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【聖者の薔薇園-開幕】
閑話.わくわくかくれんぼ(3)
しおりを挟む「ここ!」
「食物庫か。確かに物多いしな」
気を取り直して。マカロンもぐもぐしながら向かった先は厨房近くの食物庫だ。
木箱やら棚やらがみっちり置かれた倉庫内。
僕のビビッとセンサーが強く反応している。ここに誰かが隠れていることは間違いない。
ガイゼル兄様を引き連れて中に進む。きょろきょろと棚の裏を確認しながらそーっと奥へ。
「……」
「む?」
不意に背後の足音がぴたりと途絶えた。
不思議に思い振り返ると、そこには何故か呆れ顔を浮かべてどこかを見つめるガイゼル兄様が。
何を見ているのだろう、と視線を追うけれど何も無い。と言うか、暗くてよく見えない。ガイゼル兄様は一体何を見て呆れていたのか。
きょとんとしながらも再び正面を向く。よく分からないけれど、とにかく他の三人を早く探さなければ。
「……あー、なぁチビ」
「む…?」
絶対に探し出してみせる…!とふんすふんすしながら進もうとした途端、ふとガイゼル兄様が面倒くさそうな声で僕を呼び止めた。
ぱちくりしつつ振り返る。この動き、食物庫に入って何度目だろうかなんて思いながらぱちぱち。
短く溜め息を吐いたガイゼル兄様が棒読みの声を上げた。
「なんかアレ、あっちとか気になんねぇ?なんつーか、なんか感じるわ、あっちに」
「なぬっ!」
指さす方向にぱっと視線を向ける。
ガイゼル兄様の勘…これは無視できない。兄様のことだから、きっと何かとてつもない気配を察知したに違いない。
わくわくっと瞳をキラキラさせながら、なんか感じるという方向へ全力でとたとた。
何があるかな誰がいるかなときょろきょろすると、ふと近くからガタッと物音が聞こえてきた。
「ぴゃっ!」
思わず飛び出たおかしな声。
暗い空間であわあわ目をぐるぐるさせながらも、必死で持ち直してもう一度きょろきょろ。棚の裏を一通り確認した直後、またもや物音が聞こえてきた。
ガタッ!ガタガタ!と強く鳴る音。隠れている人のドジだとしても、もはや隠す気が微塵も感じられない。
むしろ見つけ出してほしそうな…いや、かくれんぼなのにそれは有り得ないか。
「誰かいるの…?」
小さく問いを紡ぎながら音のした方へ。
忍び足でゆっくり近付いてみると、そこには周囲にあるものよりも一際大きな木箱があった。
おかしいな…この辺りはしっかり探したはずだけれど。こんな木箱、さっきまであったかな。
不思議に思いながらそろりそろりと木箱の蓋へ手をかける。そーっと持ち上げた瞬間、突然蓋がバッ!!と自動的に開いた。
蓋がカパーン!と、びっくり箱みたいに飛び上がったのだ。
またもや「ぴゃっ!!」とおかしな声を出して尻もちをつく。木箱の中から意気揚々と飛び出してきたのは、ニッコニコの笑顔を浮かべたシモンだった。
「わー!見つかってしまいましたー!」
見つかってしまったと言う割にはとっても嬉しそうだ。気のせいだろうか。
木箱の中からひょいっと出てきたシモンが僕をわー!と抱き上げる。やっぱりとっても嬉しそうだ。
わー!と言うよりはわーいわーい!という動き。びっくり顔のままぽかんとしていると、シモンはえへへっと頬を緩ませて語った。
「いやぁ我ながらしっかり隠れられたと思ったんですけどねー!まさか見つかってしまうとはー!」
たはー!と笑うシモン。何処かわざとらしい言動が少し気になるけれど…まぁいいか。きっと気のせいだ、うむうむ。
「……あからさまに音鳴らしてたくせに何言ってんだ」
「む?ガイゼル兄さま、何か言いましたか」
よく分からないけれど、ノリに釣られてシモンとわーいわーいしていた時。
不意に背後からボソッと聞こえたガイゼル兄様の小声。聞き取れなかったことにしゅんとしながら振り返り、きょとんと問いかけてみる。
ガイゼル兄様はそんな僕にさっきみたいな呆れ顔を浮かべて「別に」と面倒くさそうに答えた。
「それより次行くぞ。そろそろ飽きた。さっさと残り見つけて昼寝しようぜ」
「自由過ぎません?」
「お昼寝…ふむふむ」
確かにそろそろ疲労も溜まってきた頃合いだ。
みんなと遊び後のお昼寝すぴーを堪能するために、残りの二人を全力で見つけようとふんすした。
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