最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第四章:「大陸統一戦争」

第42話:開戦

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 大陸の空が、紅に染まっていた。
 風は焦げた砂を運び、遠くの空には黒い煙が立ち上る。
 王国アルゼリアと魔王軍――二つの巨大な勢力が、ついに正面衝突した。

 その報せがメルディナに届いたのは、夜明けと同時だった。
 塔の上で報告書を受け取った蓮は、短く息を吐く。
 「……始まったか。」
 リアが背後で腕を組む。
 「結局、止まんなかったな。王国も魔王軍も、どっちも引く気ねぇ。」
 「人は恐怖で動き、魔族は怒りで動く。
  どちらも、壊すことしか知らないままだ。」
 蓮の声は静かだった。
 セリナが小さく頷く。
 「私たちは――どうしますか?」
 蓮は迷わず答えた。
 「中立を維持する。俺たちの目的は、戦うことじゃない。」



 昼過ぎ。
 再生同盟の中央議場では、各地からの使者が次々と報告を持ち寄っていた。
 「北方国境では、王国軍が教会の旗を掲げて進軍中!」
 「魔王軍の第七軍団が、森の防衛線を突破!」
 怒号と焦燥が入り混じる中、蓮はただ沈黙を保っていた。

 リアが机を叩く。
 「おい蓮、このままじゃ両方に挟まれるぞ! どっちかにつくしかねぇ!」
 「どっちにもつかない。壊す側に立った時点で、俺たちまで同じになる。」
 「じゃあ、見てるだけでいいのか!?」
 「見ているわけじゃない。」
 蓮の瞳が鋭く光る。
 「俺たちは“直す”。破壊の後にしかできないことをする。」

 セリナが静かに補足する。
 「戦争が終われば、どちらの陣営も荒廃します。
  そのとき、再生同盟が唯一の希望として立っていられれば――」
 蓮がうなずく。
 「そうだ。救うための中立だ。」

 しかし、言葉に納得しても、感情が追いつかない者もいた。
 「王国に故郷を焼かれた者がここにいる!」
 「魔族に家族を奪われた者もいる!」
 広間が再びざわつく。
 リアが息を呑み、立ち上がり叫んだ。
 「わかってる! あたしだって同じだ!
  けど蓮は、あの地獄を“やり直す”ためにここにいるんだ!
  壊すだけの戦いを、終わらせるためにな!」

 その言葉に、沈黙が落ちた。
 やがて、一人の戦士が立ち上がる。
 「……俺たちは、あんたを信じる。再生の旗のもとに集った時点で、覚悟は決めてる。」
 「俺たちもだ!」
 「蓮の言葉に従う!」
 声が広がり、熱が戻っていく。



 その夜。
 蓮は一人、塔の屋上で風に当たっていた。
 空には火の粉のような赤い星が瞬いている。
 リアが背後から来て、壁にもたれる。
 「……あんた、平気なのか?」
 「何が?」
 「中立なんて言ってるけど、戦わないことで守れねぇ命もあるんじゃねぇか?」
 蓮は少し間を置いてから答えた。
 「俺は、戦争を止めることはできない。
  でも、終わった後に“立ち直れる世界”を残すことはできる。」
 「……甘ぇな。」
 「そうかもしれない。でも、それが俺の戦いだ。」

 リアは空を見上げた。
 「なぁ、あんたの《リサイクル》ってさ。
  物だけじゃなく、人の想いも直せるのか?」
 蓮は少し笑う。
 「想いは壊れていない。捨てられたまま、誰も拾ってないだけだ。」
 「……そっか。なら、あたしも拾いに行くよ。
  壊れたままのあたしの故郷を。」
 「行くのか?」
 「ああ。戦争が終わった後でな。お前が直す世界、ちゃんと見てやるよ。」
 蓮は短く頷いた。
 「約束だ。」



 数日後。
 再生同盟の斥候が報告を持ち帰った。
 「報告! 王国軍と魔王軍、ついに中央平原で激突! 地平が炎に包まれています!」
 地図の上に赤い印がいくつも刻まれていく。
 蓮は眉をひそめた。
 「……早すぎる。まだ両軍とも兵を集めきっていないはずだ。」
 セリナが地図を指差す。
 「ここ――《ラグナ平原》。古代文明の遺跡が埋まっている場所です。」
 「まさか、そこを……」
 「ええ。両軍とも、“古代兵器の力”を狙っているのでしょう。」

 蓮の目が鋭くなる。
 「遺跡を戦場にしたら、大地ごと吹き飛ぶ。」
 リアが舌打ちした。
 「だから言ったろ。あいつらは止まんねぇって。」
 「……放ってはおけないな。」

 蓮は立ち上がり、再生の旗を掴んだ。
 「中立は守る。だが、“壊すこと”は許さない。
  俺たちは《再生同盟》だ。壊れたものを直すだけじゃない。
  壊れようとする世界そのものを、修復する。」

 その瞬間、会場の空気が変わった。
 リアが笑う。
 「結局、行くんだな。」
 「行くさ。止めるために。」
 セリナが杖を構え、魔法陣を展開する。
 「転移準備完了です。目的地――ラグナ平原。」
 蓮は深く息を吸い、静かに呟いた。
 「壊す奴らを、修復してやる。」



 ラグナ平原。
 炎と血煙が大地を覆い、空は真っ赤に燃えていた。
 王国軍の旗と魔王軍の黒い翼が交錯する中、
 一陣の光が降り注ぐ。

 その光の中から、蓮たちが現れた。
 風が旗をはためかせ、《再生同盟》の印が輝く。
 蓮が前を見据えた。

 「――止めに来た。」

 その言葉が、戦場に響き渡る。
 壊す者たちの狂気の中で、
 “再生”の意志だけが確かに立っていた。
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