33 / 47
33 嫉妬
しおりを挟む
クースリューは、ジャナル王子の方から婚姻石を通して喋りかけられた事は一度もなかった。
…そもそも婚姻石はそんなに、簡単に入れてもらえるものではない。
数々の儀式を経て、正式な婚姻式の場でシーセントの王族に見守られ、そして初めて…。
クースリュー自身、何人もの花嫁候補を蹴落とし、やっと掴んだ権利だった…。
血の滲む努力で魔術を磨いて…。
それもこれも、ジャナル王子のそばにいたかった…ただそれだけの理由で…。
役に立つ女だと思ってもらえるように…好きになってもらう為に…。
そして、やっとジャナル王子に入れてもらえた大切な石…。
それを、この女はゴミのように捨てたがっている。
クースリューは、婚姻石を入れてもらい、はしゃいでいた十三歳の自分を、馬鹿にされたような気がした。
クースリューがここに来ていた本来の目的は、嘘をついたと白状する為だった…。
ジャナル王子が、サシュナに売りつけようとしている話は作り話だと…。
売春婦になれと言ったのは、ほんの冗談だと…。
しかし、クースリューの気持ちは180度変わってしまった…。
クースリューは、冷酷な金色の瞳でシャルリンテの額に、すっと手を伸ばす。
すると、シャルリンテが気がつく間もなく、クースリューの手には婚姻石が現れた。
無駄のないその動きで、クースリューが強大な魔力の持ち主なのだと、シャルリンテは瞬時に理解した。
「…瞬間移動で…サシュナの波止場まで、すぐに送って差し上げる…。走って逃げたって、ジャナル様にすぐ捕まってしまいましてよ?…王女様…」
クースリューは感情の伴わない、低い声で言った。
「──本当に?!ありがとう!あなた、本当に優しい方ね…!」
シャルリンテは、嬉しそうにクースリューに微笑んだ。
クースリューは、シャルリンテの顔を見ないように、目をさっと閉じた。
そして、シャルリンテの肩に、形のいい手を添えて言った…。
「……ひどい男に翻弄された者同士ですもの。サシュナでのご健闘をお祈りしておりますわ…。そうそう、以前お渡ししたショールと口紅…手を叩いて出して、有効にお使いくださいね…」
クースリューはそう言うと、シャルリンテをサシュナの波止場まで瞬時に飛ばした。
…そもそも婚姻石はそんなに、簡単に入れてもらえるものではない。
数々の儀式を経て、正式な婚姻式の場でシーセントの王族に見守られ、そして初めて…。
クースリュー自身、何人もの花嫁候補を蹴落とし、やっと掴んだ権利だった…。
血の滲む努力で魔術を磨いて…。
それもこれも、ジャナル王子のそばにいたかった…ただそれだけの理由で…。
役に立つ女だと思ってもらえるように…好きになってもらう為に…。
そして、やっとジャナル王子に入れてもらえた大切な石…。
それを、この女はゴミのように捨てたがっている。
クースリューは、婚姻石を入れてもらい、はしゃいでいた十三歳の自分を、馬鹿にされたような気がした。
クースリューがここに来ていた本来の目的は、嘘をついたと白状する為だった…。
ジャナル王子が、サシュナに売りつけようとしている話は作り話だと…。
売春婦になれと言ったのは、ほんの冗談だと…。
しかし、クースリューの気持ちは180度変わってしまった…。
クースリューは、冷酷な金色の瞳でシャルリンテの額に、すっと手を伸ばす。
すると、シャルリンテが気がつく間もなく、クースリューの手には婚姻石が現れた。
無駄のないその動きで、クースリューが強大な魔力の持ち主なのだと、シャルリンテは瞬時に理解した。
「…瞬間移動で…サシュナの波止場まで、すぐに送って差し上げる…。走って逃げたって、ジャナル様にすぐ捕まってしまいましてよ?…王女様…」
クースリューは感情の伴わない、低い声で言った。
「──本当に?!ありがとう!あなた、本当に優しい方ね…!」
シャルリンテは、嬉しそうにクースリューに微笑んだ。
クースリューは、シャルリンテの顔を見ないように、目をさっと閉じた。
そして、シャルリンテの肩に、形のいい手を添えて言った…。
「……ひどい男に翻弄された者同士ですもの。サシュナでのご健闘をお祈りしておりますわ…。そうそう、以前お渡ししたショールと口紅…手を叩いて出して、有効にお使いくださいね…」
クースリューはそう言うと、シャルリンテをサシュナの波止場まで瞬時に飛ばした。
35
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる