最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

文字の大きさ
54 / 75
第四章:「大陸統一戦争」

第54話:再生都市防衛戦

しおりを挟む
 空が、赤く裂けた。
 まるで大地そのものが悲鳴を上げているかのようだった。
 再生都市メルディナ――かつて廃都と呼ばれたこの街は、今や《リサイクル連合》の中心地として蘇り、多くの民が安らぎを得ていた。
 だが今、その空を覆うのは――三つの旗。

 王国軍の獅子旗。
 魔王軍の黒い翼。
 そして、女神教会の白い十字。

 「……やってくれたな」
 蓮が呟いた。
 丘の上から見下ろす街は、美しいほどに整備されていた。
 再生炉の光が広場を照らし、循環水路が輝く。
 だがその光が今、焼き尽くされようとしている。

 リアが牙を見せた。「三方向から同時に攻めてくるとか、嫌らしい戦い方だな」
 「まるで、誰かが仕組んだみたいだな」真司が腕を組む。
 セリナは冷静に言った。「“誰か”ではありません。これは女神の意思。三勢力を操っているのです」

 蓮は頷いた。「……つまり、ここを落とせば、女神の計画は完成する」
 リアが剣を抜く。「なら、やることは一つだな」
 蓮は深呼吸し、街の中央へと視線を向けた。
 再生炉の中心――《コア・ルーメン》。
 そこが、彼らの最後の砦だ。



 「各班、配置完了!」
 兵士たちの声が響く。
 修復された魔導砲台が一斉に起動し、街の壁面が淡く光を帯びた。
 蓮が指揮台に立ち、全体に向かって声を放つ。
 「聞け、皆! 相手は三勢力だ。けど、俺たちは一つだ!」
 兵たちが拳を掲げた。
 「この街は“再生”の象徴だ! もう二度と、誰にも壊させない!」
 「「おおおおおおッ!!」」

 号令と同時に、空が閃光に染まった。
 王国軍の大砲が火を噴き、城壁に炎が走る。
 リアが跳び上がり、剣で弾く。「チッ、数が多すぎる!」
 真司が後方で詠唱を開始する。「《紅蓮障壁》展開! 熱圧反転、いけぇッ!」
 火球が反転し、空へと返される。
 爆炎が敵陣を焼いた。

 「まだだ!」セリナが叫ぶ。「北の森から魔王軍が来ます!」
 蓮が頷く。「リア、真司、北門へ!」
 「了解!」リアが狼化し、炎の尾を引いて駆け抜ける。
 真司がその後を追った。

 セリナが蓮に問いかける。「あなたは?」
 「俺は中央を守る。女神軍が動くのは……きっとここだ」
 セリナの瞳が揺れる。「気をつけて」
 「お前もな」



 北門。
 黒き鎧に身を包んだ魔王軍が迫る。
 「我らは魔王ルディアスの名のもとに、“再生者”を討つ!」
 その先頭に立つのは、魔族の将《ヴァルグ》。
 四天将の一角――黒嵐の異名を持つ男。

 リアが剣を構えた。「お前が“黒き嵐”か」
 ヴァルグが笑う。「獣人の娘か。面白い、俺を斬ってみろ」
 リアの足元から風が巻き起こる。
 次の瞬間、二人の姿が消えた。
 閃光。
 衝突。
 音よりも速い剣戟が、空気を裂いた。

 「うおおおおおッ!」リアが吠える。
 「その爪……狼王の血か」ヴァルグの瞳が光る。
 「そうだよ。あたしが今代の“狼王”だ!」
 炎が爆ぜ、リアの剣が真紅に輝いた。
 その斬撃が、ヴァルグの片翼を断ち切る。
 「なるほど……退屈はしなさそうだ」



 中央区。
 蓮は再生炉の前で両手を広げた。
 「《リサイクル・リンク》展開――全設備を統合制御!」
 街全体の魔力が循環し、壊れた建造物が再生していく。
 負傷した兵が立ち上がり、折れた槍が形を取り戻す。
 「行け、メルディナの子ら!」
 兵たちが再び戦場へと走る。

 だがその時――空から光が降った。
 純白の軍勢。
 女神教会の“神罰部隊”が姿を現した。
 「異端者・篠原蓮! 神の名のもとに、汝を粛清する!」
 声の主は、白銀の鎧を纏った女騎士――《セラフィナ》。
 玲奈の直属の護衛だった女神の使徒だ。

 「やっぱり来たか」蓮が剣を抜く。
 「再生の力……それは神の領域への冒涜!」
 「俺は誰のものでもない!」蓮が叫ぶ。「人を救う力を、奪わせはしない!」
 「ならば――裁きを!」
 セラフィナが槍を振り下ろす。
 白い光が奔り、蓮の足元を焼いた。

 「《分解の審判》……!」セリナが驚愕する。「あれは神罰術式……触れれば存在そのものが消されます!」
 蓮は一瞬で再生陣を展開した。「《リサイクル・シェル》!」
 光と光がぶつかり合い、爆音が轟く。



 「聖女のいない教会はもろいな」
 その声にセラフィナが振り返る。
 そこに立っていたのは、白衣を捨てた玲奈だった。
 かつての純白の聖衣は、今や淡い灰色に変わり、瞳は決意の炎を宿している。
 「……聖女玲奈。裏切り者か」
 「裏切ったのはあなたたちよ。神に命じられるままに命を奪う……そんなの、救いじゃない!」
 セラフィナの瞳が憎悪に染まる。「黙れ! 女神に逆らう罪人め!」
 「なら、罪人でいい!」玲奈は叫んだ。「もう神なんかに、誰も殺させない!」

 蓮が叫ぶ。「玲奈、下がれ!」
 「大丈夫、今度は逃げない!」
 玲奈が手をかざす。
 彼女の掌に、黒と白が混じった魔法陣が浮かび上がる。
 それは蓮の《リサイクル陣》と酷似していた。
 「これは……?」
 「あなたの“再生”を見て、わたしも気づいたの。信仰も、人も、やり直せるって」
 「玲奈……」

 セラフィナが突進してくる。
 玲奈が叫ぶ。「《リサイクル・セラフィム》!」
 光が弾け、女神の槍が粉砕された。
 衝撃波が街を包み、再生炉の光と共鳴する。



 戦いは夜まで続いた。
 王国軍は撃退され、魔王軍は撤退。
 教会軍は壊滅的打撃を受け、撤退を余儀なくされた。

 瓦礫の上、蓮たちは息を整えていた。
 「……やったのか?」真司が呟く。
 リアが拳を突き上げた。「ああ、勝ったんだよ!」
 セリナが微笑む。「でも、これで終わりではありません」
 蓮は静かに頷いた。「ああ……むしろ、ここからが始まりだ」

 玲奈が近づき、かすかに笑う。
 「蓮くん……あの時、助けてくれてありがとう」
 「もう謝らなくていい。これから一緒に、取り戻そう」
 玲奈は涙をこらえて頷いた。

 夜空には、ひとつの星が光っていた。
 まるで、悠真がまだ見守っているかのように。

 ――再生都市、守護完了。
 だが、戦争は終わらない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。

夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。 しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた! ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。 噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。 一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。 これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...