公開処女喪失させられた王女は魔力を奪われました

空田かや

文字の大きさ
31 / 47

31 最後のキス

しおりを挟む
シャルリンテは、まだ夜の明けきっていない青白い空の下、一人でサシュナに向かってひたひたと走っていた。

下半身には、スーリに何度も抱かれたせいで、甘い痛みが残っていたが、足を止める事はしなかった。

足を少しでも止めると、耳元で囁かれたスーリの言葉が響いて、まともな思考ができなくなるから…。

スーリは結局、一晩中シャルリンテを抱いた。

正直、何回抱かれたのかは覚えていない。

スーリが自分を落とそうと、全力で向かってきた事は確かだ…。



『王女様…どうしても…私とはサシュナに行きたく…ない?』

とぎれとぎれにスーリがそう聞いてきた時、シャルリンテは朦朧もうろうとしながらも頷いた。

スーリは切なげな瞳でシャルリンテを見て、力なく笑った…。

『王女様…。私の完敗です……』

そしてスーリは、シャルリンテの下半身に、避妊魔法をかけながら言った。

『…初めて会った日の事…覚えています…?』

シャルリンテはそう言われ、シャム猫みたいな美少女と出会った日の事をうすぼんやりと思い出していた…。

『私は、カルダンテ王に引きずられて…部屋に投げ込まれ…。どうせ、すぐに男だとバレると思っていたので毒を隠し持っていました。』

『…毒?』

『ええ…。小さい頃から飲まされていた耐性薬のせいで、私はちょっとやそっとの毒では効かないので猛毒を…』

シャルリンテは初めて聞かされた事実に、驚きながらも小さく頷いた。

『毒を飲んですぐに死のうと思っていたら、呑気にお菓子を食べながら本を読んでいる少女が目に入って…』

スーリはその時の事を思い出したのか、おかしそうにくっと笑った。

『結局、私はあなたのそばにいる事になった…。毒も捨てました』

『…じゃあ、毒を捨てた事、後悔した?その後続いた、私との生活など…辛かったでしょ』

シャルリンテは意地悪そうに、片方の眉毛を上げて聞いた。

『ふふっ…いえ。駆け引きばかりのシーセントにいた時より、ずっと楽しかった…。あなたは乱暴で口も悪かったけれど、駆け引きはしなかったから…』

スーリは横になると自分の腕に、シャルリンテの頭を引き寄せながら静かに言った。

『鳥籠の中のはずのあなたは、いつも自由で…惹かれないわけにはいかなかった…』

『……なにそれ…口説いてるの?』

『ははっ……口説いてはいない…』

そう笑うと、シャルリンテを抱きしめたまま、スーリは深い眠りに入ってしまった…。



シャルリンテは、しばらくスーリの寝息を聞いていた。

スーリが本格的に寝始めたのが分かるとスーリの腕を持ち上げ、こっそりと身を抜いた…。

そして、音を立てないように気をつけながらドレスを身に着け、ドアの方に向かった。

ドアノブに手をかけようとして、シャルリンテは、つい後ろを振り返ってしまった。

白んできた外の明かりで、ベッドに寝ているスーリの顔がよく見える。

繊細な白い肌…上品で綺麗な顔…。

やはり、美しい男だな…と思った。

こうして寝ていると、連れて来られたばかりの幼さの残るスーリと、大して変わっていないように見える…。

シャルリンテは、無意識のうちにスーリの元に戻ると、ベッドにひざまずき、唇にキスをした。

そして、小さな声で呟く。

「万に一つもありえないと思うけど…。サシュナに売り飛ばすっていうのは嘘かもしれない…。でも、そんな賭けに出られるほどの自信は、私には…ない」

シャルリンテは、唇を固く閉じると、すっと立ち上がった。

「…ごめんね、スーリ…。お金もあげられないし、恨みも晴らせないかもしれないけど…。どうしても…あなたに売り飛ばされるなんて事は…経験したくなかったの…」

そう言うと、シャルリンテは振り返る事なく部屋を出た。

宿を出られない魔術が、まだかかっていたらどうしようかと一瞬不安に襲われたが、宿の扉は簡単に開いた。

スーリの魔術は、もう解かれていた…。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...