公開処女喪失させられた王女は魔力を奪われました

空田かや

文字の大きさ
36 / 47

36 サシュナの波止場

しおりを挟む
シャルリンテは、海風の吹く波止場で、古株の売春婦に泣きついていた…。

「…だって、部屋に入るなりスカートをめくって急にお尻を触ってきたんですよ?逃げようとしたら、髪を引っ張られて…だから…吐いてしまった…」

「……どこの国のお姫様だよ…。カリストの家出娘が新入りとして急に立ち始めたと思ったら…吐く女に客は付かないよ」


サシュナの波止場は、切り立った崖が続く特徴的な場所にあった。

天然の自然港を利用した、比較的大きな船着き場だ。

波止場に着いてすぐ、シャルリンテは赤いショールを身に着けている女性がポツポツと立っている場所を見つけた。

シャルリンテは彼女達の動きを陰から一晩観察し、ここのルールを少しだけ理解した。

船が停泊するたび、ぱらぱらと降りてくる船員や旅人が、ここの売春婦達の主な客。

売春婦達は店に雇われているわけでもなさそうで、個人個人でお客とやり取りをしているように見えた。

そして話がまとまると、崖下にある小さな宿屋が並んでいる場所に消えて行く…。

もしかしたら、陰で売春婦達を取り仕切っている者がいるのかもしれないが、見ていた限りでは見つけられなかった。


翌日、シャルリンテは勇気を出して、立ってみる事にした。

クースリューに言われた通り、口紅を塗って赤いショールを肩に掛ける。

どきどきしながら立っていると、次から次へと声をかけられシャルリンテは驚いた。

自分は案外、魔性の女とかいうやつかも…と有頂天になる。

そして、最初に声をかけてきた男に、うきうきと付いて行きすぐに現実を知る…。

部屋に入るなり、シャルリンテはベッドに押し倒された。

若い船員の男は、自分の服を脱ぎながら「してくれ…」と言った。

シャルリンテは「…何をするのでしょうか?」と聞き返し、男に笑われてしまう。

「まぁいいか…」と、男が顔を近づけてきた途端、シャルリンテは嘔吐してしまった。

男に触られるだけで、虫ずが走る…。

その上、最悪なのは心の中で密かにスーリの名を呼んでしまう自分がいる事…。

かつて、厩番うまやばんに顔を近づけられた時は、こうはならなかった…。

処女ではない今、性行為に対する敷居は低くなっているはずではないのか?

なぜ、高くなっているのだろう…。

シャルリンテは、怒った男に追い出されながら途方に暮れた…。

気を取り直して、もう一度違う男に付いて行った。

そして、再び同じ惨劇が起きる。

そんな事を数回繰り返し、今、シャルリンテは崖の上で身を縮めてしゃがんでいた。

赤いショールを胸元に、ぐしゃぐしゃと丸めて…。

もう一度、ショールを身に着けて波止場に立つ事など、とてもできない…。

次の男にもきっと、吐く…。

──廃業だ…。

一日も商売が成り立つ事もなく、失業した。

自分は男と寝るのが好きだったわけではなく、スーリに抱かれるのが好きだっただけ…。

そんな事も、こんな無駄な実践をしなければ理解できない。

来るはずもないスーリを、心の中で呼んでしまう自分にも呆れていた…。

魔力も持っていない…。

どうやってこれから生活していけばいいのだろう。

シャルリンテは文字通り、頭を抱えていた…。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...