299 / 3,215
峰岸鷹 Ⅱ
しおりを挟む
水曜日。
朝10時から始めた手術は、深夜1時に終わった。
交通事故で、5か所にわたる頸椎損傷。
一か所ずつ神経の状態を慎重に見ながら対処し、人工骨を埋め込む。
合併症を防ぐため、慎重に厚さを研磨されたチタン金属を挟んでいく。
口で言えば簡単だが、非常にデリケートな処置のために、神経を集中させなければならない。
場合によっては、後日再手術が必要だが、俺は確かな手応えを感じていた。
長時間の手術で、俺以外の全員が交代で立ち会った。
一人だけ、峰岸はずっとオペに付き合ってくれた。
「お前も休め」
「大丈夫です」
何度か、その遣り取りをした。
そればかりか、集中力を欠いた人間をどんどん交代させていく。
俺が指示する前に、次の作業の準備に取り掛かっている。
非常に頼りになる。
深夜に全術式を終えた後、峰岸は笑顔で俺を見ていた。
「いつもながら、石神先生のオペは美しいですね」
「そうかよ。お前もキレイだぞ!」
俺たちは、まだそう言い合う余裕すらあった。
俺は着替えて一服し、響子の病室へ向かった。
部屋の近くに、峰岸が立っていた。
「どうしたんだよ」
「きっと、石神先生は立ち寄られるだろうと思って」
俺は笑って、峰岸に一緒に入るように言った。
響子はよく眠っている。
セグウェイで運動をしているせいか、食欲も増し、調子が崩れることも少なくなっていた。
「カワイイ寝顔ですね」
「そうだよなぁ」
小声で峰岸と話した。
六花がプレゼントした、トラのぬいぐるみを掴んでいる。
「寝てても、石神先生を離さないんですね」
俺は笑って峰岸を見た。
合図して、そっと病室を出る。
「どうしたんだよ、今日は」
「いえ、ちょっと石神先生をもう少し見たくて」
「なんだ、そりゃ」
手術が長時間になるのは分かっていたので、俺はベンツで出勤していた。
「峰岸、家まで送ろう」
「ほんとですか!」
俺たちは駐車場に向かった。
峰岸を助手席に乗せる。
「あの、石神先生」
「なんだ?」
「あの、羽田空港に行ってみたいな、とか……」
遠慮がちに、峰岸がそう言った。
前を向いて、緊張している。
「なんだ、そんなこと。じゃあ行こうか!」
峰岸が笑顔で俺を見た。
「ありがとうございます!」
深夜でもあり、道は空いていた。
「今日はいろいろと世話になったな」
「いえ、そんなこと。仕事ですから」
「オペの時ももちろん助かったけど、昼間もな」
「ああ」
「石神先生は、花岡先生と付き合っていらっしゃるんですか?」
「うーん。「どうだろう」なんて言うと怒られる、という感じかな」
「なんですか、それは!」
峰岸が笑って言った。
「確かに親しい関係なのは間違いない。お互いに大事な人間であることも確かだ。でも、普通に言う男女の交際ともちょっと違うような気がするな」
「難しい付き合いなんですね」
「そうだなぁ。表現がな」
「一色さんとも、親しいですよねぇ」
「ああ、そうだな」
「あ、動揺しないんですね」
俺は声を上げて笑った。
「だって、本当にそうだからな」
「羨ましいなぁ」
峰岸は小さな声で呟いた。
羽田空港にはすぐに着いた。
今の時間に入れるのは、第三ターミナルだけだ。
俺たちは5階の展望台へ向かった。
「あー! 綺麗ですね!」
峰岸はフェンスまで走って行った。
俺を手招きする。
「初めて展望台なんて来ました」
しばらく二人で深夜の空港を眺め、ベンチに座った。
「お前、疲れてないか?」
「はい。集中してたせいか、今はまだ興奮状態です」
「そうか」
俺も風呂にでも入ってリラックスすれば、どっと疲れを感じるだろう。
切り替え方は、みんな自然に覚えるものだ。
明日は俺も峰岸も休みだ。
「石神先生って、女性から異様にモテますよね」
「そうかな」
「知ってないはずないじゃないですか。今年のバレンタインデー解禁だって、スゴイことになってましたよね」
「ああ、あれなー」
俺は院長室での顛末を教えてやった。
峰岸が大笑いする。
「そんなことが、アハハハ、あー、おかしい!」
明るく笑う女だ。
真面目な芯があって、また人生を楽しんでいる。
「花岡先生に一色さん、それと響子ちゃんは、「ヨメ」なんですよね」
「どうも、そうらしいな」
俺たちは声を出して笑った。
「私も、その中に入れませんか?」
峰岸が真剣な顔で言う。
「やめておけよ、俺みたいな奴は」
「ダメですか」
「一人と正式に付き合わない、そういうろくでなしだぞ」
「それでもいいんです」
「峰岸はいいとこのお嬢さんだろう」
大料亭の娘だった。
「家のことはいいんです」
「でも、ちゃんと結婚する道があるじゃないか」
「石神先生以外は、まったく興味ありません」
まっすぐに俺を見ている。
「まだ三十代だろ?」
「はい、33歳です」
「美人だし、結婚話は随分と来ているんじゃないか?」
「その通りです」
「だったら、俺なんかよりも幸せにしてくれる人は、幾らでもいるだろうよ」
「石神先生以外は、まったく興味ありません」
峰岸は繰り返した。
「あのですね。一昨年の年末にお邪魔したじゃないですか」
「ああ、助かったよ」
「毎年、正月に実家に帰ると見合いを勧められるんです」
「なるほどな」
それは分かる。
適齢期になった娘を、嫁に出して幸せにしてやろうという親の願いだ。
「だから実家に帰るのは、本当はいつも嫌だったんです」
「いい話は無かったのか?」
「まあ、一般的に言えば、すごくいい話もありましたよ。でも私は石神先生以外に興味はないので」
「強情だな」
俺は笑った。
「結婚って、いいものなんですか?」
「そういうことを、独身しか知らない俺に聞くなよ」
「じゃあ、石神先生の広い見識で言えばどうなんでしょうか」
「人それぞれじゃねぇのか」
「そうですよねぇ」
俺たちは、なんとなく深夜に離陸していく旅客機を眺めていた。
「じゃあ、結婚しなくても、人それぞれなんじゃないでしょうか」
「そうかもな」
こういう話になるのは、分かっていた。
峰岸が響子の部屋の前で待っていた瞬間に分かっていた。
峰岸を車に乗せた瞬間に、俺の答えも分かっていた。
「お前、確か変わった名前だったよな」
「はい。鷹と書いて「よう」と読みます」
「ホーク・レディか」
「なんですか、それ?」
俺は六花と横須賀へ行き、マリーンの連中に六花が「タイガー・レディ」と呼ばれたことを話す。
「へぇ! だから私は「ホーク・レディ」ですか」
花、雪、鷹、どれも美の代名詞だ。
ああ、龍もいたな。
「面白いな」
「面白がってないで、お返事はどうなんですか?」
「いつでも見捨てて構わないからな、鷹。虎の家族へようこそ」
「ヘンな返事ですね。でも嬉しい」
鷹は俺の肩に頭を寄せた。
俺は鷹の身体を抱き寄せた。
「おい」
「はい」
「周囲にスマホを向けてる奴はいねぇだろうな」
「ウフフ」
鷹は嬉しそうに笑った。
朝10時から始めた手術は、深夜1時に終わった。
交通事故で、5か所にわたる頸椎損傷。
一か所ずつ神経の状態を慎重に見ながら対処し、人工骨を埋め込む。
合併症を防ぐため、慎重に厚さを研磨されたチタン金属を挟んでいく。
口で言えば簡単だが、非常にデリケートな処置のために、神経を集中させなければならない。
場合によっては、後日再手術が必要だが、俺は確かな手応えを感じていた。
長時間の手術で、俺以外の全員が交代で立ち会った。
一人だけ、峰岸はずっとオペに付き合ってくれた。
「お前も休め」
「大丈夫です」
何度か、その遣り取りをした。
そればかりか、集中力を欠いた人間をどんどん交代させていく。
俺が指示する前に、次の作業の準備に取り掛かっている。
非常に頼りになる。
深夜に全術式を終えた後、峰岸は笑顔で俺を見ていた。
「いつもながら、石神先生のオペは美しいですね」
「そうかよ。お前もキレイだぞ!」
俺たちは、まだそう言い合う余裕すらあった。
俺は着替えて一服し、響子の病室へ向かった。
部屋の近くに、峰岸が立っていた。
「どうしたんだよ」
「きっと、石神先生は立ち寄られるだろうと思って」
俺は笑って、峰岸に一緒に入るように言った。
響子はよく眠っている。
セグウェイで運動をしているせいか、食欲も増し、調子が崩れることも少なくなっていた。
「カワイイ寝顔ですね」
「そうだよなぁ」
小声で峰岸と話した。
六花がプレゼントした、トラのぬいぐるみを掴んでいる。
「寝てても、石神先生を離さないんですね」
俺は笑って峰岸を見た。
合図して、そっと病室を出る。
「どうしたんだよ、今日は」
「いえ、ちょっと石神先生をもう少し見たくて」
「なんだ、そりゃ」
手術が長時間になるのは分かっていたので、俺はベンツで出勤していた。
「峰岸、家まで送ろう」
「ほんとですか!」
俺たちは駐車場に向かった。
峰岸を助手席に乗せる。
「あの、石神先生」
「なんだ?」
「あの、羽田空港に行ってみたいな、とか……」
遠慮がちに、峰岸がそう言った。
前を向いて、緊張している。
「なんだ、そんなこと。じゃあ行こうか!」
峰岸が笑顔で俺を見た。
「ありがとうございます!」
深夜でもあり、道は空いていた。
「今日はいろいろと世話になったな」
「いえ、そんなこと。仕事ですから」
「オペの時ももちろん助かったけど、昼間もな」
「ああ」
「石神先生は、花岡先生と付き合っていらっしゃるんですか?」
「うーん。「どうだろう」なんて言うと怒られる、という感じかな」
「なんですか、それは!」
峰岸が笑って言った。
「確かに親しい関係なのは間違いない。お互いに大事な人間であることも確かだ。でも、普通に言う男女の交際ともちょっと違うような気がするな」
「難しい付き合いなんですね」
「そうだなぁ。表現がな」
「一色さんとも、親しいですよねぇ」
「ああ、そうだな」
「あ、動揺しないんですね」
俺は声を上げて笑った。
「だって、本当にそうだからな」
「羨ましいなぁ」
峰岸は小さな声で呟いた。
羽田空港にはすぐに着いた。
今の時間に入れるのは、第三ターミナルだけだ。
俺たちは5階の展望台へ向かった。
「あー! 綺麗ですね!」
峰岸はフェンスまで走って行った。
俺を手招きする。
「初めて展望台なんて来ました」
しばらく二人で深夜の空港を眺め、ベンチに座った。
「お前、疲れてないか?」
「はい。集中してたせいか、今はまだ興奮状態です」
「そうか」
俺も風呂にでも入ってリラックスすれば、どっと疲れを感じるだろう。
切り替え方は、みんな自然に覚えるものだ。
明日は俺も峰岸も休みだ。
「石神先生って、女性から異様にモテますよね」
「そうかな」
「知ってないはずないじゃないですか。今年のバレンタインデー解禁だって、スゴイことになってましたよね」
「ああ、あれなー」
俺は院長室での顛末を教えてやった。
峰岸が大笑いする。
「そんなことが、アハハハ、あー、おかしい!」
明るく笑う女だ。
真面目な芯があって、また人生を楽しんでいる。
「花岡先生に一色さん、それと響子ちゃんは、「ヨメ」なんですよね」
「どうも、そうらしいな」
俺たちは声を出して笑った。
「私も、その中に入れませんか?」
峰岸が真剣な顔で言う。
「やめておけよ、俺みたいな奴は」
「ダメですか」
「一人と正式に付き合わない、そういうろくでなしだぞ」
「それでもいいんです」
「峰岸はいいとこのお嬢さんだろう」
大料亭の娘だった。
「家のことはいいんです」
「でも、ちゃんと結婚する道があるじゃないか」
「石神先生以外は、まったく興味ありません」
まっすぐに俺を見ている。
「まだ三十代だろ?」
「はい、33歳です」
「美人だし、結婚話は随分と来ているんじゃないか?」
「その通りです」
「だったら、俺なんかよりも幸せにしてくれる人は、幾らでもいるだろうよ」
「石神先生以外は、まったく興味ありません」
峰岸は繰り返した。
「あのですね。一昨年の年末にお邪魔したじゃないですか」
「ああ、助かったよ」
「毎年、正月に実家に帰ると見合いを勧められるんです」
「なるほどな」
それは分かる。
適齢期になった娘を、嫁に出して幸せにしてやろうという親の願いだ。
「だから実家に帰るのは、本当はいつも嫌だったんです」
「いい話は無かったのか?」
「まあ、一般的に言えば、すごくいい話もありましたよ。でも私は石神先生以外に興味はないので」
「強情だな」
俺は笑った。
「結婚って、いいものなんですか?」
「そういうことを、独身しか知らない俺に聞くなよ」
「じゃあ、石神先生の広い見識で言えばどうなんでしょうか」
「人それぞれじゃねぇのか」
「そうですよねぇ」
俺たちは、なんとなく深夜に離陸していく旅客機を眺めていた。
「じゃあ、結婚しなくても、人それぞれなんじゃないでしょうか」
「そうかもな」
こういう話になるのは、分かっていた。
峰岸が響子の部屋の前で待っていた瞬間に分かっていた。
峰岸を車に乗せた瞬間に、俺の答えも分かっていた。
「お前、確か変わった名前だったよな」
「はい。鷹と書いて「よう」と読みます」
「ホーク・レディか」
「なんですか、それ?」
俺は六花と横須賀へ行き、マリーンの連中に六花が「タイガー・レディ」と呼ばれたことを話す。
「へぇ! だから私は「ホーク・レディ」ですか」
花、雪、鷹、どれも美の代名詞だ。
ああ、龍もいたな。
「面白いな」
「面白がってないで、お返事はどうなんですか?」
「いつでも見捨てて構わないからな、鷹。虎の家族へようこそ」
「ヘンな返事ですね。でも嬉しい」
鷹は俺の肩に頭を寄せた。
俺は鷹の身体を抱き寄せた。
「おい」
「はい」
「周囲にスマホを向けてる奴はいねぇだろうな」
「ウフフ」
鷹は嬉しそうに笑った。
3
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
Lucia(ルシア)変容者たち
おまつり
恋愛
人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。
それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。
カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。
二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。
誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。
愛が深まるほど、境界は曖昧になる。
身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。
一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。
彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。
これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、
それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。
※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる