最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第四章:「大陸統一戦争」

第55話:決断

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 夜明け前のメルディナは、静まり返っていた。
 戦いの炎は消え、街には焦げた匂いと、再生炉の淡い光が漂っている。
 風に乗って、焼け焦げた鉄と血の匂いが運ばれた。
 それでも――人々の瞳には希望があった。

 蓮は、崩れた塔の上に立っていた。
 眼下に広がるのは、再び息を吹き返した街。
 瓦礫は既に修復され、壊れた家々も立ち直っている。
 《リサイクル・ネットワーク》が街全体を包み、ゆっくりと再構築を進めていた。

 だが、修復できないものが一つあった。
 “心”だ。
 戦火に怯え、家族を失った者。
 仲間を救えなかった兵士。
 その傷は、どんなスキルでも癒せない。

 蓮は拳を握りしめた。
 「これ以上……誰も捨てさせない」



 その頃、中央議会室。
 《リサイクル連合》の幹部たちが集まっていた。
 リア、セリナ、真司、玲奈――そして各地の代表者たち。
 円卓の中央に、蓮が静かに立つ。

 「――報告を」
 セリナが立ち上がった。
 「王国軍は南方へ撤退。兵の損耗率は七割以上。教会軍は半壊し、再編の気配があります」
 真司が続ける。「魔王軍はルディアスの命令で一時撤退。だけど、あいつらは次の“聖都戦”に備えてるな」
 玲奈が顔を上げた。「……教会は聖都ルミナに全戦力を集めています。女神アリアの本体が、あそこにある」

 議場がざわめいた。
 「女神の本体……?」
 「じゃあ、やっぱり倒せるってことか?」
 リアが牙を見せる。「やっと本丸か」

 だが、蓮の表情は険しいままだった。
 「……簡単じゃない。聖都ルミナにはスキルの中枢、《女神演算体》が存在する。そこを破壊すれば、世界の“スキルシステム”そのものが崩壊する」
 「つまり、世界が止まるってこと?」玲奈の声が震える。
 蓮は静かに頷いた。「ああ。だが、放っておけば、女神が人類を管理し続ける。選択しなければ、また同じことが繰り返される」

 沈黙。
 誰もが息を呑んだ。

 リアがゆっくりと立ち上がった。
 「……なら、選ぶしかねぇんだな。神か、人か」
 真司が笑う。「俺は決まってる。蓮の方だ」
 セリナが頷いた。「わたしも。彼の理想こそ、再生の道です」
 玲奈が手を握る。「……わたしも一緒に行く。神の声じゃなくて、わたしたち自身の声で世界を作りたい」

 蓮は一人ひとりを見渡し、ゆっくりと口を開いた。
 「……ありがとう。でも、これは“生きるか死ぬか”の戦いになる」
 リアが笑う。「今さら何言ってんだよ。お前が死んでも、あたしが引きずり戻してやるよ」
 真司が頷く。「燃え尽きるなら、それも悪くねぇ」
 セリナが穏やかに微笑む。「再生とは、壊れても再び立ち上がること。何度でも」
 玲奈がまっすぐ見つめる。「誰も捨てない――あなたの言葉、今も信じてる」

 蓮は深く息を吸い込み、宣言した。
 「――全軍を動かす。次の目的地は、聖都ルミナだ」



 出陣の日。
 再生都市の門前に、数万の兵が並んだ。
 獣人、エルフ、人間、魔族――かつて敵対していた者たちが、今は一つの旗の下に立っている。
 その旗には、再生の紋章《循環の輪》が描かれていた。

 蓮が最前列に立ち、声を張る。
 「俺たちは戦争をしたいわけじゃない。奪うためでも、支配するためでもない!」
 風が吹き抜け、旗がたなびく。
 「ただ、“再生する世界”を取り戻すために戦うんだ!」
 兵たちが一斉に叫んだ。
 「おおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

 リアが笑う。「気合入ってんな」
真司が肩を鳴らす。「そりゃそうだろ、あの蓮の演説だぜ」
 セリナが静かに微笑む。「あなたの言葉は、みんなの希望です」
 玲奈が小さく呟いた。「蓮くん……もう誰も、壊させないでね」

 蓮は馬にまたがり、聖都への道を見据えた。
 「出発する。これが、俺たちの“決断”だ」



 出陣の列が、再生都市を後にする。
 その背を、子どもたちが見送っていた。
 かつて廃墟で怯えていた小さな手が、今は勇ましく旗を振っている。
 「いってらっしゃい、再生の勇者さまーっ!」
 蓮は笑い、手を振った。
 ――もう、誰も泣かせない。

 空に、朝日が昇った。
 その光は、まるで新しい世界の夜明けのように眩しかった。

 そして、遠く離れた聖都ルミナ。
 女神アリアの演算体が、静かに光を放った。
 「再生の王、来たりし者よ……」
 神の声が、空に響く。
 「お前の“決断”が、この世界の命運を決する」

 風が吹く。
 蓮の瞳には、もう迷いはなかった。

 ――次なる地、《聖都ルミナ》へ。
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