富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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岡庭クンは、イジラレたい Ⅱ

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 ホテルの朝食はバイキングだった。

 日本の朝食バイキングとは違い、朝から大量の肉類もある。
 もちろん南国のフルーツなども豊富で、岡庭は迷ってしまった。


 また石神は御堂、花岡と一緒にいる。

 「山中くんも来れたらよかったのにね」
 「しょうがないよ、奥さんが出産間近らしいから」
 「御堂のとこはどうなんだよ」
 「え、うちはまだかな。奥さんが家に慣れてからだろうなぁ」

 「御堂くんの家って旧家だよね」
 「うーん、そういう言い方でいいのか分からないけど」
 「何言ってるんだよ。花岡さん、こいつの家には蔵が三つもあるんだよ」
 「へぇー」

 
 (なんかまた楽しそうに話してるなぁ)


 岡庭は大量に皿に盛った食べ物を黙々と食べた。

 「よう、岡庭! お前ずいぶん食べるんだなぁ」
 料理を取りに行く途中の石神が、岡庭に声をかけた。

 (イッシガッミクーン!)

 岡庭は急いで返事をしようと、口に入れていたカツレツを皿に吐き出す。

 「お前、きったねぇなぁ」

 石神は大笑いしている。

 「おはよう、石神クン(ダーリン)」
 「ああ、おはよう。また後でな」





 ホテルのプライベート・ビーチなので、みんな水着に着替えてそのまま出てくる。

 幹事たちはビーチボールや浮き輪、その他のレクリエーションの道具を準備していった。

 みんなそれぞれに、好きなものを持っていって遊びだす。



 (石神クンの裸……見れるかと思ったのにぃ)

 男性はみんな短パンの水着を着ている中で、石神は上に七分袖の濃紺のTシャツを着込んでいた。
 
 (でも、濡れて張り付いたTシャツから、筋肉が浮いてでてる! 逞しい!)
 (なんでTシャツ着てるのかな。日焼けしたくないのかしら。それとも、恥ずかしがり屋さん?〉

 岡庭は石神の薄着に、徐々に理性を喪っていった。

 石神は海に入ってビーチボールでみんなと遊びだした。
 岡庭は必死で石神のそばによろうとする。


 岡庭は石神の隣にたどり着いた。
 波によろけたフリをして、何度も石神に抱きつく。

 「岡庭、お前うっとうしいなぁ!」

 石神は軽い岡庭の身体を抱え上げて、海に投げ捨てた。

 「お、これ面白いぞ!」

 石神は岡庭の両足を持って、ジャイアントスイングで放り投げる。
 岡庭の身体は水面を跳ねて、遠くまで飛ばされた。

 「おい、岡庭! 戻って来い!」
 石神は大笑いしている。

 (ちょっと悪魔みたいな笑顔だけど、石神クンが、ボクを呼んでいる!)

 岡庭は必死で石神の所へ戻る。
 また投げられた。

 みんなが大きな声で笑っている。

 

 「ヘイ・ルック! ワタ・ドゥーイン・ストゥピッド・シング!」

 大きな声が聞こえた。

 みんなが見ると、屈強なアメリカ人たちがこちらに注目している。
 すると全員が石神のところへ駆け寄った。

 「アー・ユー・クレイジー?」
 
 (石神クンが外国人に話しかけられてる!)
 (なんかよく分からないけど、石神クンが話してる!)

 「キャナイ・ドゥーイッ・ウィズ・ユー?」
 「イグザクトリー!」

 アメリカ人たちは、岡庭の身体を抱えて、海に投げた。

 (ナニナニナニナニ? 僕は石神くんだけのものだよ!)
 
 「ハァーッハッハ!」
 
 投げた男が大笑いしている。
 男はそのまま石神を抱えようとしたが、体を動かしてかわされ、逆に石神に背中から抱えられる。
 そのまま海に投げられた。

 「ジョージ!」
 仲間のアメリカ人が石神を囲み、三人がかりで襲う。
 石神のシャツが掴まれ、胸元まで捲り上げられた。

 「ワタ・スカー!」

 じゃれていた三人が硬直した。

 「フー・アー・ユー?」

 遠くに投げ飛ばされた岡庭は、アメリカ人の大声は聞こえても、静かに話す石神の言葉はよく聞こえなかった。
 何か説明をしているようだったが、「マーシー」と言っていたように思う。

 (芸人?)

 しかし、石神の言葉にみんな納得したようで、嬉しそうに肩を叩いている。

 「こいつらはマリーンなんだってさ」
 戻ってきた岡庭に石神が説明した。

 「みんなでホテルのビーチに遊びに来てるんだよ」

 (ふーん)

 その後何度も岡庭は飛ばされ、石神はマリーンたちと仲良くなった。

 岡庭はビーチに戻り、大量に吐いた。

 オーマイとかアウチとか後ろで聞こえた。

 岡庭がパラソルの下で気が付くと、正座した石神が花岡に怒られていた。





 石神はみんなでの夕食を断り、誘ってくれたマリーンたちの宿舎に行った。
 岡庭も一緒だ。


 広い庭でバーベキューが供され、十数人のマリーンたちと一緒に食べる。
 石神は大勢のマリーンに囲まれ、話をしていた。
 英語が苦手な岡庭は、その内容はほとんどわからない。

 「こいつの傷はすごいんだよ。ガンが貫通したのが幾つもありやがる」
 「お前、そんなんでよく生きてたなぁ」
 
 「そうか! お前はアラモに行ったことがあるのか!」
 「デイヴィー・クロケットが最高だって? お前、飲め飲め!」
 「あのなぁ、ジョン・ウェインのラストシーンな、燃えるよなぁ!」


 しばらくすると、石神はマリーンたちと模擬戦を始めた。

 最初は一人だったが、どんな相手でも、石神は数秒で相手を地面に倒してしまう。
 そのうちに三人がかりになり、それでも石神を倒せなかった。

 「なんて奴だ! こっちは海兵隊だぞ!」

 石神はさらに多くのマリーンたちに囲まれ、褒め称えられている。
 いつのまにか、庭には数十人の男たちが集まっていた。


 「え? 掴むなって? 掴んじゃダメなのか?」

 石神は二メートルはあるジェイと呼ばれる一際屈強な黒人の前に左手を突き出した。
 そのまま右手でジェイの肩を押すと、あっさりと後ろに倒れた。

 「オォッー!」
 大歓声が沸く。

 その時、群集の誰かが叫んだ。

 「おい、ジムの店で昨日、日本人のスゴイ奴が来たって、こいつじゃないか?」
 「フォーティフォーを、片手の早撃ちで全部センターに叩き込んだって奴か!」

 会場が更に沸く。

 「明日ベースに来いよ! シューティングも見せてくれ!」






 岡庭は潰れ、石神に抱えられて帰った。

 夜にベッドで目覚めると、隣には石神が眠っていた。













 ということはまったくなかった。
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