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第19話
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《…おい》
「ああ、ごめん。なんだっけ」
このところ、夜紅が少しぼんやりしているように見える。
特に心当たりはないが、こういう場合何をすればいいのだろう。
《休息が必要なんじゃないか》
「え?」
《心配する》
「…気をつけるよ」
主が不安そうな表情をしているのを見逃すことなどない。
それらを全て取り除ければよかったが、そう簡単にはいかないようだ。
かなり疲れているのか、夜紅は困ったように微笑むばかりで何も話そうとしなかった。
「…そういえば、サバトって知ってるか?」
《知らない》
「なら説明しておこう」
どうやら近々、人間ではない存在が集い宴が開かれるらしい。
夜紅は参加経験があるらしく、今年は主も呼ぶつもりだと話していた。
「生者だとバレたら厄介なことになる。…けど、妹に頼まれたら断れない」
《俺も参加するのか》
「穂乃のそばを離れないでほしい。多分、私はずっと一緒にはまわってあげられないから」
相変わらず他者のことばかりで小さく息を吐く。
《…自分のことを第一に考えないのか》
「そういうの、よく分からないんだ」
《そうか》
月見をして以降、主は多忙を極めている。
それは夜紅も例外なく当てはまり、強制的に休ませた方がいいのではと糸使いに言われるほどだ。
「穂乃には死者のふりをしてもらうつもりなんだけど、白露はそのままで大丈夫か?」
《問題ない》
気配としては妖に近いらしい俺ならば、紛れることくらい容易だ。
実際そういった役割をあてがわれたこともある。
他の式たちより霊力を喰う分、できることが多いらしい。
…今のところ自覚はないが。
「それじゃあ決まりということで」
《ああ》
「…ありがとう。白露がいてくれるようになってから穂乃の笑顔が増えた」
《…?主の笑顔を作っているのはおまえだろう》
「そんなことない。ずっと寂しがっていた穂乃が前よりあ軽くなったのは、きっとおまえがそばにいてくれるからだ。これからもよろしく頼む」
そんなことを言われても、俺にできるのは少しの手伝いと悪意を持った存在を遠ざけることくらいだ。
《…よく分からない》
「今はそれでいい。いつかきっとはっと気づく日がくる」
夜紅はそう話すと早速出かける支度をはじめた。
《眠らないのか?》
「行くところがあるんだ。…それに、偃月間近だと力が強くなりすぎるから」
夜紅も夜紅で苦労しているのだろう。
本当にお人好しな姉妹だ。
……いつか今の感覚の正体に気づいたら、何か変わるのだろうか。
よく分からないが、夜紅の言葉を心にとめておこうと思った。
「ああ、ごめん。なんだっけ」
このところ、夜紅が少しぼんやりしているように見える。
特に心当たりはないが、こういう場合何をすればいいのだろう。
《休息が必要なんじゃないか》
「え?」
《心配する》
「…気をつけるよ」
主が不安そうな表情をしているのを見逃すことなどない。
それらを全て取り除ければよかったが、そう簡単にはいかないようだ。
かなり疲れているのか、夜紅は困ったように微笑むばかりで何も話そうとしなかった。
「…そういえば、サバトって知ってるか?」
《知らない》
「なら説明しておこう」
どうやら近々、人間ではない存在が集い宴が開かれるらしい。
夜紅は参加経験があるらしく、今年は主も呼ぶつもりだと話していた。
「生者だとバレたら厄介なことになる。…けど、妹に頼まれたら断れない」
《俺も参加するのか》
「穂乃のそばを離れないでほしい。多分、私はずっと一緒にはまわってあげられないから」
相変わらず他者のことばかりで小さく息を吐く。
《…自分のことを第一に考えないのか》
「そういうの、よく分からないんだ」
《そうか》
月見をして以降、主は多忙を極めている。
それは夜紅も例外なく当てはまり、強制的に休ませた方がいいのではと糸使いに言われるほどだ。
「穂乃には死者のふりをしてもらうつもりなんだけど、白露はそのままで大丈夫か?」
《問題ない》
気配としては妖に近いらしい俺ならば、紛れることくらい容易だ。
実際そういった役割をあてがわれたこともある。
他の式たちより霊力を喰う分、できることが多いらしい。
…今のところ自覚はないが。
「それじゃあ決まりということで」
《ああ》
「…ありがとう。白露がいてくれるようになってから穂乃の笑顔が増えた」
《…?主の笑顔を作っているのはおまえだろう》
「そんなことない。ずっと寂しがっていた穂乃が前よりあ軽くなったのは、きっとおまえがそばにいてくれるからだ。これからもよろしく頼む」
そんなことを言われても、俺にできるのは少しの手伝いと悪意を持った存在を遠ざけることくらいだ。
《…よく分からない》
「今はそれでいい。いつかきっとはっと気づく日がくる」
夜紅はそう話すと早速出かける支度をはじめた。
《眠らないのか?》
「行くところがあるんだ。…それに、偃月間近だと力が強くなりすぎるから」
夜紅も夜紅で苦労しているのだろう。
本当にお人好しな姉妹だ。
……いつか今の感覚の正体に気づいたら、何か変わるのだろうか。
よく分からないが、夜紅の言葉を心にとめておこうと思った。
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