公開処女喪失させられた王女は魔力を奪われました

空田かや

文字の大きさ
35 / 47

35 禁じ手

しおりを挟む
「ああ…、声だけではなく、姿も馬鹿王女にしていたら…ジャナル様、わたくしを抱いてくれたかもね…。でも、それはわたくしのプライドが許さなかった…」

すっかり、クースリューの声は元に戻っていた。

「クースリュー?!では、シャルリンテ様はどこに…??」

一瞬にして、蒼白になったスーリは取り乱してクースリューに尋ねる…。

「…サシュナに入国したら、ジャナル様に売られるわよってそそのかしたの」

それを聞いたスーリの瞳が揺れる…。

「売春婦になれば?…と、ふざけて提案したら…。見た目と違って思いのほか、あの王女様は素直で…。もしかしたら今頃、お客の男の上でよがっていたりして……」

スーリは痛みをこらえるように、目を細めた…。

「わたくしから抜いた婚姻石こんいんせき、すぐに違う女に入れるなんて…禁じ手だとはお思いにならなかった?」

スーリは、クースリューの手にある婚姻石こんいんせきにさっと目を走らせる。

クースリューは、婚姻石こんいんせきを、額に当ててみせた。

「こうして押し付けると、微かだけどあなたの声、聞こえるし、応えられた…ほんと…惨めだけど…」

クースリューはそう言うと、すっと手を下ろした。

力の抜けた手から、婚姻石こんいんせきがころころと床に転がる…。

「…クースリューすまない。配慮が足りなかったのは、認める…。でも、シャルリンテ様はどこに…」

その言葉を聞いたクースリューの金色の目は、ギラリと光る。

「シャルリンテ…シャルリンテって……うるさいのよ!!他の女に婚姻石こんいんせき使うなんて、許さない!!」
 
そう言うと、クースリューの周りにぶわっと風が巻き起こった…。

風に巻き込まれないように、腕で顔を隠したスーリの額に、冷たいクースリューの指が触れる…。

そして、クースリューは、いたぶるようにゆっくりゆっくりと、スーリの婚姻石こんいんせきを抜き取った。

「……くっ…!」

思わず、痛みに顔を歪めたスーリの耳元で、クースリューが囁く。

「婚約の解消など…わたくし…承諾していない…」

クースリューはスーリから抜いた婚姻石こんいんせきと、床に落ちていた婚姻石こんいんせきを空中に浮かび上がらせた。

そして、虹色に光る二つの石同士を、激しくぶつけた…。

パリンッと、ガラスの割れるような音が小さく響き、まばゆい光を放って婚姻石こんいんせきは金の粉に変わった。

金の粉に変わった婚姻石こんいんせきは、さらさらと空気に溶けて消えていった…。

自分の手で破壊したくせに、それを見たクースリューは、思わず声にならない声をあげた。

シーセントの王族はジャナル王子以外、全て殺されてしまった。

カリストの属国になったシーセントでは婚姻石こんいんせきを作る事のできる魔術師も皆、どこかへ逃げてしまった…。

おそらく、最後の婚姻石こんいんせきだった…。

凄まじい後悔に襲われ、茫然ぼうぜんとしているクースリューの腕を、スーリはきつく掴んだ。

「……クースリュー、シャルリンテ様はどこにいる?」

スーリの声は、静かで穏やかだった。

しかし、スーリを包んでいる魔力は恐ろしいほどの怒りに満ちていた…。

クースリューは出会って初めて、ジャナル王子が本気で怒っているところを見た。

ジャナル王子は感動の薄い、クールな男なのだと思っていた。

それはそれで素敵だと…。

だが本当は、とても熱い男……。

冷静に見えたのは、自分に興味がなかった…ただそれだけの事。

「…さぁ?カリストの王都には、売春宿の一つでもあるでしょうよ…と教えたけど?」

それを聞いて、スーリの顔がふっと緩む。

「…感謝する、クースリュー。…あなたに言った事はなかったけれど…私は、あなたの事を幼馴染としては…愛していたんだよ?だから…余計、政略婚は嫌だったんだ…」

クースリューはその言葉を聞いて、咄嗟に言い直した。

「サシュナの波止場に飛ばした…」と。

しかし、言い直した時には瞬間移動で跡形もなく、スーリは消えていた…。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...