最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第三章:「クラスメイトとの再会」

第30話:裏切り者の策略

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 王都アルゼリアからの伝令が届いて三日。
 廃都メルディナは再び緊張の気配に包まれていた。
 勇者隊の再編、そして“異端者”への討伐命令。
 その布告には――蓮の名前が明記されていた。

 「……やっぱり、こうなるんだな。」

 蓮は再生塔の頂に立ち、報告書を静かに閉じた。
 風に揺れる髪が、白く輝く魔導炉の光を反射する。
 リアが下から駆け上がってきて、息を荒げながら叫んだ。

 「おい蓮! あんた、王国の通達見たか!? 完全に敵扱いじゃねぇか!」
 「見た。予想の範囲内だ。」
 「予想って……悠真が仕組んだんだろ!? あの勇者、懲りてねぇ!」

 リアの牙がきらりと光る。
 あの日の決闘で悠真が打ち砕かれたはずなのに、
 彼は王国と聖教会の支援を受け、再び動き出していた。

 「“篠原蓮は古代の禁呪を再現した。放置すれば人類の脅威となる”――だとさ。」
 セリナが魔導書を閉じながら淡々と読み上げた。
 「見事な情報操作です。王都の貴族たちは、勇者の言葉を疑わないでしょう。」
 「くだらねぇ……あいつ、自分の面子のために戦争起こす気かよ。」
 「そうだとしても、彼には後ろ盾がある。教会と王国――“神の名の下に”行動すれば、すべてが正義になる。」

 リアが拳を握りしめる横で、蓮は静かに目を閉じた。
 「悠真のやり方は昔から変わらない。
  勝てない相手は“悪”に仕立てて、上から叩く。……だけど、今度はそうはいかない。」

 その声には怒りよりも、冷たい覚悟があった。

 ――一方その頃。
 王国の議事堂では、悠真が玉座の前で跪いていた。
 「陛下。篠原蓮は危険です。彼は《リサイクル》の力で禁術級の魔導兵器を再現しました。」
 玉座の王は重く頷く。
 「……勇者よ。おぬしの言葉に偽りはないのだな?」
 「もちろんです。奴は人の道を外れました。私が討ち滅ぼします。」

 その瞳にはかつての光はなかった。
 あるのは焦りと、ねじれた執念。
 ――蓮に負けた屈辱が、いまも焼き付いている。

 会議後、悠真は薄暗い回廊を歩きながら、掌を見つめた。
 そこには、黒い紋章のような痕が刻まれている。
 女神教会の「祝福」――だがそれは祝福ではなく、呪いに近い契約印だ。
 “蓮を討て。そうすればお前に再び栄光を与えよう。”
 女神の声が脳裏に響く。
 悠真は口の端を歪めた。

 「……やるさ。あいつだけは、俺の手で潰す。」

 彼の胸中では、もはや正義も使命も形を失っていた。
 残っているのは、嫉妬と怨嗟だけだ。

 数日後。
 廃都メルディナに潜り込んだ一人の影が、情報屋を通じて蓮の居場所を探っていた。
 黒装束に身を包み、顔を隠したその人物――悠真の使いだった。

 「……王国の討伐部隊は明日動く。夜明け前にはここに来るだろう。」
 セリナが報告を終えると、蓮は小さく頷いた。
 「来るなら来い。ここはもう“捨てられた街”じゃない。俺たちが守る。」

 リアが剣を抜いた。
 「ったく、まるで罠に誘ってるような言い方だな。」
 「実際、罠にかけるつもりだ。悠真は必ず正面から来る。俺が“戦わない”と思い込んでるから。」
 「ほう……策を?」セリナが微笑む。
 「悠真が誇る《聖剣召喚》は、“壊れた武具”の上では発動しない。
  再生した聖剣をわざと壊れたまま戻しておいた。あれはもう、二度と女神の加護を受けない。」

 リアが目を見開いた。
 「……あんた、そこまで計算してたのかよ。」
 「俺はリサイクルするだけだよ。壊れたものに、もう一度意味を与える。それが俺のやり方だ。」

 夜。
 静寂を裂くように、地平の彼方で光が爆ぜた。
 討伐部隊がメルディナに到達したのだ。
 王国の旗、そしてその先頭に立つ――悠真。

 「篠原蓮! お前の罪をここで償わせてやる!」
 勇者の叫びが響く。
 だが、蓮は塔の上から見下ろし、冷静に呟いた。
 「――お前の“正義”は、もう壊れてる。」

 次の瞬間、街の外壁が光を放った。
 蓮が修復・融合した古代の防衛魔導陣が起動する。
 眩い光柱が立ち上がり、王国軍を飲み込んだ。
 衝撃で地が揺れ、空が震える。
 リアが吠え、セリナが詠唱を重ねる。

 そして、煙の中に佇む蓮の姿を見た悠真は、膝をついた。
 彼の聖剣は、ただの鉄塊に戻っていた。
 「な、なぜだ……俺の剣が……!」
 「お前の“信仰”が壊れたからだよ。」

 蓮の声は静かだった。
 怒りも侮蔑もなく、ただ事実として。
 その言葉は、悠真の心に何よりも深く突き刺さった。

 やがて討伐軍は総崩れとなり、撤退を余儀なくされる。
 悠真は誰にも支えられず、泥の中でひとり立ち尽くしていた。
 背後で部下たちが呟く。
 「……勇者はもう、終わりだな。」

 蓮はその様子を見下ろしながら、静かに息を吐いた。
 「壊れたものは、放っておけば腐るだけだ。
  でも……腐る前に再利用できるなら、俺はそれを拾う。」

 夜風が吹く。
 悠真はその言葉が届かぬまま、ただ空を睨んでいた。
 プライドも信仰も、何もかもが砕け散った空を。

 ――その日、“勇者神崎悠真”という名は、王国の記録から消された。
 しかし蓮はまだ、その名を“再生”の中に刻もうとしていた。
 それが、かつての仲間への最後の敬意でもあった。
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