最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

文字の大きさ
28 / 75
第三章:「クラスメイトとの再会」

第28話:聖剣の修復

しおりを挟む
 再生都市メルディナの中央工房に、朝の光が差し込む。
 金属の音が絶えず響き、魔力の粒子が漂っていた。

 篠原蓮は作業台の前に立ち、
 散らばった破片を一つひとつ並べている。

 ――折れた聖剣《ルミナイト》。
 かつて“神の勇者”神崎悠真の象徴だった剣。
 今はただの残骸に過ぎなかった。



「……本当にやるの?」
 リアの声がした。彼女は作業机に肘をつき、
 銀灰色の破片を眺めながら不安げに眉をひそめた。

「ああ。放っとくのも気持ち悪いしな」
「でも、それ……あいつの剣だよ? 悠真の」
「そうだ。けど、壊れたものは、誰のものであっても直す価値がある」

 蓮は指先で破片に触れる。
 その瞬間、魔力が青く揺らめいた。

「《リサイクル》――融合開始」

 静かな声。
 破片が宙に浮かび、淡い光の糸が絡み合っていく。
 金属と魔力が混ざり合い、再構成が始まった。



 セリナが少し離れた場所で観察していた。
 白金色の瞳が鋭く輝く。

「……これは、ただの再生じゃない。
 あなた、物質そのものの魔力構造を“組み替えて”いるのね」

「試してるだけさ。
 廃都の魔導炉を直したとき、
 魔力の流れを循環させる感覚を掴んだ。
 “直す”だけじゃ足りない。
 もっと良くする――それが本当の《リサイクル》だ」

 リアが目を丸くする。
「進化させるってこと?」

 蓮が無言で頷いた瞬間、
 工房中に強い光が走った。

 金属の残響。熱と光の渦。
 やがて静けさの中に、一振りの剣が浮かび上がった。



 淡い蒼光を帯びた刃。
 まるで呼吸するように、魔力が脈打っている。

「……これが……聖剣?」リアが息を呑んだ。

 セリナも驚愕に声を失う。
「神の加護が抜けているのに、この安定した魔力……
 まるで世界の理そのものを媒介しているよう」

 蓮は剣を手に取る。
 掌に重みが伝わる。だが、その奥に不思議な温もりがあった。

「……《ルミナイト・ネオ》。これでいい」



 そのとき、工房の扉が乱暴に開かれた。

「――蓮! 出てこい!」

 怒声とともに姿を現したのは神崎悠真。
 かつての“勇者”。
 今は血と埃にまみれ、誇りだけを盾にしている男だった。

 背後には玲奈と、傷だらけの仲間数人。
 彼らの瞳には疲労と焦燥、そして迷いが混ざっていた。

「よくも俺の剣を勝手に――!」
「お前の剣じゃない」

 蓮は淡々と答えた。
 その静けさに、悠真の顔が怒りで歪む。



「……何だと?」
「《ルミナイト》はもう“神の武具”じゃない。
 これは俺が再構成した《ルミナイト・ネオ》だ。
 持ち主を選ぶのは神じゃない――この世界そのものだ」

「ふざけるな! 俺が勇者だ! その剣は俺のものだ!」

 悠真が手を伸ばす。
 だが、その瞬間――青い閃光が弾け、彼の手が弾かれた。

「なっ……!?」

 悠真が後退し、苦悶の声を上げる。
 掌には軽い火傷の痕。

 リアが小さく呟いた。
「……剣が、拒絶した」



「言っただろ」蓮が静かに言葉を重ねる。
「神の加護なんかじゃ動かない。
 必要なのは、“壊れても立ち上がる意志”だ」

「お前……俺を侮辱する気か」
「違う。壊れたなら直せると思ってる。
 ただし――直す気があるならだ」

「黙れぇぇっ!!!」

 悠真が叫び、怒りのまま突進した。
 折れた剣を振り上げ、渾身の一撃を放つ。

 蓮は軽く剣を振る。
 刃が空気を裂き、雷光が走った。
 衝撃波が地面を抉り、悠真の体を吹き飛ばす。

 土煙の中、悠真が膝をつく。
「……お前……いつの間に、そんな力を……!」



 蓮は《ルミナイト・ネオ》を静かに鞘に戻した。

「俺はただ、壊れたものを拾って直してきただけだ。
 剣も、人も、世界も――そのまま捨てるのはもったいないからな」

 リアが微笑んだ。
「それが、あんたの“勇者の証”なんだね」

 蓮は少しだけ笑って首を振った。
「勇者なんて柄じゃないさ」

 朝の光が工房に差し込む。
 悠真の影はその光の中で、悔しさに歪みながら小さく揺れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。

夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。 しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた! ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。 噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。 一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。 これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...