火照っていたものの、何故か肌艶が良くなっていた。


「ううん、少しすれば引くと思うからいい。
…それに、ノア君が付けてくれたこの痕を見てると何か少し嬉しいな、って…(ミダレ)」


自身の腕に出来た痕を見て何故かうっとりとするミダレ。

ノアはそんな素振りを殆ど見せないから忘れがちだが、2人は事故で主従契約を結んでしまった歴とした"主人と従者"の関係である。

主人であるノアから付けられた痕は、ミダレは"俺の所有物だ"という証であり、愛情をカタチとして表してくれた、と捉えたのかも知れない。

そんな恍惚としたミダレの表情を見た友達のサキュバス3人組は


「…ミダレちゃんあなた…"そっち"なのね…(ラハラメ)」

「へ?(ミダレ)」

「ようこそミダレちゃん"こっちの世界"へ!
あ、でも程々にした方が良いよ?
度が過ぎると双方にとって良くない事になるかも知れないから。(アマエ)」

「え?え?何の事何の事!?(ミダレ)」

「やっぱ2人は良い関係性ね。
あーあ、私も"癖"の合う男欲しーなー。(ミダラ)」

「ねぇ3人共さっきから何の事言ってるの!?(ミダレ)」


何の事だろうねぇ。





「そういえばそろそろトリップ・オア・トリートお菓子くれなきゃ昇天させちゃうぞ♪の季節だけど、ミダレちゃん街に戻る予定はある?(ラハラメ)」

「え?もうそんな時期だっちゃっけ?(ミダレ)」

「もうそんな時期なんだよミダレちゃん。(アマエ)」


サキュバス仲良し4人組の話題は地元で行われるお祭りについてだが


「というか、ミダレちゃんの場合お祭り関係無しに1度街に戻った方が良いと思うよ?(ミダラ)」

「どして?(ミダレ)」

「ミダレちゃんのパパさんギルド職員でしょ?
【勇者】軍の侵攻ルートとミダレちゃんの移動経路が被ってる上、ここ2、3ヶ月ギルド行ってなくて音信不通扱いだから凄く心配してると思うよ。(ラハラメ)」

「あ!そういえば!(ミダレ)」

「まぁ生存確認位は取れてるだろうけど、顔見せて安心させてあげたら?(ミダラ)」

「う、うん。そうする…(ミダレ)」

「そのついでにノアさんを両親に紹介したら良いんじゃない?(アマエ)」

「え、ええっ!?(ミダレ)」

「あー、それ良いじゃん。
2人に紹介しつつお祭りも楽しんでラブラブな所見せちゃいなよ♪(ラハラメ)」

「ええっ!?ちょ、そもそもノア君来てくれるかどうかも分からないのに…!(ミダレ)」

「大丈夫だって、ノアさん優しいから二つ返事で了承してくれるよ~。(アマエ)」

「そ、そうかなぁ…?(ミダレ)」

「それ!
今のその表情でおねだりしたらノアさんだってイチコロよ!(ミダラ)」
「女を見せぃ!ミダレちゃん!(ラハラメ)」

「わ、分かった、頑張ってみる!(ミダレ)」フンス


(『うっせぇな…』)←ずっとノアの中で聞いてた『鬼神』。





~翌朝~


チュンチュン…チチチ…

「あ、あんなぁ…ノア君、今度あっちの地元でお祭りあるんちゃけど、よ、良かったら来ぃひんかにゃ?
ってお誘いなんちゃけど…(ミダレ)」


夜が明け、いつの間にか外に居たノアにミダレは気恥ずかしそうに地元で行われるお祭りのお誘いをしていた。

緊張からか、いつも以上に訛り、噛み噛みになりながらも気持ちを伝えるミダレだが


「あー…ゴメン、僕ちょっと寄る所があって…
長引くかも知れないから皆で楽しんでくると良いよ。」

「へ?(ミダレ)」


「「「んなっ!?」」」←(陰から見守っていたサキュバス3人組) 


お誘いを受けたノアは別件がある様で、申し訳なさそうにお誘いを断るのだった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

無能と追放された俺、死にかけて覚醒した古代秘術を極めて最強になる

仲山悠仁
ファンタジー
魔力がすべての世界で、“無能”と烙印を押された少年アレックスは、 成人儀式の日に家族と村から追放されてしまう。 守る者も帰る場所もなく、魔物が徘徊する森へ一人放り出された彼は、 そこで――同じように孤独を抱えた少女と出会う。 フレア。 彼女もまた、居場所を失い、ひとりで生きてきた者だった。 二人の出会いは偶然か、それとも運命か。 無能と呼ばれた少年が秘めていた“本当の力”、 そして世界を蝕む“黒い霧”の謎が、静かに動き始める。 孤独だった二人が、共に歩き出す始まりの物語。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

処理中です...