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35 禁じ手
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「ああ…、声だけではなく、姿も馬鹿王女にしていたら…ジャナル様、わたくしを抱いてくれたかもね…。でも、それはわたくしのプライドが許さなかった…」
すっかり、クースリューの声は元に戻っていた。
「クースリュー?!では、シャルリンテ様はどこに…??」
一瞬にして、蒼白になったスーリは取り乱してクースリューに尋ねる…。
「…サシュナに入国したら、ジャナル様に売られるわよってそそのかしたの」
それを聞いたスーリの瞳が揺れる…。
「売春婦になれば?…と、ふざけて提案したら…。見た目と違って思いの外、あの王女様は素直で…。もしかしたら今頃、お客の男の上でよがっていたりして……」
スーリは痛みをこらえるように、目を細めた…。
「わたくしから抜いた婚姻石、すぐに違う女に入れるなんて…禁じ手だとはお思いにならなかった?」
スーリは、クースリューの手にある婚姻石にさっと目を走らせる。
クースリューは、婚姻石を、額に当ててみせた。
「こうして押し付けると、微かだけどあなたの声、聞こえるし、応えられた…ほんと…惨めだけど…」
クースリューはそう言うと、すっと手を下ろした。
力の抜けた手から、婚姻石がころころと床に転がる…。
「…クースリューすまない。配慮が足りなかったのは、認める…。でも、シャルリンテ様はどこに…」
その言葉を聞いたクースリューの金色の目は、ギラリと光る。
「シャルリンテ…シャルリンテって……うるさいのよ!!他の女に婚姻石使うなんて、許さない!!」
そう言うと、クースリューの周りにぶわっと風が巻き起こった…。
風に巻き込まれないように、腕で顔を隠したスーリの額に、冷たいクースリューの指が触れる…。
そして、クースリューは、いたぶるようにゆっくりゆっくりと、スーリの婚姻石を抜き取った。
「……くっ…!」
思わず、痛みに顔を歪めたスーリの耳元で、クースリューが囁く。
「婚約の解消など…わたくし…承諾していない…」
クースリューはスーリから抜いた婚姻石と、床に落ちていた婚姻石を空中に浮かび上がらせた。
そして、虹色に光る二つの石同士を、激しくぶつけた…。
パリンッと、ガラスの割れるような音が小さく響き、まばゆい光を放って婚姻石は金の粉に変わった。
金の粉に変わった婚姻石は、さらさらと空気に溶けて消えていった…。
自分の手で破壊したくせに、それを見たクースリューは、思わず声にならない声をあげた。
シーセントの王族はジャナル王子以外、全て殺されてしまった。
カリストの属国になったシーセントでは婚姻石を作る事のできる魔術師も皆、どこかへ逃げてしまった…。
おそらく、最後の婚姻石だった…。
凄まじい後悔に襲われ、茫然としているクースリューの腕を、スーリはきつく掴んだ。
「……クースリュー、シャルリンテ様はどこにいる?」
スーリの声は、静かで穏やかだった。
しかし、スーリを包んでいる魔力は恐ろしいほどの怒りに満ちていた…。
クースリューは出会って初めて、ジャナル王子が本気で怒っているところを見た。
ジャナル王子は感動の薄い、クールな男なのだと思っていた。
それはそれで素敵だと…。
だが本当は、とても熱い男……。
冷静に見えたのは、自分に興味がなかった…ただそれだけの事。
「…さぁ?カリストの王都には、売春宿の一つでもあるでしょうよ…と教えたけど?」
それを聞いて、スーリの顔がふっと緩む。
「…感謝する、クースリュー。…あなたに言った事はなかったけれど…私は、あなたの事を幼馴染としては…愛していたんだよ?だから…余計、政略婚は嫌だったんだ…」
クースリューはその言葉を聞いて、咄嗟に言い直した。
「サシュナの波止場に飛ばした…」と。
しかし、言い直した時には瞬間移動で跡形もなく、スーリは消えていた…。
すっかり、クースリューの声は元に戻っていた。
「クースリュー?!では、シャルリンテ様はどこに…??」
一瞬にして、蒼白になったスーリは取り乱してクースリューに尋ねる…。
「…サシュナに入国したら、ジャナル様に売られるわよってそそのかしたの」
それを聞いたスーリの瞳が揺れる…。
「売春婦になれば?…と、ふざけて提案したら…。見た目と違って思いの外、あの王女様は素直で…。もしかしたら今頃、お客の男の上でよがっていたりして……」
スーリは痛みをこらえるように、目を細めた…。
「わたくしから抜いた婚姻石、すぐに違う女に入れるなんて…禁じ手だとはお思いにならなかった?」
スーリは、クースリューの手にある婚姻石にさっと目を走らせる。
クースリューは、婚姻石を、額に当ててみせた。
「こうして押し付けると、微かだけどあなたの声、聞こえるし、応えられた…ほんと…惨めだけど…」
クースリューはそう言うと、すっと手を下ろした。
力の抜けた手から、婚姻石がころころと床に転がる…。
「…クースリューすまない。配慮が足りなかったのは、認める…。でも、シャルリンテ様はどこに…」
その言葉を聞いたクースリューの金色の目は、ギラリと光る。
「シャルリンテ…シャルリンテって……うるさいのよ!!他の女に婚姻石使うなんて、許さない!!」
そう言うと、クースリューの周りにぶわっと風が巻き起こった…。
風に巻き込まれないように、腕で顔を隠したスーリの額に、冷たいクースリューの指が触れる…。
そして、クースリューは、いたぶるようにゆっくりゆっくりと、スーリの婚姻石を抜き取った。
「……くっ…!」
思わず、痛みに顔を歪めたスーリの耳元で、クースリューが囁く。
「婚約の解消など…わたくし…承諾していない…」
クースリューはスーリから抜いた婚姻石と、床に落ちていた婚姻石を空中に浮かび上がらせた。
そして、虹色に光る二つの石同士を、激しくぶつけた…。
パリンッと、ガラスの割れるような音が小さく響き、まばゆい光を放って婚姻石は金の粉に変わった。
金の粉に変わった婚姻石は、さらさらと空気に溶けて消えていった…。
自分の手で破壊したくせに、それを見たクースリューは、思わず声にならない声をあげた。
シーセントの王族はジャナル王子以外、全て殺されてしまった。
カリストの属国になったシーセントでは婚姻石を作る事のできる魔術師も皆、どこかへ逃げてしまった…。
おそらく、最後の婚姻石だった…。
凄まじい後悔に襲われ、茫然としているクースリューの腕を、スーリはきつく掴んだ。
「……クースリュー、シャルリンテ様はどこにいる?」
スーリの声は、静かで穏やかだった。
しかし、スーリを包んでいる魔力は恐ろしいほどの怒りに満ちていた…。
クースリューは出会って初めて、ジャナル王子が本気で怒っているところを見た。
ジャナル王子は感動の薄い、クールな男なのだと思っていた。
それはそれで素敵だと…。
だが本当は、とても熱い男……。
冷静に見えたのは、自分に興味がなかった…ただそれだけの事。
「…さぁ?カリストの王都には、売春宿の一つでもあるでしょうよ…と教えたけど?」
それを聞いて、スーリの顔がふっと緩む。
「…感謝する、クースリュー。…あなたに言った事はなかったけれど…私は、あなたの事を幼馴染としては…愛していたんだよ?だから…余計、政略婚は嫌だったんだ…」
クースリューはその言葉を聞いて、咄嗟に言い直した。
「サシュナの波止場に飛ばした…」と。
しかし、言い直した時には瞬間移動で跡形もなく、スーリは消えていた…。
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