富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

文字の大きさ
301 / 3,215

やっぱり、コーヒーの味。

しおりを挟む
 鷹が遊びに来た翌日の日曜日。
 俺は六花とバイクで走った。

 首都高を適当に回る。




 俺たちはまた、麻布でハンバーガーを食べた。
 何度か来ているので、店員が顔を覚えて話しかけてくる。

 「いつもありがとうございます。お二人が見えるようになって、お客さんも増えたんですよ」

 「そうなんですか」

 「はい。物凄い美男美女のカップルの常連の店として、噂になってまして」

 六花が嬉しそうな顔をしている。

 「大食い女の噂じゃなくて?」

 今日は六花が4個のバーガーに挑戦している。




 「いいえ! とてもお綺麗な彼女さんですよね」

 「バイ、アギャドウゴビャイヴァズ」


 店員が笑って戻った。





 上機嫌の六花に、俺は鷹のことを話した。

 六花は別にショックを受けていない。


 「じゃあ、週休一日になったんですね」

 「お前なぁ」


 六花の感覚は、恐らく他の女たちも同じなんだろう。
 俺に自由を与え、自分が愛するということだけを持っている。


 「お前はあんまり峰岸とは交流はないよな」
 「はい。お名前だけは、石神先生の関わりなので存じてますが」

 「今度紹介するよ。明るくていい奴だ」
 「はい」


 六花の方は問題ない。
 鷹は六花をどう思うだろうか。
 こいつのことを事前に話しておくか。

 しかし、こいつのアレは、説明しておくべきか?


 

 六花はバーガーを全部平らげた。
 
 「じゃあ、今日は私の日ですね」
 「あ?」

 「うちのマンションでいいですよね」
 「おい」

 俺は昨日のこともあり、後ろ暗い気持ちもあった。
 流されて六花のマンションに寄る。




 バイクなので、同じ六花の駐車場に並べて停める。
 六花は、少しそれを眺めて、嬉しそうに俺の腕を組んだ。


 六花のマンションは、いつも綺麗に片付き、掃除も行き届いている。

 「お前のマンションは、いつも清潔でいいな」
 「はい。いつでも石神先生がいらしても大丈夫なように」


 前はものすごい部屋だったはずだが。
 こいつも、徐々に変わってきている。



 六花がリヴィングでいきなり裸になる。

 「おい! コーヒーくらい出せ」

 渋々と、そのままコーヒーを煎れに行く。

 裸エプロンの情緒すらもねぇ。



 俺にコーヒーを置き、そのまま目の前のテレビ台を開いた。
 本当に、いつ俺が来てもいいようになっていた。


 「道具」の数々をテーブルに並べ、俺のカップを囲む。
 DVDをセットし、映像を流し始めた。

 画面の中で、目の前のものとそっくりな「道具」を使っている。



 六花が道具を持って俺を見つめ、目で早く飲めと訴えている。
 
 俺はコーヒーを飲みながら、六花の準備を確認した。
 確認するまでもなく、完了していた。






 家に戻ると、亜紀ちゃんだけがリヴィングにいた。

 「あ、お帰りなさい!」


 何も言わなくてもコーヒーを煎れてくれる。

 「ちょっとお疲れじゃないですか?」

 「ああ、「走り」過ぎたかな」
 「気を付けてくださいね」



 亜紀ちゃんは大好きなホットミルクを作って、テーブルに一緒に座った。


 「ああ、そういえば」

 俺は亜紀ちゃんと羽田に行った時の動画が流れていることを話した。
 亜紀ちゃんはすぐに自分の部屋からノートパソコンを持って来て、俺と一緒に確認する。

 「あ、ほんとだ!」

 嬉しそうに動画を眺める。



 「良かった。これでいつでもあの時の映像が見れますね」

 「だったら早めにダウンロードしておいた方がいいぞ」

 「なんでですか?」

 「一江が近いうちに削除するかもしれんからな」

 「どうしてですか! もったいないじゃないですか!」

 「そんなこと言うな。亜紀ちゃんを守るためだよ」

 亜紀ちゃんは目をうるうるとさせた。




 「私のためですか」

 「ああ。こんな美人の動画、誰がヘンな気を起こすかもしれんからな」



 亜紀ちゃんが俺に抱き着いてきた。

 「ありがとうございます」



 亜紀ちゃんが、俺の腿に乗って来る。
 そのまま腕を首に回した。

 キスをされた。



 「ファーストキスって、コーヒー味なんですね」

 亜紀ちゃんが笑い、俺は大笑いした。



 俺は亜紀ちゃんの腰に手をやり、抱きかかえて立たせた。
 
 「うわー」

 俺の腕力に感動している。



 「じゃあ、風呂に入るからな。亜紀ちゃんも早く寝ろよ」

 「え、じゃあ私も一緒に!」

 「バカを言うな!」



 俺は脱衣所に入り、鍵をかけた。

 ガチャン。

 「あぁー!」

 後から来た亜紀ちゃんが大声を出す。

 「あ、あの時、柳さんって!」

 何かを思い出したらしい。

 クスクス笑いながら去っていく足音が聞こえた。









 週休一日かぁ。

 貴重な一日は死守せんといかんなぁ。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

付喪神狩

やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。 容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。 自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

Lucia(ルシア)変容者たち

おまつり
恋愛
 人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。  それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。  カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。  二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。  誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。  愛が深まるほど、境界は曖昧になる。  身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。  一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。  彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。  これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、 それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。 ※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

処理中です...