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はじまりの物語
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王太子シルヴェスター視点
ずっと、自分に言い聞かせてきた。
「自分の意志で、誰かに触れてはいけない」と。
儀礼としての握手、式典の挨拶はすべて王子としての触れ合いでしかなかった。
手を取れば、壊れて傷つく。
だから私は、心を込めることをやめた。体も、言葉も、感情さえも。
王太子として、全ての責任を引き受ける代わりに—
私は誰のものにもならない存在でいようと決めていた。
それが、私の在り方だった。
あの日、君と出会うまでは。
小さな手が、私の手のひらに重なった瞬間。
何も起こらなかった。
炎も、水も、風も、土も、暴走することなく、
ただそっと、手がつながっただけだった。
けれど、私の中では何かが確かに始まっていた。
ふわりと香るジャスミン。
陽だまりのような笑顔。
そっと撫でられるような、優しい声。
「殿下って……風みたいですね」
君がそう言ったとき、
私は初めて「誰かと一緒にいたい」と思った。
誰にも触れられないはずだったこの手が、
今では、毎日のように君の手を求めている。
触れるのがもう、怖くない。
むしろ、触れてしまいたくて仕方がない。
君のそばにいると、
この世界は少しやわらかくて、少し明るくて、
そして、何よりやさしい。
「王太子様、今日の紅茶、少し甘くないですか?」
「リュシア様の笑顔を思い浮かべながら選びましたから、きっと甘さがうつったのでしょう」
「え、そんなの……ずるいです。」
君がそう言って紅茶を口に運び、
ふっと笑う。
その横顔が、今の私の宝物だ。
かつて私は、この手で触れることで人を傷つけると思っていた。
けれど、あの春の日。
私はやっと、知ったんだ。
誰かに触れるということは、壊すためじゃない。
つながるためにあるのだと。
この手が、もう誰も傷つけない世界を、君がくれた。
だからこれは
始まりの物語。
ふたりの優しい日々の、最初のページ。
完
ずっと、自分に言い聞かせてきた。
「自分の意志で、誰かに触れてはいけない」と。
儀礼としての握手、式典の挨拶はすべて王子としての触れ合いでしかなかった。
手を取れば、壊れて傷つく。
だから私は、心を込めることをやめた。体も、言葉も、感情さえも。
王太子として、全ての責任を引き受ける代わりに—
私は誰のものにもならない存在でいようと決めていた。
それが、私の在り方だった。
あの日、君と出会うまでは。
小さな手が、私の手のひらに重なった瞬間。
何も起こらなかった。
炎も、水も、風も、土も、暴走することなく、
ただそっと、手がつながっただけだった。
けれど、私の中では何かが確かに始まっていた。
ふわりと香るジャスミン。
陽だまりのような笑顔。
そっと撫でられるような、優しい声。
「殿下って……風みたいですね」
君がそう言ったとき、
私は初めて「誰かと一緒にいたい」と思った。
誰にも触れられないはずだったこの手が、
今では、毎日のように君の手を求めている。
触れるのがもう、怖くない。
むしろ、触れてしまいたくて仕方がない。
君のそばにいると、
この世界は少しやわらかくて、少し明るくて、
そして、何よりやさしい。
「王太子様、今日の紅茶、少し甘くないですか?」
「リュシア様の笑顔を思い浮かべながら選びましたから、きっと甘さがうつったのでしょう」
「え、そんなの……ずるいです。」
君がそう言って紅茶を口に運び、
ふっと笑う。
その横顔が、今の私の宝物だ。
かつて私は、この手で触れることで人を傷つけると思っていた。
けれど、あの春の日。
私はやっと、知ったんだ。
誰かに触れるということは、壊すためじゃない。
つながるためにあるのだと。
この手が、もう誰も傷つけない世界を、君がくれた。
だからこれは
始まりの物語。
ふたりの優しい日々の、最初のページ。
完
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👏👏👏☺️
癒されました
感想ありがとうございます!
コメントに気づかず、返信が遅くなりすみません😭