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1.始まりの結婚式
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「君を愛する気はない」
本日、私レシール・リディーアと結婚をした旦那様セルト・クルーシアには婚約前からある噂があった。
「極度の女嫌いだ」、と。
私だって一公爵令嬢として政略結婚を受け入れる覚悟はあるが、女だからと舐められるのは冗談じゃない。
何より私は「女」という括りで相手の本質を見ないような人間は嫌いだった。
しかし所詮噂は噂、相手のことは直接会うまで分からないと考えていた。
にもかかわらず、私の旦那様セルト・クルーシアは結婚式当日まで私に会おうともしなかった。
相手は同じ爵位の公爵家といえど、公爵家の中では相手の方が力が強い。
私の家が言い返せないことも、文句の一つも言えないことも、分かっての対応だろう。
だから結婚式当日に初めて会った旦那様にこう言われても何も驚きもしなかった。
結婚式を無事に終えて、初めて二人きりになった瞬間だった。
「君を愛する気はない」
むしろよくそんな女嫌いの常套句のような言葉を仰ることが出来る、と驚いたくらいだった。
きっと今までそういう風に言えば、目に涙を溜めて身体を震わせて逃げていくご令嬢ばかりだったのだろう。
別にこれからこの人と関わらないで済むのなら、私だって泣いて逃げている。
しかし、そうはいなかい。
だって、私とこの人は今日結婚したのだから。
だからハッキリと私は述べた。たった一文を。
「逃げるのですね?」
「は?」
その時のセルト様の表情は眉間に皺がより、両目の目尻は吊り上がり、まさに怒っていると誰が見ても分かる表情だった。
「だってそうでしょう? 結婚した相手から逃げるなんて、ただのクズ夫ですわ」
誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。
何より結婚当日に妻に「愛する気はない」と仰る旦那様の方が不敬だろう。
「レシール、自分が何を言っているのか分かっているのか」
「あら、ちゃんと名前で呼んで下さるのですね。セルト様」
私のそんな返答に分かりやすくセルト様の表情がさらに険しく変わる。
「セルト様。いくら政略結婚といえど、全く妻と向き合わずに結婚生活が送れるとお思いで?」
「仮面夫婦などこの世に数えきれないほどいるだろう」
「それで上手くいくのは両方が納得している場合だけですわ。私は全く受け入れておりませんもの」
セルト様が険しい表情のまま、私に一歩近づいた。
今まで逃げていく令嬢や離れていく令嬢ばかりだったのだろうと思うと、セルト様から一歩近づけさせられただけで私は勝利したような気分だった。
「レシール・リディーア。何を望む?」
それは叶えてくれるという意味ではない。
ただ純粋に私の思惑が気になっているだけだろう。
何か裏がある、そう私は疑われている。
「目を合わせて、逃げずに、私と向き合って下さいませ。私は良好な夫婦生活を望んでいる。それだけですわ」
「レシールと向き合って私に何の得がある?」
「損得勘定の話ではないのですけれど……まぁ良いですわ。セルト様にとっての一つの得をお教えします」
私には公爵令嬢らしく微笑み、口元に人差し指を当てて、自慢げな表情を浮かべる。
「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」
旦那様の険しい表情の中に少しだけ勝気が笑みが見えた気がした。
「レシール・リディーア、覚悟していろ」
それがどこまでも強気な令嬢レシール・リディーアとこれから強気な令嬢に振り回される公爵子息セルト・クルーシアの結婚初日の出来事だった。
本日、私レシール・リディーアと結婚をした旦那様セルト・クルーシアには婚約前からある噂があった。
「極度の女嫌いだ」、と。
私だって一公爵令嬢として政略結婚を受け入れる覚悟はあるが、女だからと舐められるのは冗談じゃない。
何より私は「女」という括りで相手の本質を見ないような人間は嫌いだった。
しかし所詮噂は噂、相手のことは直接会うまで分からないと考えていた。
にもかかわらず、私の旦那様セルト・クルーシアは結婚式当日まで私に会おうともしなかった。
相手は同じ爵位の公爵家といえど、公爵家の中では相手の方が力が強い。
私の家が言い返せないことも、文句の一つも言えないことも、分かっての対応だろう。
だから結婚式当日に初めて会った旦那様にこう言われても何も驚きもしなかった。
結婚式を無事に終えて、初めて二人きりになった瞬間だった。
「君を愛する気はない」
むしろよくそんな女嫌いの常套句のような言葉を仰ることが出来る、と驚いたくらいだった。
きっと今までそういう風に言えば、目に涙を溜めて身体を震わせて逃げていくご令嬢ばかりだったのだろう。
別にこれからこの人と関わらないで済むのなら、私だって泣いて逃げている。
しかし、そうはいなかい。
だって、私とこの人は今日結婚したのだから。
だからハッキリと私は述べた。たった一文を。
「逃げるのですね?」
「は?」
その時のセルト様の表情は眉間に皺がより、両目の目尻は吊り上がり、まさに怒っていると誰が見ても分かる表情だった。
「だってそうでしょう? 結婚した相手から逃げるなんて、ただのクズ夫ですわ」
誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。
何より結婚当日に妻に「愛する気はない」と仰る旦那様の方が不敬だろう。
「レシール、自分が何を言っているのか分かっているのか」
「あら、ちゃんと名前で呼んで下さるのですね。セルト様」
私のそんな返答に分かりやすくセルト様の表情がさらに険しく変わる。
「セルト様。いくら政略結婚といえど、全く妻と向き合わずに結婚生活が送れるとお思いで?」
「仮面夫婦などこの世に数えきれないほどいるだろう」
「それで上手くいくのは両方が納得している場合だけですわ。私は全く受け入れておりませんもの」
セルト様が険しい表情のまま、私に一歩近づいた。
今まで逃げていく令嬢や離れていく令嬢ばかりだったのだろうと思うと、セルト様から一歩近づけさせられただけで私は勝利したような気分だった。
「レシール・リディーア。何を望む?」
それは叶えてくれるという意味ではない。
ただ純粋に私の思惑が気になっているだけだろう。
何か裏がある、そう私は疑われている。
「目を合わせて、逃げずに、私と向き合って下さいませ。私は良好な夫婦生活を望んでいる。それだけですわ」
「レシールと向き合って私に何の得がある?」
「損得勘定の話ではないのですけれど……まぁ良いですわ。セルト様にとっての一つの得をお教えします」
私には公爵令嬢らしく微笑み、口元に人差し指を当てて、自慢げな表情を浮かべる。
「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」
旦那様の険しい表情の中に少しだけ勝気が笑みが見えた気がした。
「レシール・リディーア、覚悟していろ」
それがどこまでも強気な令嬢レシール・リディーアとこれから強気な令嬢に振り回される公爵子息セルト・クルーシアの結婚初日の出来事だった。
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