877 / 3,215
砧の妖怪
しおりを挟む
「タカさーん! どんなのがいるんだろうねー!」
ルーはご機嫌だ。
「早く見てみたいよねー!」
ハーももちろんだ。
「砧(きぬた)なんだから、タヌキとかじゃねーの?」
「「それだ!」」
俺たちは笑った。
今は水曜日の7時。
俺たちは世田谷区の砧公園に向かっている。
まあ、遊び半分だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
麗星から電話が来た。
昨日の夜のことだ。
「石神様。新たな「あやかし」の情報が入りました」
「は?」
「もしかしたら、石神様の御役に立つかもしれません」
「え?」
「場所は東京の世田谷にある砧公園です」
「だから?」
麗星の話では、江戸時代の古文書から最近発見されたらしい。
東京は、昔はただの未開地だった。
北条氏が鎌倉に幕府を開いたが、東京などは湿地帯も多く、見向きもされなかった。
発展を始めたのは太田道灌からだ。
しかし、本格的な幕府を置いた徳川家康が、江戸を大改革し、世界最大の都市を敷いた。
麗星の言う江戸時代の文献であれば、つじつまは合う。
麗星は、江戸を開くに当たり、ある「あやかし」の存在の力が大きかったのだと言った。
「徳川家康が江戸を初めて見た時、ただの小さな寒村のようだったと言っています。そこから短期間で大都市を築いたのは、その「あやかし」の力のお陰だと」
「へー」
「わたくしの、あ、いえ「みんなの」石神様!」
「なんでもいいよ」
「石神様はこれから大規模な都市を築くこともあるでしょう」
「そんな計画はないんですけど」
「その時には、きっとその「あやかし」が役に立つと!」
相変わらず、他人の話を聞かない女だった。
「申し訳ありませんが、文献からはどのような「あやかし」かは分かりかねます。ですが、恐らく建設関連に特化したものではないかと」
「そんなのがいるんですか」
「はい。「あやかし」によっては建築資材を大量に用意したり、石組みを得意とするものなどが」
「でも、現代建築ではどうでしょうねー」
「分かりません。ですが、一度確認するだけでも」
麗星は文献で現在の砧公園の辺りに封印、もしくは眠っていると言っていた。
「あの、詳しいお話も差し上げたいので、一度そちらへ伺いたく」
「あー、来週の土曜日とか」
「はい! 喜んで!」
「うちの全員で別荘に行きますので、誰もおりません」
「……」
面倒なので、俺が直接行ってみると言った。
別に興味も無いが、ちょっとした肝試し的な感覚だ。
双子を誘った。
幽霊的なものでなければ、双子は興味を持っている。
タマなどは、時々呼んで双子と話をさせるようになった。
「あやかし」の量子力学的な解析を始めたようだ。
多次元構造の量子的世界構築が分かって来たと言っていた。
俺には興味はないが、話し相手にはなってやっている。
《エントロピーの法則は、「観測者」の無知だ》
俺が出した命題を、双子は唸って賞賛した。
「マックスウェルのデモンは、秩序を再構成できる」
コップの水を海に注げば、二度とコップの水の分子を取り戻すことは出来ない。
拡散し、他の分子と結合したり分解されるからだ。
しかし、果たしてそうなのか。
そういうことを御喋りの合間に提示した。
俺自身はどうでもいい。
俺はそのうちに死に、宇宙はそのうちに停止する。
何か不都合が?
まあ、それまでは楽しむことにしよう。
俺は双子に麗星の電話の内容を伝え、一緒に出掛けようと言った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「どんなタヌキかなー」
「ちょっとカワイイ系?」
双子はハマーの後ろのシートでウキウキしている。
俺も、二人とドライブが出来て嬉しい。
夕飯は済ませているが、砧には「不二家」のレストランがあったはずだ。
帰りにちょっと何か食べてもいい。
ほどなく、砧公園に着いた。
俺は「虎王」を手に、車を降りる。
双子もドアを開けて降りて来た。
「どうだ、何か気配はあるか?」
俺が聞く前に、二人は一帯を観察している。
「何もないっぽい」
「たぬきー!」
俺は歌った。
♪ たんたんタヌキのー ♪
「「ギャハハハハハハ!!」」
双子が大笑いした。
俺の知っている中で、エロ話で最高に気が合うのが、双子だった。
俺のどんな下品なジョークにも、ついて来れなかったことはない。
俺たちはしばらく様子を伺っていたが、何も無かった。
まあ、こんなものだろう。
俺は「不二家」で、ちょっと摘まんで帰ろうと言った。
「おい! 「ちょっと」だからな!」
「「はーい!」」
公園を出口に向かおうとすると、離れた場所に犬がいた。
飼い主の姿は無い。
俺は「ゴールド」効果に注意し、犬の動向を見守った。
「おいでー」
ハーが犬を呼んだ。
犬が駆け寄って来た。
目の前で立ち止まる。
「それは「虎王」ですか?」
「「「はいーーー?」」」
犬が喋った。
俺は咄嗟に「虎王」を抜いた。
双子も構えた。
「や、やめてやめて!」
犬が脅えた声を出した。
よく見ると、白い狐だった。
「「タヌキじゃないじゃん!」」
双子が怒った。
「え?」
「きぬたなんだから、タヌキでしょ!」
「いえ、そんなことを言われても」
「おい、タヌ吉!」
「!」
俺が呼ぶとキツネが硬直した。
「いきなり名付けぇ!」
「なんだと??」
「はい! もうあなた様の僕でございます」
「なに?」
俺はベンチに座り、ルーに缶コーヒーを買ってくるように言った。
お前も飲むかと聞くと、タヌ吉は頷いた。
俺は缶をタヌ吉の前に置いた。
「……」
フタを開いてやった。
「それでよー、お前はなんなのよ? 江戸を作ったって聞いたけど?」
「徳川様に協力し、江戸の町を作りました」
「へー。それからずっとここにいんの?」
「はい」
「他の土地へ行けないとか?」
「いいえ」
「じゃあ、なんで」
「はい? 別に移動する理由もありませんので」
「なるほど」
命じられなければ何もしないタイプか。
今はそんなのも多い。
「お前、何ができんの?」
「土地の霊的防衛などを」
「へー」
「じゃあ、なんかやってみろ」
タヌ吉が広い場所に向いた。
一瞬光ったかと思うと、地面にでかい文字が刻まれた。
俺たちは驚いて近づいた。
《偉大なる石神高虎様 別宅予定地 20××年 タヌ吉建設》
「ルー! 消せ!」
ルーが「虚震花」を連発して文字を吹き飛ばした。
タヌ吉の頭を引っぱたく。
「ああ、面白かった。じゃあな」
「あの、私は……」
「呼ぶまで待ってろ」
「はい」
俺たちは「不二家」へ寄った。
三人でメロンクリームソーダを頼み、双子はそれにミックスグリルを付けた。
「タカさん、タヌ吉はどうするの?」
ハーが聞いて来た。
「別になー」
「タカさん、これなかなか美味しいよ!」
「そうか」
誰も、別にタヌ吉に興味は無かった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「あれが石神様……」
美しい着物の女が、石神たちが去った方角を向いて呟いた。
「お話ししちゃったー!」
地面を軽く跳ねる。
「あれが今の「虎王」の主ねー。カッコイイ人!」
両手を頬に充て、顔を赤らめた。
来るべき戦いにおいて、有用な戦力を得たことを石神はまだ知らない。
道間麗星の率いる「赤龍」軍と、石神が独自に集めた「蒼虎」軍は、「業」の「百鬼夜行」軍と壮絶な戦いを展開する。
まだ先の話である。
ルーはご機嫌だ。
「早く見てみたいよねー!」
ハーももちろんだ。
「砧(きぬた)なんだから、タヌキとかじゃねーの?」
「「それだ!」」
俺たちは笑った。
今は水曜日の7時。
俺たちは世田谷区の砧公園に向かっている。
まあ、遊び半分だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
麗星から電話が来た。
昨日の夜のことだ。
「石神様。新たな「あやかし」の情報が入りました」
「は?」
「もしかしたら、石神様の御役に立つかもしれません」
「え?」
「場所は東京の世田谷にある砧公園です」
「だから?」
麗星の話では、江戸時代の古文書から最近発見されたらしい。
東京は、昔はただの未開地だった。
北条氏が鎌倉に幕府を開いたが、東京などは湿地帯も多く、見向きもされなかった。
発展を始めたのは太田道灌からだ。
しかし、本格的な幕府を置いた徳川家康が、江戸を大改革し、世界最大の都市を敷いた。
麗星の言う江戸時代の文献であれば、つじつまは合う。
麗星は、江戸を開くに当たり、ある「あやかし」の存在の力が大きかったのだと言った。
「徳川家康が江戸を初めて見た時、ただの小さな寒村のようだったと言っています。そこから短期間で大都市を築いたのは、その「あやかし」の力のお陰だと」
「へー」
「わたくしの、あ、いえ「みんなの」石神様!」
「なんでもいいよ」
「石神様はこれから大規模な都市を築くこともあるでしょう」
「そんな計画はないんですけど」
「その時には、きっとその「あやかし」が役に立つと!」
相変わらず、他人の話を聞かない女だった。
「申し訳ありませんが、文献からはどのような「あやかし」かは分かりかねます。ですが、恐らく建設関連に特化したものではないかと」
「そんなのがいるんですか」
「はい。「あやかし」によっては建築資材を大量に用意したり、石組みを得意とするものなどが」
「でも、現代建築ではどうでしょうねー」
「分かりません。ですが、一度確認するだけでも」
麗星は文献で現在の砧公園の辺りに封印、もしくは眠っていると言っていた。
「あの、詳しいお話も差し上げたいので、一度そちらへ伺いたく」
「あー、来週の土曜日とか」
「はい! 喜んで!」
「うちの全員で別荘に行きますので、誰もおりません」
「……」
面倒なので、俺が直接行ってみると言った。
別に興味も無いが、ちょっとした肝試し的な感覚だ。
双子を誘った。
幽霊的なものでなければ、双子は興味を持っている。
タマなどは、時々呼んで双子と話をさせるようになった。
「あやかし」の量子力学的な解析を始めたようだ。
多次元構造の量子的世界構築が分かって来たと言っていた。
俺には興味はないが、話し相手にはなってやっている。
《エントロピーの法則は、「観測者」の無知だ》
俺が出した命題を、双子は唸って賞賛した。
「マックスウェルのデモンは、秩序を再構成できる」
コップの水を海に注げば、二度とコップの水の分子を取り戻すことは出来ない。
拡散し、他の分子と結合したり分解されるからだ。
しかし、果たしてそうなのか。
そういうことを御喋りの合間に提示した。
俺自身はどうでもいい。
俺はそのうちに死に、宇宙はそのうちに停止する。
何か不都合が?
まあ、それまでは楽しむことにしよう。
俺は双子に麗星の電話の内容を伝え、一緒に出掛けようと言った。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「どんなタヌキかなー」
「ちょっとカワイイ系?」
双子はハマーの後ろのシートでウキウキしている。
俺も、二人とドライブが出来て嬉しい。
夕飯は済ませているが、砧には「不二家」のレストランがあったはずだ。
帰りにちょっと何か食べてもいい。
ほどなく、砧公園に着いた。
俺は「虎王」を手に、車を降りる。
双子もドアを開けて降りて来た。
「どうだ、何か気配はあるか?」
俺が聞く前に、二人は一帯を観察している。
「何もないっぽい」
「たぬきー!」
俺は歌った。
♪ たんたんタヌキのー ♪
「「ギャハハハハハハ!!」」
双子が大笑いした。
俺の知っている中で、エロ話で最高に気が合うのが、双子だった。
俺のどんな下品なジョークにも、ついて来れなかったことはない。
俺たちはしばらく様子を伺っていたが、何も無かった。
まあ、こんなものだろう。
俺は「不二家」で、ちょっと摘まんで帰ろうと言った。
「おい! 「ちょっと」だからな!」
「「はーい!」」
公園を出口に向かおうとすると、離れた場所に犬がいた。
飼い主の姿は無い。
俺は「ゴールド」効果に注意し、犬の動向を見守った。
「おいでー」
ハーが犬を呼んだ。
犬が駆け寄って来た。
目の前で立ち止まる。
「それは「虎王」ですか?」
「「「はいーーー?」」」
犬が喋った。
俺は咄嗟に「虎王」を抜いた。
双子も構えた。
「や、やめてやめて!」
犬が脅えた声を出した。
よく見ると、白い狐だった。
「「タヌキじゃないじゃん!」」
双子が怒った。
「え?」
「きぬたなんだから、タヌキでしょ!」
「いえ、そんなことを言われても」
「おい、タヌ吉!」
「!」
俺が呼ぶとキツネが硬直した。
「いきなり名付けぇ!」
「なんだと??」
「はい! もうあなた様の僕でございます」
「なに?」
俺はベンチに座り、ルーに缶コーヒーを買ってくるように言った。
お前も飲むかと聞くと、タヌ吉は頷いた。
俺は缶をタヌ吉の前に置いた。
「……」
フタを開いてやった。
「それでよー、お前はなんなのよ? 江戸を作ったって聞いたけど?」
「徳川様に協力し、江戸の町を作りました」
「へー。それからずっとここにいんの?」
「はい」
「他の土地へ行けないとか?」
「いいえ」
「じゃあ、なんで」
「はい? 別に移動する理由もありませんので」
「なるほど」
命じられなければ何もしないタイプか。
今はそんなのも多い。
「お前、何ができんの?」
「土地の霊的防衛などを」
「へー」
「じゃあ、なんかやってみろ」
タヌ吉が広い場所に向いた。
一瞬光ったかと思うと、地面にでかい文字が刻まれた。
俺たちは驚いて近づいた。
《偉大なる石神高虎様 別宅予定地 20××年 タヌ吉建設》
「ルー! 消せ!」
ルーが「虚震花」を連発して文字を吹き飛ばした。
タヌ吉の頭を引っぱたく。
「ああ、面白かった。じゃあな」
「あの、私は……」
「呼ぶまで待ってろ」
「はい」
俺たちは「不二家」へ寄った。
三人でメロンクリームソーダを頼み、双子はそれにミックスグリルを付けた。
「タカさん、タヌ吉はどうするの?」
ハーが聞いて来た。
「別になー」
「タカさん、これなかなか美味しいよ!」
「そうか」
誰も、別にタヌ吉に興味は無かった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「あれが石神様……」
美しい着物の女が、石神たちが去った方角を向いて呟いた。
「お話ししちゃったー!」
地面を軽く跳ねる。
「あれが今の「虎王」の主ねー。カッコイイ人!」
両手を頬に充て、顔を赤らめた。
来るべき戦いにおいて、有用な戦力を得たことを石神はまだ知らない。
道間麗星の率いる「赤龍」軍と、石神が独自に集めた「蒼虎」軍は、「業」の「百鬼夜行」軍と壮絶な戦いを展開する。
まだ先の話である。
2
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
Lucia(ルシア)変容者たち
おまつり
恋愛
人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。
それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。
カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。
二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。
誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。
愛が深まるほど、境界は曖昧になる。
身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。
一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。
彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。
これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、
それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。
※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる