未熟な蕾ですが

黒蝶

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「白露?」
《少し走るぞ》
よく分からないまま言われたとおり走っていると、後ろからざざざって音がした。
何かが追いかけてきているのかもしれない。
《オマエ、ホシイ!》
《……》
「どうしたの?」
いきなり立ち止まった白露は刀を抜いて、そのまま相手を一突きした。
《ミギャア!》
ばたばたしている相手に剣先を向けたまま、白露は吃驚するくらい低い声で告げた。
《もし傷つけてみろ。…二度と口がきけないようにしてやる》
《ヒッ…》
妖は小さい悲鳴をあげて、そのままどこかへ行ってしまった。
「何か困り事があったのかな?」
《狙いはおまえだ》
「え…?」
《喰われそうになっていたぞ》
全然分からなかった。
なんだか怖い顔をしているな…くらいにしか思っていなかったから、白露が心配そうにしていたんだ。
「ごめんなさい。全然気づかなくて…」
《別に構わない。それより今は勉強会とやらに遅れないようにしなければ》
「忘れてた!」
今日は友だちの佐和ちゃんと美和ちゃんとの約束がある。
お姉ちゃんには連絡してあるし、そのままお泊り会をする予定だ。
「お邪魔します」
「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」
「あ、あの、これ、お姉ちゃんから…」
「まあ、いつもわざわざありがとう。詩乃さん、いつも用意してくれて…もらってばかりで申し訳ないわ」
「お姉ちゃん、誰かの笑顔が見られたらそれでいいって言ってました」
「今度何かお礼させてね」
「伝えておきます」
ふたりは双子で、お母さんは看護師さんだ。
お父さんはいないけど寂しくないってふたりは楽しそうに言っていた。
「あ、穂乃ちゃんだ!」
「ふたりとも、お邪魔します」
「あがってあがって!」
3人とも得意分野がばらばらだから、出された宿題もテスト範囲の勉強も思ったより進んだ。
「みんなお疲れ様。夕飯できたから食べちゃいましょう」
「「わーい!」」
「穂乃ちゃんも遠慮せず食べてね」
「ありがとうございます」
横で何かを読んでいた白露に声をかけて、予め用意していたお弁当を渡す。
「流石に今日はご飯を用意できないから…。明日の朝ご飯はコンビニで用意するとして、お昼はどうするか考えるね」
《別になくても平気だが》
「駄目だよ。ご飯は毎日を全力で楽しむためにあるものだから」
《…おまえに従う》
最初は張り合うことも多かったけど、今は白露が折れてくれるときの方が圧倒的に多い。
一緒にいる時間も少しずつ増えてきて、話せることが沢山ある。
「穂乃ちゃん、どうかしたの?」
「あ、ううん。すぐ行くね」
…白露をひとりにするのは嫌だったけど、視えない人たちには言えない。
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