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【聖者の薔薇園-開幕】
230.クマくんの大冒険
しおりを挟むいつも通りぐっすりすぴーと眠っていた時の出来事クマ!
起きたらご主人様たちが難しいお話をしていたクマ。聖者とか覚醒とか、クマにはよくわからないのですぴーともうひと眠りしようとしたクマ。
そうしたらなんやかんやあって、ご主人様が悪い人たちに連れて行かれそうになったクマ!というより、ご主人様が自分からついていこうとしたクマ。
まったくもうクマ。ご主人様ってば、知らない人にはついていっちゃだめクマ。仕方ないので、お兄さんのクマがご主人様に同行してあげることにしたクマ!
何やら悔しそうにロビーで立ち尽くすご主人様のお兄さんたちをおいて、こっそりご主人様の後を追ったクマ。
とことこ追いかけたけど、無念なことにクマは馬車の乗り方を知らなかったんだクマ。
なのでよっこらせと馬車の側面に張り付いて、ちょこんと無賃乗車させていただいたクマ。ごめんクマ。悪気はないクマ。許せクマ。
そんなこんなでぴゅーんと馬車が走り出し、気付けば汚れが目立ちそうなでっけー建物についたクマ。
近くの白いやつらが聖者だのなんだの言っていたから、ここはみんなが言っていた神殿だと気付いたクマ。名探偵クマに解けない謎はないのだクマ。腹黒ウサギがいなくても、クマは一人で謎解きできる賢いお兄さんなのだクマ。
えっへんクマしてとことこ中に入ろうとしたクマ。けれど賢いクマ、ここで腹黒ウサギとの重大な約束を思い出したクマ。
喋るぬいぐるみなんていないぴょんクマ。そんなものを見たら人間は怖がって、クマをやっつけようと襲い掛かってくるぴょんクマ。だからご主人様以外の前ではなるべく動くなぴょんクマ。そういう約束をしていたことをその時ふと思い出したクマ。
思い出したはいいものの、ぶっちゃけもう手遅れだったクマ。
ここまできて死んだふりは逆効果だクマ。ゴミと思われて捨てられたら二度とご主人様に会えなくなる可能性大クマ。泣いていいかクマ?
まぁ落ち着くクマ。ここで諦めるクマじゃないクマ。クマには近所のリスさんからもらったどんぐりがあるクマ。これをお守りに突き進むクマ。
木陰に隠れて茂みに隠れて。そうこうして神殿の周りをとことこえっさほいさと駆け回ったクマ。その苦労の末、クマはついにご主人様の気配を察知したクマ。
高い木を傷だらけになりながら登り、ついにご主人様の気配を感じる部屋の近くまでたどりついたクマ。一か八かでぴょーんと飛んで、窓にぺったり張り付くことに成功したクマ。
成功したけど、窓が開いていないことに気付いて詰んだクマ。これは死んだクマ。もう無理クマ。
そう思いどんぐりこつこつしながら走馬灯を見ていると、音に気付いたご主人様が窓に寄ってきてくれたクマ。流石ご主人様クマ。一生ついていくクマ。
そんなこんなで、ご主人様救出作戦を遂行したクマ。褒められる準備はばっちりクマ!
「という経緯クマ。クマがんばったクマ」
「クマくんすごい。本当にありがとうクマくん」
一生懸命説明してくれたクマくんをぎゅーっと抱き締める。褒められる準備はばっちりとのことなので、えらいえらいかっこいいむぎゅーとたくさんなでなでしてあげた。
「えっへんクマ!クマが来たからにはもう大丈夫クマ!安心するクマ!」
「うむうむ。じゃあクマくん、これからどうするの?」
ふすふすと自信満々に宣言するクマくん。かっこいいよきよきと頷きながらにこやかに問い掛ける。
クマくんは僕を助けにきたと言っていた。ということはつまり、ここから一緒に逃げる算段があるということだろう。一体どんな作戦を考えてきたのかなそわそわとすると、クマくんはえっへんの姿勢のままぴたっと硬直した。
数秒遅れて「クマ……?」と首を傾げるクマくん。きょとんとしたその姿に嫌な予感が湧き、ふにゃり顔に冷や汗を滴らせながら恐る恐る問い掛ける。
「え、えぇっと…どうやって、ここから出るのかな…って…」
クマくん、蒼白。
ぱちぱち瞬き時が止まったかのような反応をするクマくん。やがてぷるぷる震え始めたかと思うと、ひくひくと小さな嗚咽を徐々に大きく変えながらうわーんと声を上げた。
「ク、クマお馬鹿さんクマぁ!うわーんクマ!なんにも考えないで来ちゃったクマ!」
「クマくんよしよし。泣かないでよしよし」
そうだと思ったから平気だよ、とは言わないでおく。
クマくんのことだから、僕の突発的に動く癖が反映されて同じことをしでかすだろうと予想はしていた。
予想通り、クマくんは目的だけ先走って後のことを何も考えずに動いてしまったらしい。気持ちはよく分かるから怒るに怒れない。わかるよクマくんよしよし。
どの道ここから逃げる気は無かったから、クマくんに悪い所なんて何一つない。
むしろ来てくれてありがとうという気持ちだけだ。寂しい気持ちに支配されると、まともな思考を保つことが出来なくなるから。
クマくんが来てくれてよかった。ありがとありがととむぎゅーして号泣クマくんを慰める。なでなでよしよし。
「腹黒ウサギを連れて来ればよかったクマ…あのウサギならきっと賢いこと思いついたクマ…」
「クマくん。僕クマくんがいるだけで嬉しいよ。クマくんは僕のヒーローだよ。ありがとうねクマくん」
「えっへんクマ!腹黒ウサギがいなくたってヒーローになれるのだクマ!クマは一人でも賢いお兄さんクマ!」
切り替え早いのねふむふむとむぎゅーする。流石クマくん。ポジティブ思考で勝負するなら右に出るものはいないでござる…。
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