何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました

海咲雪

文字の大きさ
8 / 24

ロイドの誓い

しおりを挟む
その日は客人が迎える予定があった。

しかし私は客間で客人を迎えた後、寝不足もありソファで眠ってしまった。

「・・・嬢、ティアナ嬢」

「んん・・・」

私が目を擦りながら、声の方に目を向けるとロイド様がいらっしゃった。

「ロイド様!?」

私は慌てて起き上がり、礼をする。

「そんなに畏《かしこ》まらないでよ。もっと可愛い寝顔を見せてくれていても良かったんだよ?」

「からかわないで下さいませ!」

私は顔を赤らめながら、顔を逸らした。

「ねぇティアナ嬢。何度フィオール家を訪ねても、私の相手をするのはリアーナ嬢ばかりだ。私が帰りにティアナ嬢に会いに行かなければ、君は私に会わないままだろう。そろそろ、君の本心を聞かせて欲しい・・・・何故、君は私を避ける?」

「それは・・・」

「前は君の涙の理由を無理には聞かなかった。しかし、私はもうあの時よりティアナ嬢に興味を持ってしまった。どうか君の秘密を教えて欲しい。そして、共に悩ませてくれ」

ロイド様の言葉に優しさが込められていることも、私に寄り添おうとしてくれていることも分かっている。

しかし、私の秘密は明かせない。

どう答えればいいのかが分からない。

「ティアナ嬢、私はそんなに頼りないかい?」

「違います!ロイド様が頼りないなんてあり得ません!・・・しかし、これは私の問題なのです」



「ティアナ嬢、君はたまに私を見ているようで、他の誰かを見ている気がするんだ。自分でも意味が分からないことを言っていることは分かっている。しかし、そんな気がしてならないんだ」

「ティアナ嬢、一つ私の願いを聞いて欲しい」



すると、ロイド殿下は私の前で膝をついた。

王族が膝をつくなど普通ではあり得ないことである。

「ロイド様・・・!?」

しかし、ロイド様はその姿勢を崩さない。


「どうか、今の私に向き合って欲しい」

「そのためなら・・・・ティアナ嬢、私は君と婚約を結んでも構わない」

「他の誰かになんて目を向けないでくれ」


なんと答えればいいのか分からない。

他の誰かなど見ていない。

8歳のロイド様に、前の人生のロイド様を重ねてしまうだけ。

ロイド様が私の目をじっと見つめる。

その時、初めて今回の人生でロイド様と目が合った気がした。

「ロイド様、どうか立ち上がって下さいませ」

「ティアナ嬢?」


「でないと、同じ目線でいられないでしょう?」


私は、ロイド様と目を逸らさずに微笑んだ。

そして、ロイド様に深く頭を下げる。

「ロイド様、婚約は出来ませんわ」

ロイド様が、悲しみが浮かんだ目を私に向ける。

「何故だ?」


「ロイド様の幸せを願っているからですわ。そして、私自身の幸せのためにも」



私の言葉にロイド様はしばらく何も言わなかった。

しかし、しばらくしてロイド様が何故か私に近づく。

「ロイド様?」

すると、ロイド様が私の手の甲にそっと口づけをした。

「っ・・!?」

「ティアナ嬢、君の気持ちは分かった。しかし、君は一つ勘違いをしている」

「どういうことでしょう・・・?」



「私の幸せは、ティアナ嬢と共に掴みたい。残念ながら私は諦めが悪いんだ。だから、君との婚約は諦められない」

「君を一目見た時に私は君に興味を持ってしまった。悪いがもう逃がすつもりはない」



ロイド様が私の手を強く握る。


「あの日、リアーナ嬢の話を笑顔で聞くティアナ嬢の笑顔が、私に向けられればいいと思ってしまった」


私はその場で言葉を返すことは出来なかった。

分かっていた。

前の人生のロイド様と比べては駄目だと。

しかし、前の人生でも貴方は私に愛を囁いてくれた。

それでも、貴方は何度繰り返してもリアーナを選ぶのだ。

貴方の気持ちを信じることが、もう私は怖いのです。

そんな自分の事ばかり考えていた私は、客間の外の影に気づかなかった。


「何故、お姉様ばかり愛されるの・・・!」


そう怒りが浮かんだ顔で呟いたリアーナに気づく者はいなかった。

この日から、リアーナは少しずつ私に冷たくなっていった。


そして私達は成長し、私は14歳の誕生日を迎えることになる。

前の人生で、ロイド様が私に婚約を申し込む年である。

どれだけ努力しても、運命は変わらないということなのだろうか。

14歳の誕生日、我がフィオール家に一通の手紙が届いた。


ロイド殿下から私への正式な婚約の申し込みである。


その手紙を境に、リアーナと私の関係はさらに変わっていくこととなる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者に「ブス」と言われた私の黒歴史は新しい幸せで塗り替えました

四折 柊
恋愛
 私は十歳の時に天使のように可愛い婚約者に「ブス」と言われ己の価値を知りました。その瞬間の悲しみはまさに黒歴史! 思い出すと叫んで走り出したくなる。でも幸せを手に入れてそれを塗り替えることが出来ました。全四話。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

【完結】婚約破棄されたらループするので、こちらから破棄させていただきます!~薄幸令嬢はイケメン(ストーカー)魔術師に捕まりました~

雨宮羽那
恋愛
 公爵令嬢フェリシア・ウィングフィールドは、義妹に婚約者を奪われ婚約破棄を告げられる。  そうしてその瞬間、ループしてしまうのだ。1年前の、婚約が決まった瞬間へと。  初めは婚約者のことが好きだったし、義妹に奪われたことが悲しかった。  だからこそ、やり直す機会を与えられて喜びもした。  しかし、婚約者に前以上にアプローチするも上手くいかず。2人が仲良くなるのを徹底的に邪魔してみても意味がなく。いっそ義妹と仲良くなろうとしてもダメ。義妹と距離をとってもダメ。  ループを4回ほど繰り返したフェリシアは思った。  ――もういいや、と。  5回目のやり直しでフェリシアは、「その婚約、破棄させていただきますね」と告げて、屋敷を飛び出した。  ……のはいいものの、速攻賊に襲われる。そんなフェリシアを助けてくれたのは、銀の長髪が美しい魔術師・ユーリーだった。  ――あれ、私どこかでこの魔術師と会ったことある?  これは、見覚えがあるけど思い出せない魔術師・ユーリーと、幸薄め公爵令嬢フェリシアのラブストーリー。 ※「小説家になろう」様にも掲載しております。 ※別名義の作品のストーリーを大幅に改変したものになります。 ※表紙はAIイラストです。(5/23追加しました)

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

謹んで婚約者候補を辞退いたします

四折 柊
恋愛
 公爵令嬢ブリジットは王太子ヴィンセントの婚約者候補の三人いるうちの一人だ。すでに他の二人はお試し期間を経て婚約者候補を辞退している。ヴィンセントは完璧主義で頭が古いタイプなので一緒になれば気苦労が多そうで将来を考えられないからだそうだ。ブリジットは彼と親しくなるための努力をしたが報われず婚約者候補を辞退した。ところがその後ヴィンセントが声をかけて来るようになって……。(えっ?今になって?)傲慢不遜な王太子と実は心の中では口の悪い公爵令嬢のくっつかないお話。全3話。暇つぶしに流し読んで頂ければ幸いです。

あの、初夜の延期はできますか?

木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」 私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。 結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。 けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。 「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」  なぜこの人私に求婚したのだろう。  困惑と悲しみを隠し尋ねる。  婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。  関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。 ボツネタ供養の短編です。 十話程度で終わります。

完結 女性に興味が無い侯爵様、私は自由に生きます

ヴァンドール
恋愛
私は絵を描いて暮らせるならそれだけで幸せ! そんな私に好都合な相手が。 女性に興味が無く仕事一筋で冷徹と噂の侯爵様との縁談が。 ただ面倒くさい従妹という令嬢がもれなく付いてきました。

処理中です...