余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない

上総啓

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【聖者の薔薇園-開幕】

閑話.わくわくかくれんぼ(4)

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「うぅ…いない…」


 おかしい…どこにもいない…。
 ある程度邸の中は全て探したはずだけれど、ディラン兄様とライネスが一向に見つからない。
 どこかで見落としがあったのだろうか。もしかして、既に二人とはすれ違っているなんて可能性も…。

 考えれば考えるほどその可能性が現実味を帯びてきて、そわそわしながら次の動きを判断する。
 やっぱり戻って探した方がいいかもしれない。これだけ探して見つからないのだから、きっと見落としがあったんだ。

 そう判断し踵を返す。うーんうーんと悩む僕を静かに見守っていた二人が、きょとんと首を傾げて尋ねてきた。


「あ?どうしたチビ。昼寝か?一緒に寝ようぜ」

「疲れちゃいましたか?俺が代わりに探してあげましょうか?」


 心配そうな表情を浮かべて語る二人。
 それにぶんぶんと首を横に振って、ちがうよーとアピールする。

 代わりに探してもらうなんて、かくれんぼにおける禁忌だ。絶対にだめ。鬼たるもの、最後までしっかりと逃げる側を追い詰めるのである。
 それに、シモンが本気で探そうと思えば一分もかからない可能性がある。十秒くらいで二人を見つけてしまいそうだ。


「きっとどこかですれ違っちゃったの。だから、もう一度探すの」


 ふんすふんすと宣言する。
 すると二人はぱちくり瞬いて、お互い無言で顔を見合せた。
 きょとんとしていると、やがて二人がこくりと頷きこちらに視線を向ける。何だか言いにくそうな雰囲気で話し始めた。


「あぇー…い、いや!まだ探してない場所があるかもしれませんよ!例えばほら、そこの空き部屋とか!」

「あー…確かに、確かにあそこの部屋、なんか感じるぜ。なんかいるかもな」

「なぬっ!」


 二人の言葉を聞いてぱっと振り返る。
 指さす先にあるのは使われていない空き部屋。ベッドとか机とか棚とか、急な来客が万が一訪れた時のために簡易的な設備は全て整っている。

 その部屋から何かを感じる…?
 ガイゼル兄様の『なんか感じる』には実績があるから無視出来ない。
 そわそわしながらもわくわくっと瞳を揺らし、ついさっきの判断を覆して歩き出した。


「あの部屋さがす!」


 ぴしっと宣言してとことこ。
 背後から何やら安心したような溜め息と「お、そうか頑張れよー」「フェリアル様ファイトです!」という二人のエールが聞こえてきた。
 うむうむ。任せたまえ。僕がしっかりクールにみんなを見つけ出してみせるのである。

 とことこ、とことこ。かちゃ。
 扉を開けてそーっと中を覗いてみる。日当たりがあまり良くないからか、昼だというのに中はかなり暗かった。


「むぅ…」


 じーっと目を凝らしてみる。
 これといった気配は無い。人影も見えない。パッと見誰かがいるようには見えないけれど、それでも『なんか感じる』を信じてしっかりと探すことにした。

 そろりそろりと中へ進む。
 まずはベットの下確認。だれもいない。次はクローゼットの中。だれもいない…。
 テーブルの下、椅子の裏側。いそうなところは全て探してみたけれど、やっぱり誰もいなかった。

 この部屋には誰もいない。ふぁいなるあんさーである。
 うむうむと判断し入口へとことこ。誰もいないから場所を変えると言うと、二人は何故かあわあわと焦った様子で瞳を揺らした。


「いや待てチビ、ここには絶対なんかいる。なんか感じる。もうちょい頑張って探してみろ」

「あ、あー。そういえばこの部屋のカーテン、めっちゃオシャレですよね!近くで見てみればもっとオシャレかもしれませんね!」


 む…?と振り返る。シモンの言うカーテンを見てみるけれど、そこまで魅力は感じなかった。
 流石公爵邸のものと思えるくらいには高級感があるけれど、それだけだ。特段オシャレという訳でもない。
 これならシモンがいつも見ているはずの、僕の部屋のカーテンの方が凝ったデザインに見えるけれど…ときょとんした。

 それでも、そこまで言われてしまえば確かに気になってしまう。ぱちくりしつつカーテンに近付き、じーっと見つめてみた。


「うーむ…おしゃ…?」


 やっぱりよく分からない…。
 もう少し近くで見てみよう。そうすれば少しはオシャレが理解出来るはず。
 そう思い、カーテンに軽くちょこんと触れてみた瞬間。突如カーテンがふわっと動いた気がしてぴゃっと飛び跳ねた。

 おかしい…風がないのに、カーテンが自分で揺れている…?
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