富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

文字の大きさ
264 / 3,215

二度目のクリスマス

しおりを挟む
 来週はクリスマスだ。
 去年は結構高価なプレゼントをみんなに渡したが、今年は岡庭の結婚式などもあり、非常に忙しかった。
 押し流されて、誕生日会もやった。
 どうだ、やらなくていい理由は揃ったんじゃないか?
 俺は家長として宣言した。

 「いいか! 今年はクリスマスの祝いはやろう。だけどプレゼントは用意しない。いいな!」
 「「「「はーい!」」」」

 あれ? 
 ちょっとは反発や文句が出るかと思ったが。
 まあ、ないならそれでいい。
 こころなしか、子どもたちが笑顔でいる。
 おかしい。
 まあ、いいか!




 食材の準備はした。
 まあ、それも去年のような豪華版ではない。
 あいつらの喰い散らかしは、別に高級なものでなくても良かった。
 それなりのグレードではあるが。
 俺がいいものを喰いたいだけだ。
 去年は七面鳥は不人気だった。
 だからチキンをまるごとローストする。
 10羽。
 それと、ローストビーフを大量に用意した。
 俺も手を出すが、基本的に子どもたちに手伝わせた。
 ローストビーフの味見に、双子が絶叫して喜ぶ。
 あとは去年と同じく、大量のカナッペ。
 それと恒例の鍋は、カニだ。
 幾つもの頂き物で、相当な量のカニが集まった。

 それと、子どもたちの切望で、また辰巳芳子のコンソメスープを作らされた。
 今回は寸胴でやったから、本当にめんどくさかった。
 それと、スペイン大使館でのクリスマス・パーティに誘われていたが、家族で過ごすと断ったところ、大使のサンチェスからまたハモンセラーノを頂いてしまった。
 子どもたちと、楽しく過ごして欲しいというカードに感動した。
 これだけ揃えば、プレゼントのことも、少しは勘弁してくれるだろう。

 パーティには響子、六花、栞も誘った。

 


 当日の三時に全員が集合し、パーティ開催。
 うちのでかいオーブンがフル稼働で出した成果のローストビーフは、大絶賛だった。
 六花は5センチほどの厚さの肉にむしゃぶりついていた。
 俺は響子にも少し切り分けてやる。

 「美味しい」

 笑顔で俺を見てくれた。
 子どもたちには、1センチほどで切る。
 すぐに食い終わって空の皿を出してくる。
 わんこローストビーフだ。
 俺は面倒になって、あとは自分たちで好きなように喰えと言った。
 すぐに食い終わり、ローストチキンも3羽ほど無くなった。

 メインのカニ鍋は、予想外の事態になった。
 カニを喰うのに、みんな一定時間を取られていた。
 前にもカニ鍋はやったが、その時はまだ異常な食欲ではなかったので、気付かなかったのだ。
 身を穿り出す手間があるため、いつもの戦争状態にならない。
 てっきり、皇紀がカニの爪で攻撃されるのかと思っていたが、みんなニコニコしながら食べている。

 「美味しいね」

 ハーが会話している。
 うちで初めて鍋らしい雰囲気が味わえた。
 最後にコンソメを配り、また大絶賛される。
 いい雰囲気じゃないか。

 俺は調子に乗って、『ホワイト・クリスマス』を熱唱した。

 うちで初めて、食材が余った。
 



 「さて、じゃあケーキでも切るか」

 俺が言うと、全員が立ち上がり、俺に座っていろと言う。
 亜紀ちゃんと皇紀が出て行って、リボンのかかった大きな箱を二人で抱えて来る。
 響子が俺をニコニコと見ている。

 「タカさんにプレゼントです!」
 亜紀ちゃんの声に合わせ、全員がクラッカーを鳴らした。

 「「「「「「「メリークリスマス!」」」」」」」
 双子がかぶせのフタを取った。




 驚いた。




 ブロンズの、全長50センチほどのフェラーリ・スパイダーだった。
 しかもタダモノじゃない!
 運転席には俺と思われる男が座っており、その周辺だけが滑らかな、本来のフェラーリだ。
 しかし、それ以外の部分はゴツゴツとした、荒々しい仕上がりになっている。
 色はブロンズの黒が基調だが、俺の周辺だけは俺のフェラーリの赤が塗装されている。
 見事な芸術だった。

 「おい、これは」

 「みんなで作りました。毎日、タカさんに隠れて作るのは大変だったんですよ。ゴールドのいた部屋でやってたんです。気付かなかったでしょ?」
 亜紀ちゃんが説明してくれる。

 「響子ちゃんも、このエンブレムを作ったんですよ。あ、ここには来てません。病院で作ったものを私たちで取りに行って、はめ込んだんです。六花さんはハンドルを。栞さんはホイールを。他の部分とタカさんはルーとハーで。私と皇紀はスベスベの部分を担当です。塗装は私がやりました!」

 「みんな……」
 不覚にも耐えられなかった。
 宇留間にやられて以来、どうも涙もろくなったような気がする。

 「タカトラ、泣いてるの?」
 俺は響子の腹に顔を埋めた。

 「よしよし」
 頭を撫でられる。

 「「「「「「やったぁーーーー!!!!」」」」」」

 全員が叫んだ。
 やられた。
 たしかに。




 落ち着いて、ブロンズを見る。
 本当に素晴らしい出来だ。
 うちの子らは天才なのかもしれない。

 「この全体のデザインは誰が決めたんだ?」
 「ルーとハーです」
 「スゴイな、本当に」
 二人を抱き寄せて、頭をグリグリしてやる。

 「今日は誰と寝るのかな?」
 栞が楽しそうに聞いてきた。

 「そうですね、もう全員で寝たいですね」
 「じゃあ、そうしよう!」

 みんなで俺の部屋に、亜紀ちゃん、皇紀、客室のダブルベッドを運んだ。
 夜中まで大騒ぎし、みんなで寝た。






 忘れられないクリスマスになった。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

付喪神狩

やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。 容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。 自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

Lucia(ルシア)変容者たち

おまつり
恋愛
 人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。  それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。  カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。  二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。  誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。  愛が深まるほど、境界は曖昧になる。  身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。  一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。  彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。  これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、 それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。 ※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

処理中です...