天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず

文字の大きさ
28 / 34
第二章 第一次異世界大戦編

第二十六話 一時の平和、戦争の序章

しおりを挟む
『祝!大本営建築終了!!』

っという名のもとで、乗員たちのストレス発散も兼ねて祝宴会が開かれることとなった。
祝宴会には勿論のこと、同盟相手の月灯からも来会される。
まぁまぁデカい祝宴会である。
朝から準備を開始して、月灯の料理人もコユキから頼まれたのか、気合をいれて料理をしてくれている。
それに加えて、各艦からも「飯長」を呼び出し、今朝釣り上げた魚などをさばいたり、月灯から提供してもらった米ににた物を使ってご飯を炊いている。
しかしそんな中……。

「こんな臆病女が飛行隊長?ハッ!笑わせてくれる」

信濃飛行隊長下田陽斗が大鳳飛行隊長大久保莉乃に言った。
この話の発端は、幽闇海戦時の空戦でのやり方に不満を抱き、そのことについて莉乃が注意したことから始まった。

「なんですって!?そもそもの話ね、貴方はもう少し戦術を考えなさい!脳筋すぎるのよ。何もかも突進して」

「それが男のやり方だ!女は臆病だから突進していく勇気がねぇだけだろうが!勇気が無い分その小さな胸をデカくする努力でもしてみたらどうだ?」

陽斗は、莉乃の逆鱗に触れてしまった。
一瞬にして豹変した莉乃の顔。
そんの顔は鬼そのものとほぼ等しく、周りには紫色のオーラが漂う。

3回ほどぶん殴られた陽斗は、頭に三つそれも同じ箇所にたんこぶができる。

「フン!それじゃあ、模擬空戦で決着をつけましょう!」

「望むところだこのアマ!!」
頭を押さえながら言った。

「てことで」

「藤野少将!」

「「機体を使わせていただいてもよろしいでしょうか!?」」
莉乃、陽斗が俺に迫る。

「いや、俺に言われてもだな……。雪那と琴葉に直接言えばいいじゃないか。何故俺だけ面倒な事ばかりつきあわされなきゃいけないんだッ!」
最後の方は聞こえない程度で言った。

「倉本少将の同期、藤野少将が言っていただけるなら、恐らく「今の状態」でも大丈夫です!」
陽斗が何故か誇らしげに言う。

「ん?今の状態ってなんだ?」

「実は今、倉本少将とコユキ様がちょこーっと面倒無ことになってまして……」

莉乃の発言に気になり、俺はどういうことかと聞くと、見たほうが早いと答えていたので案内させた。
そこには……。

「貴方が誘拐したんだから泥棒猫!」

「いえ!恋人を独占したいという欲求は当たり前です!それ以前に私の夫に手を出してこようとするその言い訳が泥棒猫の行動だと言ってるのです!」

「何勝手に翔くんを夫に仕立て上げてるのよ!」

「あたりまえですわ!本当のことを言って何が悪いのですか!?」

「このおおおおおおー!!!!」

「むむむむむむむむー!!!!」

青と赤のオーラがぶつかり合う。
コユキに至っては、獣人が進化した姿(いつでも前の姿に戻したりできる)、獣人それぞれ違うがコユキの場合は「妖狐」になっている。 
毛の色が変化し、白銀のように美しかった姿から黄金色に変わっていた。
白色から黄色に変化した9本の尻尾の周りに紫色の魔力が纏い、より大きくなったように見えている。
爪も長くなっていて、眼の色が白から黄金色に変わっていた。


「な、なんだ……これ。子供の喧嘩か?」

「あははは……こういうことになってて、なんか頼みづらいので、お願いします!この通り!!」

一応土下座する2人。

「上官に頼むには言動が無礼すぎやしないか?まぁいいけど……」

こうして、模擬空戦を行うこととなった。



飛行甲板から発艦する2機の航空機。
1機の紫電改二型が空を飛ぶ。
それに連なるように後ろから零戦(六二型)が紫電の後ろ斜め下からやってきた。
しかしまぁ、零戦と紫電には大きな差がありすぎる。
こちらは超最新の六二型、しかし、相手も超最新の紫電改二型である。

発動機の機種、そもそもの馬力、機体の強靭力などが零戦には圧倒的不利なのだ。
しかし、莉乃は挑んだ。
彼女は海軍の中でも「天使」と呼ばれるほどの逸材であった。
何故「天使」と呼ばれるのか、それは彼女の零戦の操作にある。



まず仕掛けたのが紫電であった。
機体を左に倒しすと同時に「誉」エンジンが高々な咆哮を唸る。

陽斗と莉乃には、眼と眼で会話しあった。

追うように零戦も機体を左に倒す。
「栄」エンジンが元気よく吠えた。
紫電と零戦は、騎士と騎士が剣を持ち対峙するように、機体を左に倒したまま円を描きながら、お互いを見合う。

体制を無理やり立て直した紫電が、上にすさまじい速さで急上昇する。


「んな無茶な……」
莉乃が言葉を苦痛の漏らす。
零戦であんな軌道を描いたら、いくらなんでも翼が持たない。
零戦はゆっくりと体制を立て直し、緩やかな円を描きながら上昇する。
その時だった。

「ッ……!?」

莉乃が息を呑む。
太陽の逆光を受けながら、紫電がものすごい勢いで目の前から迫ってくるのだ。
紫電は上昇した後、エンジンの出力を最小限に下げ、機体の重さで自由落下を始めると同時にエンジン出力を最大限に上げたのだ。

だがいくらなんでも無茶苦茶すぎる。
人がそんなGに耐えられるわけがない。
上昇だけでもかなりの負荷が掛かっている筈だ。
零戦はどうにか機体を逸らし、落下していく紫電を避ける事に成功した。

「ちょっと!危ないじゃないの!!」

無線機のスイッチをつけ叫ぶ。
無線機からは……。

「悪い。少し気を失っちまった。けど、こんなんでひよって大丈夫か?」

「ひ、ひよってなんかない!!次はこちらから行かせてもらうわ!」

零戦が上昇をやめ、急降下へと転進する。
紫電はまたしても急上昇に切り替える。
だがそれは先の大きな円ではなく、とてもとても小さな弧を描いた。
上昇中、零戦から放たれる架空の弾を思い浮かべ、機体をわざと大きな円を描くように見せかけ小さく機体を逸らした結果だ。
零戦は紫電の直ぐ側を通過する。
紫電はその体制を維持し、背面飛行へと移行した。
紫電の操縦席からは急降下から体制を立て直す零戦が見える。
紫電はその隙をつく。

エンジンスロットルを最大限に開き、最大速度で零戦に迫った。

それに気づいた零戦は、急いで胴体を左に倒した。
逃げる、逃げる、逃げる。
必死に逃げるが、紫電の「誉」発動機のパワーに勝てるわけがない。

紫電は零戦の後ろに回り込んだ。

零戦は架空の弾が飛ぶ事を想像し、機体を僅かに逸らす。
しかしそれでも紫電は体当たりせんばかりの勢いで迫る。
後もう少しで架空弾が確実に当たる軌道に入る。
零戦が逃げれるわけがない。

「勝負あった……!」

陽斗が勝利を確信した。
その、筈だった。


その時、零戦が忽然と消えたのだ。

元からそこには何もなかったかの如く。
空虚に紫電は突っ込んだ。

「ッ……!?ど、どこに……!」

陽斗は必死に零戦を探す。
その時、無線機から声がした。

「勝負あったわね」

その声がしたのと同時に、紫電の背後から零戦が現れた。
零戦は「とある方法」を使い、紫電の死角、紫電の後方の斜め下に移動したのだ。

斜め下から機銃を撃たれてしまっては、翼が吹き飛び火を噴く可能性もある。

「なッ……!?ど、どうやって……クソ!クソ負けた!!」

陽斗は紫電につけられているメーターを殴ろうと握った手を上げるが、ゆっくりと力を抜いた。
潔く、負けを認めなければ、幼稚だと、愛機の自身の紫電を侮辱する行為だと思ったからだ。

その時、視界の端になにか黒い物が見えた。

月灯の軍事や運搬で使用されている「オオトリ」と呼ばれる巨大なカラスだ。翔を攫ったカラスである。
今回はいつもより巨大な編隊を組み向かってきている。

「何事だ……?」

陽斗は小さくつぶやいた。



──三日月島飛行場──

とてつもない量の鳳の軍団が三日月島の飛行場に降り立つ。
何事かと思い、俺とコユキ、雪那と心菜、それと興味を持ってついてきた数十名の駆逐艦や巡洋艦などの乗員たちが飛行場に集まる。

鳳団団長「カゼカミ」が降り、走ってこちらに来る。

「女帝陛下、大変です!ヴァグルドフが自称独立国への侵攻を開始しました!!」

「なんですって!?」
「なんだと!?」

俺とコユキ含めた、そこに居た者たち全員が驚きの声を上げた。




ヴァグルドフの精鋭艦隊通称「ライオン艦隊」は、自称独立を宣言していた国(地域)への艦砲射撃を行っていた。

燃え盛る街、男だけでなく、女や子供の悲鳴が飛び交い、静まる気配はない。

「誰かぁ……だずげ……ぇ」

「あ"づい"!!あ"づい"よ"お"ぉ"!!」

「水……水をくれぇ……ぁ……よこせぇ!!」
「や、やめておじさん!」
「うるせぇ!ガキが……」 

かつて笑いあった、共に支え合っていた者同士も、今は自分の命を守ることで精一杯だった。


ライオン艦隊旗艦戦艦パイル・ヘンガー
─艦橋内─

「クックックッ、クックックックックック……フハハハハハ!」

ライオン艦隊司令長官エルガ・ベル・エイゼンは不気味な笑みを浮かべ、火の海にのまれた街をみて笑う。

ライオン艦隊旗艦パイル・ヘンガー艦長ヘルギア・エンレンは、火の海を見てクツクツと笑っているエルガを黙って見据える。

「なぁ、艦長」

「はい、なんでしょう」




「戦争は、楽しいなぁ……」



蔓延の笑みでエルガが言った。
エルガのその言葉に、ヘルギアは嫌悪感を微かに感じた。

「フハハハハハ、ハーッハッハッハッハッ!!」
エルガの不気味を通り越した恐怖の高笑いが、艦橋内に響き渡った。



※どうも、八風ゆずです。えーっと、今作に出てくる単語の「漂流者、漂流物」に関してです。「とある先生(名前ではないです)」の作品、しかも今作と同じような作品(大和が異世界転移する話)で、同じ意味で出てくるのですが、私も、めちゃくちゃ失礼なのですがその作品を投稿なさっている先生も「パクった」などということはないです。作品に関しても、まぁ時差的に私の方がパクっていることになるし、相手にも失礼なのですが、相手が作品のジャンル的な物をパクっていることはないです。マジで偶然です。でも、話の展開に関しては全く違うので、パクったということにはならないと思いますが……。あと、この人の作品もめちゃくちゃ面白いので読んでみてください!!オススメです※
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

処理中です...