天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず

文字の大きさ
17 / 34
第一章 艦隊結成編

第十五話 聯合艦隊伝令「長門先頭二皆泳ゲ」

しおりを挟む
1944年 10月26日。
レイテ沖海戦経路第299世界線路線世界線

この世界では、空母の実用性に米国より早く気づき、大和型戦艦は造られず、大艦巨砲主義、艦隊決戦主義を捨ててしまった大日本帝国海軍。
新型空母6隻を建造し、海軍は合計17隻の空母を保有することになった。

使わなくなってしまった10の戦艦等は、警備艦や、記念艦、護衛艦への改修工事、新型空母の資材化等が予定されていたが、レイテ沖海戦が開戦されると、空母8隻を主力とする第一艦隊、空母7隻を主力し、陸戦隊及び第7師団の輸送船団を合わせた第二艦隊の囮となるべく、既に警備艦就役していた比叡、榛名以外の戦艦が送り込まれた。

駆逐艦5隻、戦艦8隻で構成された第三艦隊。
出撃前には戦艦全艦塗装を塗り直し、全艦内に「死体留置所」という張り紙がそこら中に貼られ、豪華な食事が多く配給された。
乗組員の間では「動く葬式艦隊」と称されていた。

乗員皆、緊迫した空気の中、それぞれ戦艦長門、陸奥、扶桑、山城、航空戦艦伊勢、日向、戦艦金剛、霧島艦内で昼食をとっていた。
そして、レイテ沖近くに差し掛かった頃だった。

「敵機来襲!九時方向に米艦載機100機!他大型爆撃機数機確認!」

「来たねぇ~……総員戦闘配置」

気楽に命令するのは長門艦長稲田 拓哉いなだ たくや
長門及び全艦対空戦闘を開始する。
弾幕網が張られ、敵戦闘機等に攻撃をかける。
すると、水上偵察機が降りてくる。
戦闘の中、急いで回収する。
報告がなかったので何もないのかと思っていたが、敵機からの攻撃により、無線機が壊れてしまったらしい。

「艦長、水上偵察機の乗員からの報告です。東北東方向にて戦艦を中心とする空母無しの水上艦隊が発見されました」

「なるほどね~……なぁにがしたいの?」

「恐らく、まだ米国は戦艦が一番強いと思っているようです。艦載機に関してはレイテから発進した爆撃機の護衛の為かと」

「なるほどね~……てっきりあちら側も気づいたのかと思ったけど、まぁいいや。君の考える速度は流石だね。宗悟ちゃん」

長門副艦長浅田 宗悟あさだ そうご

「いえ、とんでもございません。それと、先ほど空母「鬼龍」から無線にて、「我、鬼龍及ビ蒼龍飛龍ハ第三艦隊ノ護衛機ヲ発艦セシ」っとの事です」

「へぇ~。案外あっちはよゆーなのね。それとも、司令長官様のお情けかな。特攻する我々に護衛機を飛ばすとは。でも、「アレ」はもう来てるんでしょ?」

「はい。聯合艦隊本部からの伝令、「長門先頭二皆泳ゲ第三艦隊は沈没の覚悟をもって特攻せよ」は届いております」

「ヒュー、本部は司令長官よりそこまでお人好しじゃないか。まぁ、そりゃそうか。でも、僕らも出来るだけのことはしなきゃね。作戦にはなかったけど、レイテ島に艦砲射撃を行うよ~。皆準備準備。あ、あと陸奥と、扶桑山城伊勢日向、金剛霧島に伝達しといてね」

「「「ハッ!」」」

長門を含めた8隻の戦艦は、レイテ島に砲身を向ける。
砲身が上下逆になりながら、長門陸奥の41インチ砲の砲塔が微調整を行いながら少しづつ動く。
そして、金剛霧島の35.6インチ砲、扶桑山城、伊勢日向の36インチ砲も微調整を行う。

その中で、伊勢の噴進砲が一斉に火を噴いた。
機銃にて攻撃していた護衛の米航空機は大半撃墜することが出来た。

更に、長門の高角砲が爆撃機のエンジンに命中し、煙と火を噴きながらバランスを崩す。
バランスを崩した爆撃機は、長門に向かって大きくゆっくり回りながら落ちていく。

「か、艦長!長門に!長門に突撃しようとしてきています!」
一人の見張りの乗員が叫んだ。

「ん~。まずいねぇ…………よし。長門は先に砲撃するって他艦艇に言っといて。長門は砲撃開始」

拓哉は少し悩んだ後、命令をだした。

「しかし艦長、まだ斜角や方向の微調整がすんでいませんが……」

拓哉が砲術長の言葉を遮る。
「死にたくなかったら早くしたほーがいいよー」

「……分かりました。徹甲弾、砲撃始め!」

長門の主砲が一斉に火を吹いた。
長門の主砲の弾が向かってくる爆撃機に二発命中し、貫通する。
爆撃機は無残にも粉々の鉄くずになり長門左斜に落ちた。
貫通した弾を含めた全弾は、陸に届かず海面に落ちたが、先の二発に加え、もう二発爆撃機に命中し、全爆撃機撃墜することに成功した。

レイテ島に戻ろうとする米航空機達。
しかしそこに緑色の高速物体が突っ込んでいく。
後からの機銃掃射によって火を噴きながら落ちていく。
第二航空戦隊からの艦載機、零戦である。
この世界の一航戦は空母「赤城」「加賀」「白龍」「赤龍」にて構成され、二航戦は「蒼龍」「飛龍」「鬼龍」「龍神」にて構成されている。今回は五航戦の「瑞鶴」「翔鶴」「王凰」「鷹城」は参加しなかった。

準備が整った長門外し7隻は艦砲射撃を開始した。轟音が鳴り響き、各主砲が日を吹く。
長門も再び準備が完了し、その41センチ砲の火を吹かせた。

ドーン!!ドーン!!

この世界にあった巨大航空基地は、尽く破壊され、爆撃機発艦準備中に攻撃されたためか、爆発の連鎖が続き、航空基地というもの自体がもう機能しなくなってしまった。
その頃、第三艦隊に接触しようとしていた米水上艦隊は、機動部隊の攻撃により壊滅していた。

全乗組員は喜んだ。
死ぬかもしれないと思っていた戦に勝ったのだ。
しかし、そんな喜びもつかの間だった。

黒い航空機が太陽の光の中から飛んできたかと思えば、逃げていた米航空機、それを追う零戦、どちら共に無差別攻撃を開始した。

零戦米航空機はどちら共撃墜された。

「米国の新型機でしょうか?いや、だとしたら同じ国の航空機を攻撃するはずは……」

すると、虫の羽の音のように大きな航空機のエンジン音が鳴り響いた。黒い航空機は増えており、いつの間にか魚雷を投下されていた。

「うそ……これ結構やばいかも……面舵いっぱい!急いでちょーだい!それと、伊勢日向って確か瑞雲と流星積んでたよね!?兵装解除してるだけでいいから戦闘機として発艦をたのんで!」

その時、後方から巨大な音が鳴り響いた。
なんと、伊勢日向、扶桑に魚雷が命中していた。
水柱が次々と大きく立つ。
扶桑が少しづつ右舷に傾いていく。
しかし、左舷にも魚雷が命中しなんとか一命を取り留めた。
だが、伊勢日向は急降下爆撃にさらされていた。
航空戦艦として機能している伊勢と日向は、その航空機を運用するための甲板がある。
それが絶好の的となった。
ドゴン!っと、爆弾は甲板を貫通し、爆弾を積んでいた航空機に爆弾が当たる。
整備員達は絶望の顔になる。

その瞬間、大爆発が起きる。
火炎と黒い煙が甲板から立ち誇る。
そして、第四第三砲塔にまで引火し、さらに大爆発を起こして、大火災を発生、伊勢は右舷に下がり始める。
それは日向も同じだった。

「嘘でしょ……は、早く本部に伝令してちょーだい!この海域から直ちに退避……」

ドーン!!
その時 、地震のように艦内が揺れる。
どうやら艦首付近に魚雷が命中したらしい。
ゆっくりと左舷に傾く。

更に気づけば、周りは紅黒い霧に満たされていた。

「く、クソ……艦内の……状況はどうなってるの……」

「艦長!各艦艇から報告、金剛、霧島、山城、扶桑、爆撃により大火災発生、陸奥、魚雷により舵損傷!伊勢日向轟沈!!」

「艦長!各班状況報告、艦首付近に大浸水発生、速力低下現在11ノット!このままだと陸奥とぶつかります!」

「な、なに!?」

すると、陸奥と擦れるようにぶつかり合い、両艦とも浸水が起きる。
そして、両艦ともゆっくりと、長門は艦首から倒れるように、陸奥は艦尾からもたれるように沈んでいった。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

処理中です...