富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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「紅六花ビル」、再び

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 12月28日。
 昼前に響子と六花が来た。
 俺が門でタクシーを出迎えると、響子が抱き着いて来た。

 「タカトラー」
 「アハハハハ」

 六花がトランクから荷物を降ろす。

 「石神先生!」

 六花を抱き寄せ、頬に軽くキスをした。
 俺は駐車場でハマーを洗車している皇紀に声をかけ、二人を家に入れた。

 リヴィングでは既に昼食の準備は終わっている。
 みんなでペペロンチーノを食べる。
 響子は双子が作ったオムライスだ。
 響子は凄く美味しいと言い、双子を喜ばせた。
 響子が好きではないニンジンを3ミリ角に刻み、タマネギを水に漬けて匂いをとり、みじん切りにしている。
 バターに少しごま油を混ぜ、また隠し味に醤油とはちみつを少々入れてある。
 ハムは濃厚な金華ハムを一度こんがりと焼いたものを入れている。

 双子は最近料理に凝っていて、俺の料理全集などを読み始めた。
 そのままでも良いのだが、大体欧米人の舌に合わせている。
 だから作ろうとする料理を、俺に聞きに来る。
 俺が若干手直しすることもあるからだ。

 「料理は、相手に合わせて作るものだ」
 「なるほど」
 「人間は全員違う。だから健康面で言っても、人によって必要なカロリーも栄養素も違うわけだ」
 「「はい!」」
 「それを上手く補いながら、また人の好みも違うわけだから、それも合わせる。完璧には出来ないことだけど、合わせる程、相手のためになり、相手は喜ぶということだ」
 「「はい!」」
 「相手を生かし、相手を喜ばせることが、料理の核だ。覚えておけ」
 「「はい!」」

 双子が何故かちょっと涙ぐんだ。
 俺は頭を抱き寄せてやった。

 双子はちょくちょく新しいものに挑戦するようになった。
 全員分が作れないこともあり、俺にだけ皿が出ることもある。
 俺は毎回感想を言い、アドバイスした。
 二人は嬉しそうに、それを聞く。

 亜紀ちゃんも双子を応援し、必要な食材や調味料を揃えてやる。
 調理器具は大体俺が揃えているが、無ければ買ってやるつもりだ。

 昼食を終え、俺たちは出発の準備をした。
 響子はパジャマに着替えている。

 「準備は完璧だな!」
 「うん!」

 笑って響子は返事した。
 食後は寝るのだ。
 響子のために、後部に専用ベッドを作っている。
 
 全員の荷物を入れた。

 「ロボ忘れんなー」
 亜紀ちゃんがロボを乗せた。
 響子の傍に入る。

 皇紀が「戸締り」をした。

 「じゃあ、留守を宜しくね」
 《かしこまりました。行ってらっしゃいませ、皇紀様》



 
 助手席に皇紀。
 後ろに亜紀ちゃんと柳。
 その後ろに六花と双子が座っている。
 六花は、すぐに響子の様子が見れるようにだ。

 皇紀は隣でタブレットを使っている。
 皇紀は多忙だ。
 特に今はアラスカの「虎の穴」の設備に忙殺されている。



 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



 ニューヨークにいる「〇〇建設」の船田さんに連絡をした。
 昔、よく新橋で一緒に飲んだ飲み友達だ。
 お元気そうで、俺のこともちゃんと覚えていて下さった。
 俺はニューヨーク支店長になっていた船田さんに、大規模な建造物の建設を頼んだ。
 そして、あまりにも広大なものになるため、船田さんの会社をメインにし、他の業者を集めることと、その指揮を頼んだ。

 「400兆円を超える事業になると思います」
 「!」

 日本の国家予算を超えている。
 俺も、実はよく分かってない。
 ロックハート家で、俺たちが出した設計構想から導き出した金額だ。

 「船田さんをトップにして、船田さんが信頼する人間を集めてやってもらいたいんです」
 「石神くん!」
 「日本からも、俺が信頼する人間を行かせます。それに、ロックハート家からも。一緒に協力してもらいたいんです」

 船田さんは大層驚いていたが、俺はロックハート家の人間に詳細な内容と契約を船田さんと話し合ってもらい、基地建設に着手した。
 9月の半ば頃の話だ。
 皇紀は、他の姉妹にも秘密で、4度ほど行っている。
 栞がアラスカへ行くことは、皇紀も知らなかったが。
 夕べ、俺が話して驚いていた。

 「あっちは何とか間に合ったな」
 「驚きましたよ。でもまあ、確かに一番安全ですかね」
 「その目的もあって、急がせていたんだ」
 「はい。今ならよく分かります」
 「現時点で最高度の施設だし、今後の拡張も見込んでいる。一段落したら、麗星さんと一緒に霊的防衛の相談もするつもりだ」
 「なるほど」



 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



 「皇紀、寝ててもいいんだぞ?」

 俺は普段遅くまで起きている皇紀に言った。

 「いいえ、大丈夫ですよ?」
 「「交通法規」を見ててもいいぞ?」
 「やめてください!」

 でも、ちゃんとデスクトップにあるのは見ている。

 「おい、最近はどんなの入れてんだよ?」

 ヒマなので、話し掛けた。

 「やめてくださいよー」
 「いいじゃねぇか。俺の方は、今月の石動コレクションで、サンタ衣装物だったよ。珍しくクリスマス感出してたなぁ」
 「そうなんですか! 僕はコスプレ物はあんまり」
 「そうかぁ。まあ、ただ着てるだけっていうのが多いからな」
 「そうなんですよね。女優もちょっと、っていうのが多いし」
 「ああそうだな。でもな、前に観たいちごみるくの忍者物は良かったぞ」
 「そうなんですか!」
 「弱いくノ一だからよ、すぐに捕まって毎回蹂躙されんだよ」
 「いいですね!」
 「いちごみるくってちょっと幼い体型だろ? だから蹂躙されると燃えんだよなぁ!」
 「最高ですね!」

 「今度回すよ」
 「お願いします!」

 響子が寝ているので、みんなも静かにしていた。
 俺たちの会話は丸聞こえだった。

 亜紀ちゃんと柳が、皇紀の頭を引っぱたいて、俺たちも黙った。



 途中のサービスエリアに寄った。
 亜紀ちゃん大好き「鬼平」ワールドだ。
 響子はまだ寝ているので、ロボに頼んだ。

 「なんかあったら、「高速ロボ通信」で知らせてくれ」
 「にゃ」
 どうやるのだろうか。

 亜紀ちゃんがみんなを先導し、あちこちを回り始める。
 俺はコーヒーを飲んでから車に戻り、子どもたちが戻るまで眠った。
 三十分後、亜紀ちゃんたちが戻った。
 みんな満足そうな顔をしている。

 「タカさん、お待たせしましたー!」
 一通り回ったそうだ。
 テイクアウトも持っている。
 タイ焼きやチーズケーキ、軍鶏肉パウチなどを買って来たようだ。
 亜紀ちゃんが助手席に座り、皇紀は柳と座った。
 柳がちょっと離れて座れと言い、皇紀が泣き顔になった。



 途中で響子が起きた。
 俺は次のサービスエリアに停め、六花が着替えさせたりトイレへ行かせたりした。
 響子が助手席に座り、皇紀はいつもの最後部へ移った。
 まあ、そこが一番落ち着くのかもしれない。

 「おい! ちょっと栗の花くせぇぞ! ルー! 皇紀はヘンなことしてないか?」
 ルーが後ろを確認する。

 「だいじょーぶでーす」
 「おし!」

 「なにもしないよー」

 みんなで笑った。



 タケの店が近くなったので、六花に連絡させる。
 店に着くと、また大勢の人間が外で待っていた。
 ビルのすぐ近くの駐車スペースを案内され、俺たちは降りた。
 50名くらいいる。
 大歓声で迎えてくれた。

 六花が降りると、タケやよしこたちが抱き着く。
 六花は目を潤ませて嬉しそうな顔をしていた。

 「石神さん! お待ちしてました!」
 「ああ、悪いな。また世話になりに来たよ」
 「とんでもない! こんな田舎ですが、精一杯やらせていただきます!」
 
 タケとよしこが全員に号令をかけ、俺たちの荷物を運ぼうとする。
 
 「いいよ、自分たちで持つから」
 「いいえ! 是非やらせて下さい!」

 俺は笑って荷物を任せた。
 亜紀ちゃんが食材の入ったクーラーボックスを降ろした。
 数人が持とうとする。

 「あ、これ結構重いんで」
 200キロある。

 よしこが笑顔でそれを持った。

 「あ!」

 よしこは軽々と一階の厨房へ運んだ。

 「あたしらも、結構頑張ってるんです」
 「アハハハハハ!」
 亜紀ちゃんが笑った。





 俺たちが上に上がろうとすると、小鉄がクーラーボックスを持とうとして「ヒィっ」っと叫んだ。
 笑って何人かが手伝いに戻った。
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