450 / 3,215
四度目の別荘 XXⅣ
しおりを挟む
「俺たちの大事な塩野社長というのは、そういう人なんだ。俺たちは、そういう優しい人から肉を譲っていただいている。感謝しような!」
「「「「はい!」」」」
「風花はこの話を知っているんでしょうか」
六花が聞いてきた。
「俺は話していない。お前から話してやれよ」
「はい」
「いいお話でした」
柳が言う。
「人間は悲しみを知らなければダメだ。お前はもっと人生に深く突っ込もうとしなければならない」
「はい」
《君看よや双眼の色 語らざれば憂いなきに似たり》
「臨在禅の中興の祖、白隠の言葉だな。人間は他人の心は見えない。まして、その人の抱いている悲しみなどは全く分からない。しかしな、悲しみはあるんだよ。それを知って、他人とは接しなければならん」
「あの、すいません。白隠って?」
「お前はなぁ。知らないにもほどがあるぞ?」
「え、すみません」
「うちの子らは知ってるぞ」
「そうなんですか!」
「あの、前に栞さんの実家に掛け軸があって。タカさんが教えてくれたんです」
亜紀ちゃんがバラした。
「アハハハ!」
「……」
俺は白隠について教えてやった。
「幼い頃に地獄のことを知って、物凄く恐れたんだな。眠れないし喰えない。だから両親が仏門に放り込んだ。まあショック療法的な意味もあったのかもな。そこで修行して、天分があった。白隠はどんどん理解できるので、修行をバカにし出す」
「しかしその増長を正受老人に叩きのめされ、更に高まって行ったんだな。そして腐敗し衰退していた臨済宗を復興させた。現在残っている臨済宗のほとんどは、白隠を中興の祖としている。要は、他の臨済宗派は全部潰れたということだ」
柳は黙って聴いている。
「江戸時代の人なわけだけど、まあみんな貧しい。だからなかなか仏壇なんて供えられない。だから白隠がガンガン書を書いて渡していった。だから白隠の書というのは結構な数があるんだ。しかし、そういう謂れだから、全部線香焼け、線香の煙で茶色に汚れているんだな」
「へぇー」
「栞の家のものは、別にちゃんと書かれたものらしくものすごく綺麗だったけどな。俺は線香で汚れている方が好きだ」
「なるほど」
「『南無阿弥陀仏』とかなぁ。最初にでっかく「なーむー!」って書くんだよ。でもそうすると下の余白が残ってない。だからちっちゃく「だぶつー」って書いてるんだ」
「アハハハハ」
「な、だからいいんだよ! 綺麗にとか上手くとか考えてない。その人のために思い切り全力でぶつけるんだよな」
「なんかいいですね」
「御堂の家にもあったぞ。こないだ正巳さんの部屋で観た。今度聞いて見ろよ」
柳は必ず聞くと言った。
「じゃあ、今日はこれで解散だ。もう少しいたい奴は自由に残っていい。スープもまだあるしな」
みんな部屋に帰り、また亜紀ちゃんと柳が残った。
「じゃあ、俺も早く寝ようかな」
「「ダメです!」」
俺は笑って座った。
「響子とたまには寝る前のイチャイチャをしたかったのに」
「お願いしますよ。石神さんとお話できる機会は少ないんですから」
「分かったよ」
俺は二人にスープを注いだ。
「風花さん、良かったですね」
亜紀ちゃんが言った。
「そうだな。生まれてすぐに孤児院だもんな。苦労して、あんないい人に巡り合うなんてなぁ。本当に良かったよ」
「風花さん、恩を返したいって言ってましたよね」
「ああ。でもな、塩野社長自身もそうだけど、人間というのはしてもらったことは到底返せないんだよ。「これで返した」なんて奴は、所詮は恩義なんて思ってもなかったということだな」
「そうです! そうです!」
亜紀ちゃんが大きな声で言った。
「自分が困った時に、大変な時に助けてくれた。それは一生かけても報えない。終わるはずのことだったわけだからな。困ったときに借りた100万円って、100万円じゃないんだよ。利子をつけたって足りない。だから風花も一生をかけて報いるって言ってるんだ」
「それが本当の生き方ってことですね」
「その通りだ、亜紀ちゃん。人間が自分よりも上のものを持つ、最大の恩恵なんだよな。恩義を持った人間は、必ず美しく生きることが出来る」
「今は借りは作らない、なんて人も多いですよね」
柳が言った。
「そうだな。そいつらは人生を分かってない、ということだ」
「私は石神さんに救われた人間です。あの川で死んでたんですから」
「そんなのは違うよ。俺は全然命をかけてやったわけじゃないからな。たまたまドジでちょっと血を流した程度だ。柳のせいじゃない」
「そういう石神さんだから、私は好きなんです」
「お前が御堂の娘じゃなかったら、全然放置だったからなぁ」
「またお父さんですか!」
俺は笑った。
「ウソですよ。タカさんは柳さんが大好きですから」
亜紀ちゃんが言った。
「まあ、御堂の娘だからな。嫌いなわけじゃない」
「どうかお父さんを絡めるのはやめて!」
「だってしょうがないだろう。御堂がいたから、柳と出会えたんだからな。その恩義がある」
「それって」
「俺はお前にメロメロだよ」
「!」
柳が潤んだ目になる。
「お前は本当にチョロイなぁ」
「酷いですよ!」
俺は笑って冗談だと言った。
「悪かった。本当にお前のことが好きだ。いつの間にか綺麗な女性になって、御堂の子どもじゃなくなっちまったな」
「嬉しい」
「からかいたくなるのは、お前のことが大好きだからだよ。分かってくれ」
「はい!」
「タカさんは好きな子をからかいたくなるんですか?」
「まあ、相手によるよな。柳とか緑子なんかもそうだな。若干栞なんかもな。でも栞は長い付き合いだし、一緒にいることも多いから、信頼関係も強い」
「「なるほど」」
「六花とか鷹なんかは正反対だよな。六花は動物じゃない。だから困らせたり泣かせるとこっちが悲しくなる」
「「分かります!」」
「あいつが笑ってると、本当に嬉しそうでこっちも嬉しくなる。あいつを笑わせ、幸せにすることが無上の喜びになるんだな」
「はい。鷹さんは?」
「鷹は慈しみの女だからな。ありがたい気持ちが先にたって、からかうとかって気が起こらないんだよ」
「なんか完璧な女性って感じですね」
「まあ、完璧かどうかは知らんけど、あいつは相手をまず上に置こうとする。言い換えれば、俺はそうじゃない女性も好きだってことだな」
「DVDが数千枚ですもんね」
柳が攻撃してきた。
「そういうことだ。お尻から出たものを食べたい女もいるってことだな」
「ゲェー!」
俺は笑った。
「私はどうなんですか?」
亜紀ちゃんが聞いてきた。
「あ? ああ、子ども?」
「なんですか、それ!」
「しょうがないだろう。亜紀ちゃんは俺の子なんだし。でもな、時々ドキッとすることもあるよな」
「そうでしょう!」
「まあ、たまにな」
亜紀ちゃんが笑った。
「子どもだと思ってないと危ないってことですよね」
「柳、お前鋭いな!」
亜紀ちゃんがニコニコした。
「石神さんがさっきおっしゃっていた、私はもっと人生に深く突っ込めって、どういうことなんでしょうか」
柳が聞いてきた。
「それは、要は苦労が足りないってことだよ。
「はぁ。やはりそこですか」
「まあ、安心しろよ。お前のことを育ちがいいって言ってるけど、それは悲しみにぶつかった時に必ず良い方向へ行ける、ということだからな」
「そうなんですか」
「だからお前は人生の苦労、悲しみを厭うな。それが「突っ込め」という意味だ」
俺は野口英世の話をした。
「「「「はい!」」」」
「風花はこの話を知っているんでしょうか」
六花が聞いてきた。
「俺は話していない。お前から話してやれよ」
「はい」
「いいお話でした」
柳が言う。
「人間は悲しみを知らなければダメだ。お前はもっと人生に深く突っ込もうとしなければならない」
「はい」
《君看よや双眼の色 語らざれば憂いなきに似たり》
「臨在禅の中興の祖、白隠の言葉だな。人間は他人の心は見えない。まして、その人の抱いている悲しみなどは全く分からない。しかしな、悲しみはあるんだよ。それを知って、他人とは接しなければならん」
「あの、すいません。白隠って?」
「お前はなぁ。知らないにもほどがあるぞ?」
「え、すみません」
「うちの子らは知ってるぞ」
「そうなんですか!」
「あの、前に栞さんの実家に掛け軸があって。タカさんが教えてくれたんです」
亜紀ちゃんがバラした。
「アハハハ!」
「……」
俺は白隠について教えてやった。
「幼い頃に地獄のことを知って、物凄く恐れたんだな。眠れないし喰えない。だから両親が仏門に放り込んだ。まあショック療法的な意味もあったのかもな。そこで修行して、天分があった。白隠はどんどん理解できるので、修行をバカにし出す」
「しかしその増長を正受老人に叩きのめされ、更に高まって行ったんだな。そして腐敗し衰退していた臨済宗を復興させた。現在残っている臨済宗のほとんどは、白隠を中興の祖としている。要は、他の臨済宗派は全部潰れたということだ」
柳は黙って聴いている。
「江戸時代の人なわけだけど、まあみんな貧しい。だからなかなか仏壇なんて供えられない。だから白隠がガンガン書を書いて渡していった。だから白隠の書というのは結構な数があるんだ。しかし、そういう謂れだから、全部線香焼け、線香の煙で茶色に汚れているんだな」
「へぇー」
「栞の家のものは、別にちゃんと書かれたものらしくものすごく綺麗だったけどな。俺は線香で汚れている方が好きだ」
「なるほど」
「『南無阿弥陀仏』とかなぁ。最初にでっかく「なーむー!」って書くんだよ。でもそうすると下の余白が残ってない。だからちっちゃく「だぶつー」って書いてるんだ」
「アハハハハ」
「な、だからいいんだよ! 綺麗にとか上手くとか考えてない。その人のために思い切り全力でぶつけるんだよな」
「なんかいいですね」
「御堂の家にもあったぞ。こないだ正巳さんの部屋で観た。今度聞いて見ろよ」
柳は必ず聞くと言った。
「じゃあ、今日はこれで解散だ。もう少しいたい奴は自由に残っていい。スープもまだあるしな」
みんな部屋に帰り、また亜紀ちゃんと柳が残った。
「じゃあ、俺も早く寝ようかな」
「「ダメです!」」
俺は笑って座った。
「響子とたまには寝る前のイチャイチャをしたかったのに」
「お願いしますよ。石神さんとお話できる機会は少ないんですから」
「分かったよ」
俺は二人にスープを注いだ。
「風花さん、良かったですね」
亜紀ちゃんが言った。
「そうだな。生まれてすぐに孤児院だもんな。苦労して、あんないい人に巡り合うなんてなぁ。本当に良かったよ」
「風花さん、恩を返したいって言ってましたよね」
「ああ。でもな、塩野社長自身もそうだけど、人間というのはしてもらったことは到底返せないんだよ。「これで返した」なんて奴は、所詮は恩義なんて思ってもなかったということだな」
「そうです! そうです!」
亜紀ちゃんが大きな声で言った。
「自分が困った時に、大変な時に助けてくれた。それは一生かけても報えない。終わるはずのことだったわけだからな。困ったときに借りた100万円って、100万円じゃないんだよ。利子をつけたって足りない。だから風花も一生をかけて報いるって言ってるんだ」
「それが本当の生き方ってことですね」
「その通りだ、亜紀ちゃん。人間が自分よりも上のものを持つ、最大の恩恵なんだよな。恩義を持った人間は、必ず美しく生きることが出来る」
「今は借りは作らない、なんて人も多いですよね」
柳が言った。
「そうだな。そいつらは人生を分かってない、ということだ」
「私は石神さんに救われた人間です。あの川で死んでたんですから」
「そんなのは違うよ。俺は全然命をかけてやったわけじゃないからな。たまたまドジでちょっと血を流した程度だ。柳のせいじゃない」
「そういう石神さんだから、私は好きなんです」
「お前が御堂の娘じゃなかったら、全然放置だったからなぁ」
「またお父さんですか!」
俺は笑った。
「ウソですよ。タカさんは柳さんが大好きですから」
亜紀ちゃんが言った。
「まあ、御堂の娘だからな。嫌いなわけじゃない」
「どうかお父さんを絡めるのはやめて!」
「だってしょうがないだろう。御堂がいたから、柳と出会えたんだからな。その恩義がある」
「それって」
「俺はお前にメロメロだよ」
「!」
柳が潤んだ目になる。
「お前は本当にチョロイなぁ」
「酷いですよ!」
俺は笑って冗談だと言った。
「悪かった。本当にお前のことが好きだ。いつの間にか綺麗な女性になって、御堂の子どもじゃなくなっちまったな」
「嬉しい」
「からかいたくなるのは、お前のことが大好きだからだよ。分かってくれ」
「はい!」
「タカさんは好きな子をからかいたくなるんですか?」
「まあ、相手によるよな。柳とか緑子なんかもそうだな。若干栞なんかもな。でも栞は長い付き合いだし、一緒にいることも多いから、信頼関係も強い」
「「なるほど」」
「六花とか鷹なんかは正反対だよな。六花は動物じゃない。だから困らせたり泣かせるとこっちが悲しくなる」
「「分かります!」」
「あいつが笑ってると、本当に嬉しそうでこっちも嬉しくなる。あいつを笑わせ、幸せにすることが無上の喜びになるんだな」
「はい。鷹さんは?」
「鷹は慈しみの女だからな。ありがたい気持ちが先にたって、からかうとかって気が起こらないんだよ」
「なんか完璧な女性って感じですね」
「まあ、完璧かどうかは知らんけど、あいつは相手をまず上に置こうとする。言い換えれば、俺はそうじゃない女性も好きだってことだな」
「DVDが数千枚ですもんね」
柳が攻撃してきた。
「そういうことだ。お尻から出たものを食べたい女もいるってことだな」
「ゲェー!」
俺は笑った。
「私はどうなんですか?」
亜紀ちゃんが聞いてきた。
「あ? ああ、子ども?」
「なんですか、それ!」
「しょうがないだろう。亜紀ちゃんは俺の子なんだし。でもな、時々ドキッとすることもあるよな」
「そうでしょう!」
「まあ、たまにな」
亜紀ちゃんが笑った。
「子どもだと思ってないと危ないってことですよね」
「柳、お前鋭いな!」
亜紀ちゃんがニコニコした。
「石神さんがさっきおっしゃっていた、私はもっと人生に深く突っ込めって、どういうことなんでしょうか」
柳が聞いてきた。
「それは、要は苦労が足りないってことだよ。
「はぁ。やはりそこですか」
「まあ、安心しろよ。お前のことを育ちがいいって言ってるけど、それは悲しみにぶつかった時に必ず良い方向へ行ける、ということだからな」
「そうなんですか」
「だからお前は人生の苦労、悲しみを厭うな。それが「突っ込め」という意味だ」
俺は野口英世の話をした。
3
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
Lucia(ルシア)変容者たち
おまつり
恋愛
人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。
それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。
カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。
二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。
誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。
愛が深まるほど、境界は曖昧になる。
身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。
一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。
彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。
これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、
それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。
※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる