428 / 3,215
四度目の別荘 Ⅴ
しおりを挟む
帰ってすぐに、夕食の準備を始めた。
フレンチはとにかく手間が多い。
子どもたちは勉強だ。
しばらくすると、栞が起きてきて手伝ってくれた。
メニューはオードブルにスモークサーモンとウズラのキャビアのせ、薄く辛子を塗ったポテトとラディッシュのブルーチーズはさみ。
長ネギとえんどう豆のスープ。
ウニとアサリのジュレを間に。
ポアソンはスズキのパイ包。
ソルベに洋ナシのシャーベット。
ヴィアンドはシャトーブリアンの岩塩焼きトリュフソース。
デセールは面倒なのでレアチーズケーキ一品だ。
ソルベとデセールは事前に作ってある。
スープとジュレもそうだ。
最初にオードブルの皿を作り、栞にオーブンで肉の仕上がりを見張ってもらう。
その間に俺はバーベキュー台の上で一気に人数分のポアソンを作った。
途中で亜紀ちゃんを入れ、バーベキュー台のポアソンの指示をし、何とかなった。
俺のタイミングが、食事のタイミングだ。
俺は急いで皿を出すように言い、オードブルから始める。
食べながら肉を調理し、ソルベの後にすぐに出した。
一応、コースの流れは崩れていない。
量は通常のうちの料理にしては大分少ない。
パンは食べ放題になっているが、それほど食べない。
しかし、雰囲気を味わい、子どもたちは満足そうだ。
「石神くん! とっても美味しいよ!」
栞が絶賛してくれる。
子どもたちも、みんな喜んで褒めてくれた。
「やっぱりタカさんの料理は違います!」
皇紀もそう言ってくれる。
ピラニアの双子も、味わって食べてくれた。
ニコニコして一口ずつ食べる顔がカワイイ。
まあ、これほど苦労して作って不味いと言ったらどうなるかは、みんな分かっている。
「足りなかったら、亜紀ちゃんに言って何でも焼いて喰ってくれ」
折角バーベキュー台に火を入れたのだからと思ったが、双子がウインナーを多少焼いたくらいで、みんな満足していた。
後片付けは子どもたちに任せ、俺は栞とコーヒーを飲んだ。
庭で花火を少しやった。
ルーとハーがニ十本の花火を抱えて、二十メートル跳んで高速回転した。
見事な技だった。
子どもたちを風呂に入れ、俺はまた栞と亜紀ちゃんと一緒に入った。
「俺は独りでのんびり入りたいんだけどなぁ」
湯船で二人が笑っている。
「モテすぎるタカさんが悪いんです」
「亜紀ちゃんだって斎藤誠二がいるじゃねぇか」
「やめてください!」
栞が分からないでいるので、俺は部下の斎藤の弟の話をした。
大笑いされた。
「斎藤誠二も、亜紀ちゃんの裸が見たいだろうなぁ」
「ほんとにやめてください!」
「後で電話して、こんななんだよって教えてやろう」
亜紀ちゃんが必死に口を押さえに来る。
「乳首は乳輪が小さめで、色は…」
「やめてぇー!」
俺と栞は笑った。
亜紀ちゃんが胸を隠している。
「今日のフレンチは美味しかったですね」
亜紀ちゃんが話題を変えて来た。
「ああ、牛の乳首焼きな」
「そんなの無かったですよー!」
「俺は乳首が大好きだからなぁ」
「もーう!」
「亜紀ちゃんはこれが大好きだよな」
俺は立ち上がって顔の前でプルプルしてやる。
「やめてくださいー!」
「なんだよ、一緒に風呂に入ったら見えるだろう」
「そっと見るのが好きなんです」
「「なに!」」
俺と栞が同時に叫んだ。
亜紀ちゃんは真っ赤になって湯船に沈んだ。
屋上の飲み物は、子どもたちはオレンジジュース、俺と栞、亜紀ちゃんはミモザを作った。
みんなで屋上に運ぶ。
俺は双子に、「人生研究会」の様子を聞いた。
「上手くやってますよ。会員は絞って200名のままですが、入会希望はずっとあります」
「本体の「虎の穴」も15名のままです。「花岡」はタカさんの指示次第でいつでも教えますから」
「そうかぁ。反発勢力はないか?」
「馬込が相変わらず。ちょっと前に兄貴の伝手で高校生10人に呼び出されました」
「そうか」
栞が驚く。
「大丈夫だったの?」
「もちろん!」
「「花岡」は使わずに済んだか?」
「金属バットだけ。「金剛」で受けて、「仁王花」で曲げてやりました」
「そのまま高校に乗り込んでねぇ」
「うん、30人くらい締めたかな」
「頭の奴を血まみれにしてやって。傘下に置く予定です」
「あんまり使えねぇだろう、そいつらは」
俺がそう言うと、「そうなんだけど」と言う。
「でも、組織的には年齢が上の人間もいた方がいいかなって」
「まあ、あんまり大事にするなよな」
「「はい!」」
「恨みを買うというのは、辛いこともあるんだぞ」
「「はい」」
「じゃあ、ちょっと俺の高校時代の話をするか」
亜紀ちゃんが慌てて皇紀と双子に耳打ちをする。
「なんだよ、お前ら?」
「いえ、ちゃんとタカさんの話を聞くようにと」
「皇紀、なんて言われた!」
「はい! ちゃんと拍手して褒めるようにと!」
亜紀ちゃんを見ると慌てている。
「だって! 去年私たちの反応が薄かったら、タカさんものすごく機嫌悪かったじゃないですかぁ!」
「そ、そんなことあるか!」
「栞さん、ひどいんですよ。私の目玉焼きにお醤油をかけて、ルーとハーの大好きなウインナー全部食べちゃって。皇紀なんて味噌汁でうがいされて戻されたんですから!」
栞は大笑いした。
俺も笑って言う。
「今日の話はウケを狙ってねぇから心配すんな。むしろ、あんまりいい話でもないし、お前らに聞かせたい内容でもないんだけどな」
俺は話し出した。
中学から高校時代の話だ。
フレンチはとにかく手間が多い。
子どもたちは勉強だ。
しばらくすると、栞が起きてきて手伝ってくれた。
メニューはオードブルにスモークサーモンとウズラのキャビアのせ、薄く辛子を塗ったポテトとラディッシュのブルーチーズはさみ。
長ネギとえんどう豆のスープ。
ウニとアサリのジュレを間に。
ポアソンはスズキのパイ包。
ソルベに洋ナシのシャーベット。
ヴィアンドはシャトーブリアンの岩塩焼きトリュフソース。
デセールは面倒なのでレアチーズケーキ一品だ。
ソルベとデセールは事前に作ってある。
スープとジュレもそうだ。
最初にオードブルの皿を作り、栞にオーブンで肉の仕上がりを見張ってもらう。
その間に俺はバーベキュー台の上で一気に人数分のポアソンを作った。
途中で亜紀ちゃんを入れ、バーベキュー台のポアソンの指示をし、何とかなった。
俺のタイミングが、食事のタイミングだ。
俺は急いで皿を出すように言い、オードブルから始める。
食べながら肉を調理し、ソルベの後にすぐに出した。
一応、コースの流れは崩れていない。
量は通常のうちの料理にしては大分少ない。
パンは食べ放題になっているが、それほど食べない。
しかし、雰囲気を味わい、子どもたちは満足そうだ。
「石神くん! とっても美味しいよ!」
栞が絶賛してくれる。
子どもたちも、みんな喜んで褒めてくれた。
「やっぱりタカさんの料理は違います!」
皇紀もそう言ってくれる。
ピラニアの双子も、味わって食べてくれた。
ニコニコして一口ずつ食べる顔がカワイイ。
まあ、これほど苦労して作って不味いと言ったらどうなるかは、みんな分かっている。
「足りなかったら、亜紀ちゃんに言って何でも焼いて喰ってくれ」
折角バーベキュー台に火を入れたのだからと思ったが、双子がウインナーを多少焼いたくらいで、みんな満足していた。
後片付けは子どもたちに任せ、俺は栞とコーヒーを飲んだ。
庭で花火を少しやった。
ルーとハーがニ十本の花火を抱えて、二十メートル跳んで高速回転した。
見事な技だった。
子どもたちを風呂に入れ、俺はまた栞と亜紀ちゃんと一緒に入った。
「俺は独りでのんびり入りたいんだけどなぁ」
湯船で二人が笑っている。
「モテすぎるタカさんが悪いんです」
「亜紀ちゃんだって斎藤誠二がいるじゃねぇか」
「やめてください!」
栞が分からないでいるので、俺は部下の斎藤の弟の話をした。
大笑いされた。
「斎藤誠二も、亜紀ちゃんの裸が見たいだろうなぁ」
「ほんとにやめてください!」
「後で電話して、こんななんだよって教えてやろう」
亜紀ちゃんが必死に口を押さえに来る。
「乳首は乳輪が小さめで、色は…」
「やめてぇー!」
俺と栞は笑った。
亜紀ちゃんが胸を隠している。
「今日のフレンチは美味しかったですね」
亜紀ちゃんが話題を変えて来た。
「ああ、牛の乳首焼きな」
「そんなの無かったですよー!」
「俺は乳首が大好きだからなぁ」
「もーう!」
「亜紀ちゃんはこれが大好きだよな」
俺は立ち上がって顔の前でプルプルしてやる。
「やめてくださいー!」
「なんだよ、一緒に風呂に入ったら見えるだろう」
「そっと見るのが好きなんです」
「「なに!」」
俺と栞が同時に叫んだ。
亜紀ちゃんは真っ赤になって湯船に沈んだ。
屋上の飲み物は、子どもたちはオレンジジュース、俺と栞、亜紀ちゃんはミモザを作った。
みんなで屋上に運ぶ。
俺は双子に、「人生研究会」の様子を聞いた。
「上手くやってますよ。会員は絞って200名のままですが、入会希望はずっとあります」
「本体の「虎の穴」も15名のままです。「花岡」はタカさんの指示次第でいつでも教えますから」
「そうかぁ。反発勢力はないか?」
「馬込が相変わらず。ちょっと前に兄貴の伝手で高校生10人に呼び出されました」
「そうか」
栞が驚く。
「大丈夫だったの?」
「もちろん!」
「「花岡」は使わずに済んだか?」
「金属バットだけ。「金剛」で受けて、「仁王花」で曲げてやりました」
「そのまま高校に乗り込んでねぇ」
「うん、30人くらい締めたかな」
「頭の奴を血まみれにしてやって。傘下に置く予定です」
「あんまり使えねぇだろう、そいつらは」
俺がそう言うと、「そうなんだけど」と言う。
「でも、組織的には年齢が上の人間もいた方がいいかなって」
「まあ、あんまり大事にするなよな」
「「はい!」」
「恨みを買うというのは、辛いこともあるんだぞ」
「「はい」」
「じゃあ、ちょっと俺の高校時代の話をするか」
亜紀ちゃんが慌てて皇紀と双子に耳打ちをする。
「なんだよ、お前ら?」
「いえ、ちゃんとタカさんの話を聞くようにと」
「皇紀、なんて言われた!」
「はい! ちゃんと拍手して褒めるようにと!」
亜紀ちゃんを見ると慌てている。
「だって! 去年私たちの反応が薄かったら、タカさんものすごく機嫌悪かったじゃないですかぁ!」
「そ、そんなことあるか!」
「栞さん、ひどいんですよ。私の目玉焼きにお醤油をかけて、ルーとハーの大好きなウインナー全部食べちゃって。皇紀なんて味噌汁でうがいされて戻されたんですから!」
栞は大笑いした。
俺も笑って言う。
「今日の話はウケを狙ってねぇから心配すんな。むしろ、あんまりいい話でもないし、お前らに聞かせたい内容でもないんだけどな」
俺は話し出した。
中学から高校時代の話だ。
3
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる